会社設立時に定めなければならないことのひとつが、資本金。
しかし、資本金は多い方が良いのか少ない方が良いのかよくわかりませんよね。
実際、資本金は多ければ良いとは限らず、多いことでメリットだけでなくデメリットもあります。
この記事を読んでいただくことで、以下のことがわかります。
- 資本金とは何か
- 資本金の目安
- 資本金が多いことによるメリットとデメリット
- 資本金の増やし方
そもそも資本金とは?
資本金とは、簡単にいうと会社設立時の運転資金のことです。
資本金は、自己資本と、株式などによって外部から調達してきた資金で構成されます。
資本金の目安
現在は、資本金1円からでも会社を設立することが可能です。
しかし、資本金1円で会社を設立することは現実的ではありません。
なぜなら、資本金は会社の運転資金であるため、1円では何もできないからです。
では、資本金はどのくらいの設定するのが良いかですが、300万~1,000万円未満にすることがおすすめです。
最低金額を300万円にしているのは、このくらいの金額があれば、しばらくは収益がゼロでもしばらくは資金がショートする可能性が低くなるからです。
一方で上限を1,000万円未満にしているのは、資本金が1,000万円以上だと税負担が重くなるためです。
ちなみに、最初は資本金を少なめにしておいて、あとから増資する方法もありますが、この場合手続きや費用が必要です。
そのため、最初からある程度の金額を資本金として会社に入れた方が良いでしょう。
資本金が多いことによるメリット
資本金が多いことによるメリットは、以下の7つです。
- 財務基盤が強化される
- 債務超過になりにくくなる
- 信用力が向上する
- 融資を受けやすくなる
- 事業の拡大がしやすくなる
- 人材採用がしやすくなる
- 経営への参加意識が高くなる
では、それぞれについて解説します。
財務基盤が強化される
資本金は借金ではないため、返済義務がありません。
よって、返済コストがかからないため、財務基盤が安定します。
債務超過になりにくくなる
先述の通り、資本金は借金ではありません。
そのため、債務もありません。
また、運転資金が枯渇した場合は銀行などから資金を借り入れなければなりませんが、資本金が潤沢であれば運転資金をまかなえるため、債務超過になりにくくなります。
信用力が向上する
資本金の額は、会社の資金力を表しています。
そのため、資本金が多いことによって、取引先や金融機関などの外部からの信用を得やすくなります。
融資を受けやすくなる
資本金が多いことによって、支払い能力が高いと判断されます。
そのため、金融機関の信頼を得ることができ、融資を受けやすくなります。
ちなみに日本金融政策公庫の中には、自己資本を要件として掲げている制度もあります。
事業の拡大がしやすくなる
資本金が多いということは、すなわち運転資金が多いということです。
よって、店舗や従業員を増やすなどして、事業を拡大させやすくなります。
人材採用がしやすくなる
資本金の多い会社は、倒産しにくいと判断されます。
そのため、求職者が安心して求人に応募してくるため、人材採用がしやすいです。
実際に、会社選びの際に資本金を気にする求職者は存在します。
経営への参加意識が高くなる
株主による株式の購入により資本金を増やした場合、株主の力が大きくなります。
そのため、配当への責任感が生まれますし、経営に対する危機感とモチベーションが上がります。
資本金が多いことによるデメリット
資本金が多いことによるデメリットは、以下の5つです。
- 会社設立にかかる費用が高くなる
- 法人税や消費税などの税負担が増える
- 配当金の支払い負担が増える
- 経営者の権利が減る
- 義務事項が増える
では、それぞれについて解説します。
会社設立にかかる費用が高くなる
会社設立時にかかる登録免許税の金額は、株式会社の場合15万円または資本金×0.7%のいずれか小さい方、合同会社の場合は6万円または資本金×0.7%のいずれか小さい方です。
つまり、株式会社の場合は資本金2,140万円、合同会社の場合は資本金860万円を超えると登録免許税が高くなってしまいます。
ですから、資本金はこれらの金額を超えないように設定しましょう。
法人税や消費税などの税負担が増える
法人税の税率は、資本金が1億円以下の場合、中小企業に対する軽減税率が適用されます。
その一方で、資本金が1億円を超えると軽減税率の適用はなくなります。
そのため、法人税が高くなります。
また、資本金が1,000万円未満であれば、1期目と2期目の消費税は免除されますが、資本金が1,000万円以上の場合は消費税の免除がされません。
このほか、会社が納める地方税も資本金により税率・税額が変わるため、資本金が少ない方が税負担は少なくなります。
配当金の支払い負担が増える
もし株式によって資本金を増やした場合、その分利益が出た時の株主に対する配当金の支払い負担が増えます。
よって配当金の支払い負担を大きくしたくない場合は、自己資本比率を大きくする必要があります。
経営者の権利が減る
もし株式によって資本金を増やした場合、あなたの持ち株率が下がるので、それに比例して経営者としての権利が減ります。
また、気をつけないと第三者が筆頭株主となってしまい、会社を乗っ取られるリスクがあります。
義務事項が増える
資本金が5億円を超えると大企業に分類されます。
会社法でいう「大会社」です。
大会社になると、下記の義務が生じます。
- 会計監査人の設置
- 監査役会設置
- 内部統制システムの決定
- 損益計算書についての公告
- 連結計算書類作成
特に監査役会や会計監査人を設置するのには労力とコストがかかりますので、そのようなリスクを負ってでも資本金を5億円以上にしたいか検討しましょう。
資本金を増やす方法
資本金を増やす方法は、以下の3つです。
- 出資をしてもらう
- 利益を資本に組み入れる
- 現物出資をする
では、それぞれについて解説します。
出資をしてもらう
もし自分で多額の資本金を用意することが難しい場合は、株式を発行するなどして出資してもらいましょう。
このやり方であれば、返済義務が発生しないため、財政基盤が安定します。
ただし、配当の負担が重くなるため、その点は要注意です。
利益を資本に組み入れる
もし会社が黒字になったら、それを資本に組み入れることができます。
ただし組み入れられるのは利益全額ではなく、税金を支払ったあとに残る金額になります。
現物出資をする
現物出資とは、お金ではなくモノを出資する方法です。
例えば、1,000万円の備品を売却した場合、1,000万円が資本金に加算されます。
注意点は、現物出資するモノの価格は時価であることです。
例えば、200万円で買ったモノが100万円でしか売れなかったなどという可能性もあるので注意してください。
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資本金を増やすにはメリットとデメリットがあるため、増やした方が良いかどうかはケースバイケースです。そのため、なかなか判断が難しいと思います。
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