会社設立をするためには費用がかかります。
個人事業主の場合は、誰でもすぐに無料で開業できますが、会社設立して開業する場合は費用が発生することはご承知のとおりです。
今回は会社の中でも株式会社設立の費用について考えます。
株式会社を設立する人は多いので、ぜひ参考にしていただければと存じます。
株式会社を設立する人は多い
現行の会社法などで設立が認められている会社は、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4つです。
かつて存在した「有限会社」は2006年の「新会社法」施行にともない新規設立ができなくなりました。
それまで存在した有限会社は「特例有限会社」として存続できますが、新しい有限会社はできません。
現在、各会社の新規設立割合は以下になっています。
2020年の会社登記(新規設立)件数
株式会社 | 合同会社 | 合名会社 | 合資会社 | |
---|---|---|---|---|
新規登記件数 | 85,688 | 33,236 | 34 | 41 |
割合 | 72.01% | 27.93% | 0.03% | 0.03% |
出典:e-Stat 政府統計の総合窓口 より
株式会社が7割強、合同会社が3割弱、合名会社と合資会社はほぼ0になっています。
7割以上の会社が会社設立の際には株式会社を選択します。
したがって、ここからは株式会社の設立について理解していきましょう。
株式会社設立には一体どのくらいの費用が必要なのでしょうか?
株式会社設立には最低20万前後の費用が必要!それぞれどのような費用なのかも解説
最初に株式会社設立に最低限必要な費用を述べます。株式会社設立に必要な費用は「182,000円~202,000円+資本金」になります。
必要額費用を表にしました。
株式会社設立に必要な「法定費用」 |
|
定款印紙代 |
・紙の定款:4万円 |
定款認証代
|
①「資本金の額等」が100万円未満の場合、「3万円」 |
謄本代 |
2,000円(250円×8枚) |
登録免許税 |
最低15万円 |
資本金 |
最低1円 |
合計 |
最低18万2千円+資本金 |
会社設立にかかる費用(その他費用) |
|
社印作成費用 |
約2万円 |
発起人の印鑑証明書 |
1人につき約300円 |
各費用についてみていきます。
株式会社設立に必要な法定費用
株式会社設立のためには法務局へ行き、株式会社設立の登記申請をします。
登記は法で定められた手続きであり、その費用も決められており、絶対に必要な「法定費用」となります。
それぞれについて説明します。
定款印紙代
会社設立をする際には、「定款」(ていかん)を添えて提出します。
定款とは、「会社の憲法」と言われることもあるくらい、会社にとって大切なものです。
法人(株式会社)の目的・組織・活動・構成員・業務執行などについての基本規約・基本規則を記載したものになります。
この株式会社は誰が何の目的で設立したのか、それらを記しています。
定款印紙代は、その定款の内容を公的な文書として認め、法的効果を与えるため、認証するときの手数料になります。
定款を作成し、紙に印刷して届けると40,000円です。
一方、電子化の流れの中で「電子定款」という電子様式で定款を作成した場合、専用のシステムで定款を提出することができれば、その認証料は無料(0円)になります。
電子定款の申請はかなり面倒ですが、それが可能ならば費用が発生しません。
定款認証料
株式会社の定款は、その作成にあたり、公証役場の公証人による認証が必要になります。
公証役場という場所で、定款を含む公正証書に公的な「お墨付き」を与えることになります。
ちなみに、遺言なども公正証書役場で生前に作成(公正証書遺言)し、法的効果を持たせるようなこともします。
この定款認証ですが、合同会社の場合は不要です(定款の作成自体は必要)。
株式会社の場合、定款を作成し、公証人による認証が必須プロセスになります。
公証人への手数料として支払いが発生します。
かつては、定款認証代(公証人への手数料)は一律5万円でしたが、政令(公証人手数料令38条)が改正され変わりました。
2022年1月1日より資本金に応じて手数料が変わり、上限は5万円そのままで、資本金が低い会社設立をする際には、4万円ないし3万円に手数料が下がりました。
謄本代
会社設立をする際、公証人が定款の謄本(特別な用紙に印刷し綴ったもの)を作成します。
定款を紙に記載すると、謄本1枚につき250円です。
多くの株式会社の定款は紙にすると、おおよそ8枚になるので、250円×8=2,000円を見積もっておくと良いでしょう。
ちなみに、合同会社の場合、上述のように公証人による定款認証がないので、謄本代も0円になります。
登録免許税
法務局に会社設立登記をする際の手数料になります。手数料は決まっていて、株式会社の場合
- 最低15万円
- 資本金の1,000分の7(0.7%)の金額が15万円を上回る場合、その金額
を印紙で支払います。
印紙は郵便局等で購入しなくても、法務局内に「印紙売さばき所」があります。
資本金と登録免許税の関係を計算します。
- [x(資本金)×0.7%]>15万円
- x>2142.8万
資本金が2142万円以下の場合は、登録免許税は15万円で固定。
それ以上の場合の登録免許税は、15万円超となります。
いきなり資本金2142万円超という株式会社は少ないと思われるので、15万円の手数料がかかると憶えておいてください。
資本金
株式会社は当然、株式を発行し、出資を募り、それを資本金とします。
かつて、株式会社設立には1000万円以上の資本金が必要でしたが、2006年の「新会社法」施行により、資本金1円でも「1円会社」の設立が可能になりました。
よって、実質的な資本金要件はなくなりました。
ただし、資本金は会社の「総資産」「自己資本」として重要なものです。
少なくすれば経営上影響が出ますし、金融機関などの審査の際にもプラスになりません。
経営戦略や事業計画をもとに資本金をご判断ください。
法定費用は以上になりますが、株式会社設立の際にはほかにも費用が必要になります。
その他の費用
法定費用として絶対に必要な費用は以上になりますが、実際には株式会社設立の際には、それ以外にも「社印の作成」や「印鑑証明代」などの費用がかかります。
社印作成代
会社設立登記の際には社印も法務局で登録します。
他社の社印を使うことはありえず(廃業した会社の社印を使いまわすなどさすがに・・)、「株式会社●●」という社印を新規に作成します。
その際の印鑑作成費用として20,000円前後かかります。
高い社印を作るものアリです。
安すぎると社印が壊れてしまう可能性もあり、いいものを作りましょう。
合わせて代表者印、つまり「●●株式会社代表取締役▲▲」の印鑑や、銀行の通帳作成などにも必要な銀行印も一緒に作っておくことをおすすめします。
印鑑証明書代
株式会社設立にあたっては、発起人個人の「印鑑証明書」も必要になります。
印鑑証明書発行手数料は、自治体窓口で300円ほどになりますが、印鑑登録がない場合、印鑑証明書の前に印鑑登録を自治体に行うことが必要になります。
以上、会社の設立に必要な費用を見積もりました。
- 法定費用が最低182,000円~202,000円
- 資本金
- 社印作成費用20,000円前後、印鑑証明書数百円×発起人数
これが、株式会社設立の制度的に必要な費用になります。
しかし、これだけでは済まない可能性もあります。
電子申請は素人には難しく、むしろ費用がかかる
法定費用のところで「定款印紙代」(40,000円)は電子定款にすれば0円になると記しました。
しかし、電子定款を申請する準備段階でそれを超えるコストが発生するのです。
電子定款申請に必要なのは
①マイナンバーカード
②PDF変換ソフトAdobe Acrobat 約35,000円
③ICカードリーダライタ(マイナンバーカードを読み込むためのもの) 約3,000円
になります。
マイナンバーカードの発行は無料ですが、②と③で4万円弱かかります。
4万円かかれば全然電子定款申請のメリットを享受できません。
加えて、非常に面倒くさく、わかりづらい「法務省の登記・供託オンライン申請システム」の使い方をマスターする必要があります。
この時間的コストはいくらになるでしょうか?
見かけ上電子申請の方が安いのですが、必要なアイテムの準備や申請方法のマスターコストを考えると、従来型の紙の定款申請の方が安くなってしまいます。
せっかく国は電子申請を奨励しているのにおかしなことになります。
そこで、定款の申請代行ができる専門家(司法書士や弁護士)に電子申請を依頼します。
4万円(電子申請で浮く設立費用)>専門家に電子申請を依頼する手数料
これなら、定款の電子申請で、費用を抑えることができます。
電子定款を職業として作成し、申請している司法書士等にお願いすることが大切です。
彼らは初期費用として、上記をすでに準備しているので、あとは何件株式会社の電子定款を申請しても固定コストはかかりません。
実は、この司法書士等への依頼料を無料にする方法もあります。
開業や会社設立を手掛けるコンサルティング会社や税理士法人に株式会社設立を依頼すると、サービスの一環として、無料で電子定款申請をしてくれるところがあります。
提携する司法書士が行うので、有資格者の行為で問題ありません。
この方法でようやく、株式会社設立費用を最低限に抑えることが可能になります。
そのほか物件等の費用も考えると、資金調達に詳しい専門家と知り合うことが大切
株式会社設立の際、「自宅開業」ができれば上記の表で示した費用で済みますが、外部事務所でスタートする場合などは、不動産契約費用や前家賃、什器備品購入、光熱費、数か月分の運転資金などを考えると、資金調達に詳しい専門家と知古になることが大切です。
- 株式会社の資本金:自己資金+他者からの出資
- 株式会社その他の費用:自己資金+借入
自己資金は有限ですので、資金調達(借入や株式発行による調達)について適切に理解し、アドバイザーを持つことが大切です。
株式会社を経営していくうえでは、スタート当初は借入等不要でも、今後必要になるかもしれません。
その際、資金調達、財務、税務などに詳しい専門家がいるのといないのでは大きく違います。
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