近年、ネット上で利用できる仮想空間「バーチャルオフィス」に注目が集まっています。
バーチャルオフィスには様々なメリット・デメリットがあり、それらをよく考慮した上で、導入を検討する必要があるでしょう。
今回はバーチャルオフィスのメリット・デメリットを中心に、バーチャルオフィスとはどのようなものなのかについて詳しく解説していきたいと思います。
バーチャルオフィスって一体何?
近年、テレワークが導入される中で「バーチャルオフィス」に注目が集まっています。
それではバーチャルオフィスとは一体なんなのでしょうか?
バーチャルオフィスの概要やサービス内容、利用料の相場などについて解説していきます。
バーチャルオフィスは「仮想の事務所」?
バーチャルオフィスとは、その名の通り仮想空間で利用できるオフィスのことです。
ネット上にオフィスを構えることにより、実際に出勤しているような感覚でテレワークを行えるツールとなっています。
バーチャルオフィスといっても様々な種類があり、音声通話をメインで使えるツール、3D空間でアバターを動かすツール、オフィスを完全に再現するツールなどもあるのです。
在宅ワークをしていると、人とコミュニケーションを取る機会が減り、ストレスや不都合が生じてきます。
それらを解消する手段としてバーチャルオフィスが注目されているのです。
バーチャルオフィスのサービス内容は?
バーチャルオフィスが提供しているサービスとしては以下のようなものが挙げられます。
- 仮想オフィスのレイアウト
- 在席管理
- 画面、資料共有
- 郵便物の受け取り、転送
- 会議室レンタル
- 固定電話、ファックス番号の提供
この他にも有料で法人登記の代行、経理や会計に関するサポート、融資や補助金の申し込みサポートなどを提供している場合もあります。
バーチャルオフィスによって提供しているサービスは違いますので、利用する前に確認してください。
バーチャルオフィスの利用料金は?
バーチャルオフィスの利用料金はピンキリです。
1ヶ月1000円程度で利用できるところもあれば、1万円を超えてくるところもあります。
都心で営業しているバーチャルオフィスの相場は1万円程度です。
同じ立地で実際にオフィスを借りようと思ったら、毎月何十万という賃料がかかってきますので、非常に手頃な価格だと言えるでしょう。
バーチャルオフィスを利用するメリット
バーチャルオフィスの利用を考えているのであれば、バーチャルオフィスが抱えるメリット・デメリットをしっかり抑えておく必要があります。
双方を理解した上で、利用を検討しなければなりません。
まずはバーチャルオフィスを利用するメリットについて見ていきましょう。
コストを抑えられる
バーチャルオフィスを利用する大きなメリットとしては、通常のオフィスを借りるより、圧倒的にコストを抑えられるという点です。
実際の賃貸物件やオフィスを借りると、家賃や光熱費、ネット料金、設備維持費など数多くの出費があります。
都心部の一等地などを借りると、初期費用でも莫大な費用を取られてしまうことでしょう。
バーチャルオフィスを利用すれば、実際に存在するオフィスを借りるわけではありませんので、これらの費用を全てカットすることができます。
バーチャルオフィスを利用していてかかる費用は、毎月の利用料だけです。
まだ開業して間もなく、売り上げが安定していない社長にはありがたい話でしょう。
一等地の住所で登記が可能
バーチャルオフィスを利用するメリット、2つ目は一等地の住所で登記が可能だということです。
先ほども説明した通り、都市部の一等地でオフィスを借りようとすると、莫大な費用がかかってしまいます。
しかしバーチャルオフィスであれば、低コストで一等地の住所を、会社の公式サイトや名刺に載せることができるのです。
例えば地方でビジネスを行なっている場合と、東京の中心部でビジネスを行なっている場合とを比べると、後者の方がより多く売り上げを出すことができます。
それほどまでに会社の立地は売り上げを左右するのです。
低コストで立地の恩恵を受けたい場合は、バーチャルオフィスの利用を検討すると良いでしょう。
開始まで短期間で導入できる
バーチャルオフィスを利用するメリット、3つ目は開始まで短期間で導入できるという点です。
通常のオフィスを借りる場合は様々な手続きが必要となってくるため、利用できるようになるのに数週間もの時間を要する場合があります。
その一方でバーチャルオフィスであれば、最短で即日利用することができるオフィスも存在しています。
「とにかく急ぎで利用したい」というニーズに答えているので、事業をスピーディーに展開したいという人にはオススメです。
自宅の住所を公開する必要がない
バーチャルオフィスを利用するメリット、4つ目は自宅の住所を公開する必要がないという点です。
自分1人で起業するという場合、自宅が会社を兼任しているという場合も多くあります。
しかしそうすると、会社の公式サイトや名刺に会社の所在地を記載するとき、自宅の住所を載せなければなりません。
よって不特定多数の人に自宅の住所が晒されているという状態になってしまいます。
最初は良いかもしれませんが、事業が波に乗ってきて知名度が上がると、自宅に押しかけてくるという人が現れないとも限りません。
特に女性起業家などはその危険性が高いでしょう。
バーチャルオフィスを利用すると、バーチャルオフィスの住所を記載できるので、自宅の住所を公開しなくて良くなります。
プライバシーも守られるので安心です。
ただし、相手から求められた場合は、実際の住所を開示しなくてはならない可能性もありますのでご注意ください。
利用料を経費として計上できる
バーチャルオフィスを利用するメリット、5つ目は利用料を経費として計上できるという点です。
自宅の住所で登記した場合、その家賃を経費として計上するのは現実問題非常に難しいと言えます。
なぜなら自宅は仕事をするだけでなく、生活するスペースとしても使っているからです。
バーチャルオフィスを利用すれば、全額を会社の維持費として経費計上をすることができます。
記帳の際は、「賃借料」として計上するのが一般的です。
固定電話やFAXを簡単に導入できる
バーチャルオフィスを利用するメリット、6つ目は固定電話やFAXを簡単に導入できるという点です。
オフィスを借りて起業する場合、固定電話やFAXを導入する場合がほとんどでしょう。
しかし、固定電話やFAXを導入するには、そのための手続きや出費は避けられません。
多くのバーチャルオフィスでは固定電話・FAX番号の導入をサービスとして提供しています。
そのため、固定電話やFAXを自分で手続きする手間や出費がなくなるのです。
会議室の利用も可能
バーチャルオフィスを利用するメリット、最後は会議室を利用することも可能という点です。
業務スペースを確保しない業種の場合、クライアントなどと打ち合わせをする際に、自分たちでスペースを確保する必要があります。
中にはカフェなどを利用する場合も多いですが、会話の内容が外部に筒抜け、混雑していた場合場所の確保が難しいなどのケースも考えられるでしょう。
バーチャルオフィスの中には、会議室のレンタルサービスを行なっているところも多いです。
レンタル会議室を利用すれば、カフェなどで打ち合わせを行う必要もなくなり、快適に話ができることでしょう。
バーチャルオフィスによって有料か無料かは異なりますので、事前に確認することをおすすめします。
バーチャルオフィスを利用するデメリット
前章ではバーチャルオフィスを利用するメリットについて解説してきました。
ここからはバーチャルオフィスを利用するデメリットについて詳しく見ていきましょう。
郵便物の受け取りが遅くなる
バーチャルオフィスを利用するデメリット、1つ目は郵便物の受け取りが遅くなるという点です。
事業を開始すると様々な書類やDMなどの郵便物が届きます。
通常のオフィスを借りれば、オフィスに直接郵便物が届くのですぐに確認できますが、バーチャルオフィスの場合そうはいきません。
会社の住所をバーチャルオフィスにすると、会社宛の郵便物はバーチャルオフィスの方に届きます。
バーチャルオフィスに届いた郵便物は、自宅や指定した場所へ転送されるシステムになっていますので、郵便物を確認するのに1週間以上かかってしまうこともあるのです。
自宅などで開業する場合よりも、郵便物に対するレスポンスは遅くなってしまうのでご注意ください。
他社と住所が重複する可能性も
バーチャルオフィスを利用するデメリット、2つ目は他社と住所が重複する可能性もあるという点です。
一つのバーチャルオフィスを複数の会社が利用するというケースは、決して珍しいことではありません。
そうなると同じ住所の会社が2つ以上出てくることになり、ネットで住所を検索した際に全く別の会社が出てきてしまう可能性もあります。
住所が重複すると、クライアントから不信感を抱かれてしまう場合もありますので、注意が必要でしょう。
突然の来客への対応が難しい
バーチャルオフィスを利用するデメリット、3つ目は突然の来客への対応が難しいという点です。
起業すると、取引先が近くを通ったから挨拶に来るということもあるでしょう。
しかしバーチャルオフィスには、基本的に誰も人がいませんので、来客への対応をすることできません。
そうなると相手に不信感を与えてしまう可能性もあります。
バーチャルオフィスの中にはスタッフが常駐しているところもあり、来客があった場合、契約者に連絡をくれます。
その際は、バーチャルオフィスに出向く可能性があるということも考慮しておきましょう。
法人銀行・社会保険の申請時に不都合な場合も
バーチャルオフィスを利用するデメリット、4つ目は法人銀行・社会保険の申請時に不都合な場合もあるという点です。
バーチャルオフィスで登記している場合、法人銀行口座の開設を断られてしまうケースもあります。
これは過去にバーチャルオフィスで開設した法人銀行口座が、犯罪目的で使われたことに原因があります。
このことが原因で、バーチャルオフィスで登記している会社の銀行口座開設は厳しくなってしまったのです。
法人口座を所有していないと、取引をしないというクライアントも少なくないため、これは大きなデメリットだと言えるでしょう。
しかし100%法人口座を作れないわけではありませんので、まずは銀行に問い合わせてみてください。
利用できない職種もある
バーチャルオフィスを利用するデメリット、5つ目は利用できない業種もあるという点です。
全ての業種がバーチャルオフィスで開業できるというわけではありません。
特定の許認可が必要な業種では、バーチャルオフィスで開業するのが難しいという現状があります。
具体的には、弁護士、税理士、司法書士などです。
個別の占有スペースを必要とする業種は、バーチャルオフィスでの開業が難しいので覚えておきましょう。
ただし、許認可に関しては規制が緩和されることもありますので、これから開業する予定の方は、欠かさずチェックしてください。
バーチャルオフィスの利用がオススメのケース
メリット・デメリットを考慮した上で、バーチャルオフィスの利用を決めた方もいるでしょう。
場合によってはバーチャルオフィスで開業した方が良い場合もあります。
バーチャルオフィスの利用がオススメのケースとしては以下のようなケースが挙げられます。
- 従業員が社長だけの場合
- 都心の住所が欲しい場合
- なるべくコストを抑えたい場合
以上のような場合、バーチャルオフィスのメリットを最大限享受できますので、契約することをオススメします。
バーチャルオフィスを契約する前に確認したい点とは?
バーチャルオフィスをいざ契約しても、使い勝手が悪かったり、自分には合わないなと感じることも出てくるでしょう。
そのようなことにならないように、しっかり確認するべきポイントがあります。
この章ではバーチャルオフィスを契約する前に確認したい点について詳しく見ていきましょう。
利用できるサービスの内容
バーチャルオフィスを契約する前に確認したい点、一つ目は利用できるサービスの内容です。
バーチャルオフィスと一言で言っても、運営している会社が変われば、サービスの内容も変わります。
中には電話代行・秘書代行などのサービスしか提供していないバーチャルオフィスも存在しています。
まずは基本料金でどのようなサービスを提供しているのか、他にはどんなサービスがあるのかなどはしっかり確認しておくのがオススメです。
特に来客対応、郵便物の代行などは重点的に見ておきましょう。
契約期間
バーチャルオフィスを契約する前に確認したい点、三つ目は契約期間です。
契約期間はバーチャルオフィスによって変わってきます。
1ヶ月から利用できるところもあれば、最低1年以上からしか利用できないところもあるのです。
年単位で契約してしまうと、違うバーチャルオフィスを利用したくなった時に困ります。
途中解約すると、残りの料金や違約金を請求されたりする場合もあるからです。
そのためバーチャルオフィスを契約する前に、最短契約期間をしっかり確認しておきましょう。
他に利用している会社
バーチャルオフィスを契約する前に確認しておきたい点、四つ目は他にどのような会社が利用しているのかという点です。
バーチャルオフィスでは、同じ住所を複数の会社で利用しているということがよくあります。
もし同じ住所を利用している会社の中に、評判が良くない会社があったら要注意です。
住所が一緒なので、自分の会社と間違われてしまう可能性もあり、そうなるとこちらの信頼度も下がってしまいます。
このようなことが起こらないように、バーチャルオフィスを契約する前に、他に利用している会社の調査は入念に行いましょう。
電話サービスの内容や質
バーチャルオフィスを契約する前に確認しておきたい点、最後は電話サービスの内容や質です。
バーチャルオフィスによっては電話対応サービスを行っているところもあります。
しかし有料の場合もあり、事前に確認しないと利用料が跳ね上がってしまう可能性があるのです。
また電話サービスの質もバーチャルオフィスによって変わってきます。
丁寧なところもあれば、雑な対応をしているところも。
もしクライアントからの電話対応をしてくれたオペレーターが雑な対応をすれば、会社の評判がガタ落ちしてしまう可能性もあります。
契約を検討しているバーチャルオフィスがあれば、実際に電話をして、電話対応の質を確かめておくのがオススメです。
まとめ
今回はバーチャルオフィスのメリット・デメリットなどを中心に解説してきました。
テレワーク化が進められている近年では、バーチャルオフィスに注目が集まっています。
バーチャルオフィスには多大なメリットがありますが、その一方でデメリットもあるのです。
それらをよく吟味した上で、バーチャルオフィスの導入を検討することをオススメします。