現在の会社法では主に株式会社と合同会社が設立されます。
他の選択肢もありますが、日本で設立されている会社の99%以上は株式会社か合同会社です。
それだけ設立数が多いと気になるのは、株式会社と合同会社の違いではないでしょうか。
今回はそれぞれの概要をまとめ、続いてそれぞれのメリットやデメリットと違いについて解説します。
合同会社と株式会社とは
まずは合同会社と株式会社とはどのような違いがある会社の種類なのかをご説明します。
合同会社とは何か
合同会社は新会社法で設立ができるようになった会社の種類です。
新会社法が施行されたのは2006年ですので、他の会社とは違い新しいものに分類されます。
新しい会社の種類ではありますが、合同会社は設立数が増えてきています。
その理由は合同会社が比較的簡単に設立できるなどメリットのある会社だからです。
特に株式会社とは違い手続きが簡略化されているため設立の負担が軽減できるなどの特徴があります。
また、合同会社は間接有限責任の会社です。
そのため出資した金額以上の責任を負うことにはなりません。
社員として重大な過失を犯さない限り、出資した金額の範囲内でしか責任を負わない会社です。
株式会社とは何か
株式会社は株式の発行により資金を調達する会社の種類です。
日本で設立されている会社の多くは株式会社で設立されていて、最も一般的な会社の種類と言えます。
株式会社のポイントは「経営と所有の分離」です。
合同会社とは違い会社の所有者と経営者が分離される仕組みとなっていて、法律上は経営者と所有者が異なっています。
中小企業の場合は一致している場合も多いですが、資本金を提供した株主が所有者で、所有者によって選ばれた役員が経営者です。
基本的に株式を発行して資金調達しますので、会社の中でも資金調達がしやすい種類です。
株式の発行には手間がかかるなどデメリットはありますが、総合的に考えると株式が発行できるのは株式会社のメリットです。
例えば借入などができない場面でも、新規に株式を発行すれば資金調達ができます。
合同会社とは違い資金面で会社の運営に問題を与えにくいのです。
また、合同会社と違い株式を発行していますので将来的に上場する選択肢が取れます。
上場すればさらに資金調達ができる可能性があり、会社の規模を大きくできる可能性を広げます。
合同会社のメリットやデメリット
続いては合同会社のメリットやデメリットについて解説します。
合同会社のメリット
合同会社のメリットは以下のとおりです。
合同会社のメリット1:設立コストが小さい
合同会社は会社設立の際に株式会社とは違いコストが小さいメリットがあります。
そもそも、合同会社は株式会社の設立時にコストが高くなるなどのデメリットを軽減するために設けられた会社です。
そのため、株式会社と比較すると全体的にコストが低く負担が小さくなっています。
具体的なメリットを挙げると、合同会社は法人登記の際の登録免許税に違いがあります。
合同会社の登録免許税は最低6万円に設定されているのに対し、株式会社の登録免許税は最低15万円です。
資本金が少額の場合は最初の登録免許税が適用されるケースが多く、株式会社よりも合同会社にメリットがあります。
また、合同会社は株式会社と違い定款の認証作業がありません。
本来は認証手続きにお金と時間がかかりますが、合同会社では不要になるのです。
大きく負担が減るという点でメリットがあります。
書類作成の面などでも合同会社は株式会社とは違い必要数が少ないなどの特徴があります。
全体的に必要なものや作業が少なくなっていて、時間面でもお金面でもコストが小さく済みます。
合同会社のメリット2:維持にかかるお金が少ない
比較的維持にかかるお金が少なくて済むメリットがあります。
株式会社も合同会社も同じような費用がかかりますが、合同会社の場合は株式会社と違い一部が対象外となります。
例えば合同会社は決算公告をする必要がないため、これにかかる費用が発生しません。
株式会社は合同会社とは違い義務となっていますので、必ず支払う必要があり維持費として発生してしまいます。
他にも合同会社には任期満了に伴う役員の変更登記が必要ないメリットがあります。
株式会社は基本的に2年ごとに役員の変更登記が必要です。
仮に同じ役員が再任する場合でも、改めて手続きをしなければなりません。
この変更登記の際には税金を支払う必要があります。
しかし、合同会社は変更手続きをする必要がありませんので、費用が発生しないメリットとなります。
合同会社のデメリット
メリットに続いて合同会社のデメリットについてもご説明します。
合同会社のデメリット1:合同会社は知名度が低い
会社は2006年から認められた会社の種類です。
株式会社とは違い新しいものとなっていますので、知名度が低いデメリットがあります。
取引先が合同会社について知らない場合があり、そのような状況では取引に問題が発生する二次的なデメリットに繋がる可能性があります。
合同会社は株式会社と同じように法人格を持っています。
つまり「株式会社は信頼できるが違いがある合同会社は信頼できない」との状況は本来は発生しないはずです。
どちらも法人格を持っていますので、個人よりは信用力が高いはずだからです。
しかし、実際には合同会社は株式会社と違い知名度が低いために同様に扱ってもらえないのが現状です。
「株式会社が作れなかった」などと勝手な判断をされデメリットを被ってしまう場合もあるようです。
合同会社の知名度が低いのは自分では解決できないデメリットです。
ただ、現在は合同会社の設立が増えていますので、今後多くの合同会社が設立されることでデメリットは解消されていくでしょう。
合同会社のデメリット2:議決権が均等である
合同会社は社員一人が一つの議決権を持っています。
議決権は出資額の大きさによって左右されませんので、これがデメリットになる可能性があります。
例えば合同会社では出資金1円の社員も100万円の社員も議決権は1つです。
株式会社のように出資金の金額の違いによる議決権の差は生まれません。
会社にいくら出資しても影響力は全く変わらないのです。
このような状況は社員の間でトラブルを起こす原因となります。
人によっては出資金の違いによって議決権にも差をつけたいと意見するかもしれません。
合同会社ではこれは不可能ですので、その点はデメリットになってしまいます。
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株式会社のメリットやデメリット
合同会社の次は株式会社のメリットやデメリットについて解説します。
株式会社のメリット
株式会社のメリットは以下のとおりです。
株式会社のメリット1:株式会社は知名度が高い
会社には大きく分けて4種類ありますが、その中でも株式会社は特に知名度が高いと考えられます。
日本では多くの会社が株式会社として設立されていますので、株式会社を設立しておけば他の会社とは違い安心できるメリットがあるのです。
特に対外的な取引が多い場合、株式会社のメリットを感じやすいでしょう。
株式会社は知名度の高い会社の種類ですので、クライアントに心配される可能性が低くなります。
合同会社は株式会社とは違い知名度が低いですので、これと比較すると大きなメリットです。
なお、知名度とはやや観点が異なりますが、取引するにあたり取引先の条件に「株式会社」を挙げている場合があります。
このような場合は合同会社ではなく株式会社でなければ取引できません。
そのような時にでも株式会社ならば対応できるメリットがあります。
株式会社のメリット2:株式発行ができる
株式会社は合同会社とは違い株式の発行が可能です。株式が発行できますので、これを利用しての資金調達などもできるようになっています。
株式を利用して資金調達ができるのは、株式会社ならではのメリットです。
株式が発行できない会社の種類を選択すると、資金調達のために自分で資本金を増やしたり金融機関から借入をしたりしなければなりません。
借入ができないと会社経営にデメリットを与えますが、株式の発行ができると資源調達の柔軟性を高められるためメリットなのです。
もちろん、合同会社とは違い株式による資金調達ができるからといって、無計画に株式を発行するのは望ましくありません。
あくまでも計画の範囲内で、株式の発行により資金調達ができるようになると理解しておきましょう。
株式会社のデメリット
メリットに続いて株式会社のデメリットについてもご説明します。
株式会社のデメリット:コストが高くなりやすい
株式会社は合同会社と違いコストが高くなりやすい傾向があります。
イニシャルコストもランニングコストも合同会社より高くなりやすいですので、その点は理解しておかなければなりません。
まず会社設立のイニシャルコストでは、定款の認証費用と登録免許税に違いがあります。
合同会社は株式会社と違い定款の認証が必要ありませんが、株式会社は必ず認証してもらわなければなりません。
この認証手続きに費用が発生するという違いがあります。
また、会社設立の際に支払う登録免許税にも違いがあります。
株式会社は合同会社よりも最低金額が高額になっていて会社設立時の負担となりやすくなっています。
他にもランニングコストでは、株式会社は合同会社よりも多くの費用が発生するようになっています。
上記でもご説明したとおり合同会社と違い決算公告の必要がありますし、役員の変更登記をしなければなりません。
株式会社は合同会社とはちがい様々な場面でコストが必要となります。
そのため、会社運営を続けているとある程度のコスト負担があると覚悟しておかなければなりません。
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まとめ
合同会社と株式会社の違いやメリットやデメリットについてご説明しました。
両者にはいくつかの違いがありメリットやデメリットも違いますので、それぞれを理解してどちらを設立するかを考えなければなりません。
今回違いやメリットとデメリットをご説明しましたが、「どちらが良いのか自分では判断しきれない」という人はいるでしょう。
合同会社にするか株式会社にするかは難しい問題ですので、自分で判断できなくても不思議ではありません。
そのような場合は、24時間受付で手数料無料の経営サポートプラスアルファにご相談ください。
会社設立の専門サービスがありますので、合同会社株式会社のメリットやデメリットを踏まえ、どちらで設立するべきかのアドバイスを行います。