個人事業主も税務調査の対象となる!万が一への備えと対象法を解説

個人事業主は税金についてさまざまな知識を持っておく必要があり、その中でも意識しておいてもらいたいのが税務調査についてです。

「税務調査」とのキーワードを耳にしたことがある人は多いと思われ、個人事業主でも気にしている人は多いのではないでしょうか。

税務調査は個人事業主にも関係があるもので、何の知識もなく税務調査の対象になると焦ってしまうことになりかねません。

今回は個人事業主にも関係がある税務調査とはどのようなものであるのかと、どのような個人事業主が税務調査の対象になるのかご説明します。

基本的に個人事業主も税務調査の対象となります。

「税務調査は大手企業が受けるもの」とのイメージを持ってる人が多いですが、まずは個人事業主も対象になることを理解していきましょう。

個人事業主だから調査と無縁ではない

世の中にある大きな勘違いが「個人事業主は税務調査の対象にならない」というものです。

これはマスメディアなどで紹介される税務調査が、大手企業であることに起因しているのでしょう。

大手企業に対して税務調査が行われた事実が大々的に報じられるため「税務調査は大手企業が受けるものだ」との印象を持っているのです。

しかし、実際には大手企業のみが税務調査の対象となるのではなく、個人事業主も税務調査の対象となる可能性はあります。

「個人事業主だから税務調査とは無縁だ」などと考えていると、万が一の際に対応できなくなるため、誤った認識を持たないようにしましょう。

税務調査の対象は一定の基準があると考えられる

税務署が全ての個人事業主の情報を人間の目で確認しているとは考えにくいでしょう。

何かしらのシステムを利用して、機械的に一定の基準に該当する人をピックアップして税務調査していると考えられます。

具体的にどのような基準で税務調査の対象が選定されているかは公開されていません。

これが分かってしまうと税務調査の対策ができるため、明確に公開されることはないでしょう。

ただ、税務調査の準備に関わる負荷を考えると何かしらの基準があると思われます。

個人事業主の中には「私は小規模であるから大丈夫」など、根拠のない自信に満ち溢れている人がいます。

しかし、税務調査の基準が公開されてない以上は全ての個人事業主が税務調査を受ける可能性があるのです。

税務調査の対象となる個人事業主は明確ではありませんが、実際に税務調査を受けた方の傾向などを踏まえると以下の特徴が挙げられます。

  • そもそも確定申告していない
  • 売上金額が毎年1,000万円弱である
  • 売上金額が増加傾向にある
  • 経費額が不自然である
  • 過去に税務署から指摘を受けている

そもそも確定申告していない

個人事業主でそもそも確定申告をしていないと税務調査の対象となる可能性があります。

「確定申告をしていないのに税務署にばれるのか」と疑問を持つ人が一定数いますが、確定申告をしなくてもばれる可能性はあります。

税務署にばれる例としては、誰かからの通報が挙げられます。

確定申告をしていない事実を誰かに話してしまうと、そこから税務署に通報されるのです。

税務署は事実調査をして、確定申告をしていないと判断すると税務調査に乗り出します。

また、お店などを経営しているにも関わらず確定申告の手続きが確認されないと、税務署が調査に乗り出す可能性があります。

個人事業主で確定申告をしていないことは意外と気付かれてしまい、税務調査の対象となってしまうのです。

売上金額が毎年1,000万円弱である

個人事業主の中でも毎年の売上が1,000万円弱の人は税務調査の対象になる可能性があります。

これは個人事業主の消費税が影響しているからです。

基本的に全ての事業者は消費税を納めなければなりません。

ただ、売上1,000万円以下など特定の条件を満たす場合は納税が免除されます。

個人事業主のうち消費税が免除されるギリギリのラインで確定申告している人は「怪しい」と思われてしまうのです。

個人事業主として売り上げが増えている過程では、売上1,000万円弱になることはあるでしょう。

ただ、同程度の売り上げが続いていると「意図的に売上を調節している」などと疑われてしまうのです。

事業内容によっては毎年安定した売上になってしまうこともあるでしょう。

ただ、消費税が免除されるかどうかのラインは税務署の目に付きやすく、税務調査の対象となる可能性があります。

売上金額が増加傾向にある

個人事業主として事業が拡大すると売上が増加していくでしょう。

これは望ましいことではありますが、場合によっては税務調査の対象となりかねません。

売上が増加している個人事業主が税務調査の対象となる理由は「売上を隠していないか」と疑われてしまうからです。

売上が増えると税金も増えることはよく知られているため、急激な税金増加を防ぐために、売上を隠している可能性があると思われてしまいます。

売上を隠す人はごく一部ですが、税務署は念のために税務調査の対象になるかどうか確認するのです。

個人事業主として成長するのは良いことであり、売上が増えることも良いことだと考えられます。

ただ、時にはそれが疑われてしまうこともあるため、そこだけ理解しておくと良いでしょう。

経費額が不自然である

経費が必要以上に多いなど、所得金額を下げている傾向があると税務調査の対象になる可能性があります。

税務署は売上だけではなく経費にも注目しているため、適切ではない経費を計上すると税務調査の対象となりかねません。

税務署は業種ごとにある程度の経費割合を把握しています。

例えばIT業界なら20%、飲食業界なら40%などと内部的に把握しているのです。

前述の数字は例であり実際の数値とは異なりますが、税務署は基準値を把握していると考えられます。

このような基準値があると仮定すると、確定申告した内容が基準値からかけ離れていると税務調査の対象となりかねません。

特に経費の金額が明らかに多い場合は、税務調査の対象となるでしょう。

ただ、設備投資などで特定の年度だけ経費が増えることが考えられます。

単年度の情報だけで税務調査を受けることは少ないかもしれません。

過去に税務署から指摘を受けている

過去に税務署から指摘を受けていると税務調査の対象となる可能性があります。

個人事業主も確定申告の不備を指摘されてしまう場合があり、過去にそのような経験をしていると税務署にチェックされてしまうのです。

もちろん、過去に何かしらの指摘を受けていても、それらを正しく確定申告していれば問題にはなりません。

「税務調査は悪いもの」との印象があるかもしれませんが、悪いことをしていなくても調査される場合があります。

手間はかかってしまいますが、調査の対象となったならば適切に対応するだけです。

なお、税務署がどのように情報を管理しているかは私たちには確認できません。

継続的に税務調査されることもあれば、忘れた頃に税務調査される場合もあるでしょう。

そのタイミングで思い当たる節がなくとも、過去の指摘が原因になっているかもしれません。

税務調査に備えて個人事業主がやるべきことはいくつもあります。

適切な準備ができていれば税務監査は大きな問題にはならないため、以下のポイントを押さえておきましょう。

必要な帳簿を作成しておく

税務調査の際に必ず確認されるのが各種帳簿の有無です。

確定申告にあたってはこれらの帳簿を利用して数字を算出しているはずであるため、本当に作成しているかどうか確認されます。

作成する帳簿は保管義務があるため、税務調査のタイミングで帳簿がない状況はありえません。

もし、税務調査のタイミングで帳簿がないと「どの情報を利用して確定申告したのか」との疑問が湧いてしまいます。

理論的には帳簿なしに確定申告はできないため、正しく確定申告するためにも帳簿を作成し管理しておくことが必要です。

近年はクラウドサービスなどを利用して、簡単に帳簿を作成したり保存したりできるようになっています。

個人事業主が帳簿を作成するハードルは大きく下がっているため、確定申告や税務調査に備え適切に作成しましょう。

請求書や領収書の保管

税務調査で帳簿と共に確認されるのが請求書や領収書などの証憑です。

帳簿の内容がでたらめではないことを確認するために、税務署から証拠の提示を求められます。

これについても帳簿と同様に保管義務があるため、税務監査のタイミングで手元にない状況はありえません。

もし、税務監査で請求書が手元にないと「申告している売上は正しいのか」と疑われてしまいます。

売上金額は税金に大きな影響を与えるため、売上を隠していないかと疑われるのです。

また、領収書がないと「申告している経費は正しいのか」と疑われてしまいます。

個人事業主は誤った経費を計上している場合があり、そもそも税務署に指摘されやすい立場です。

それに加えて領収書がなければ、巧みな経費を計上していると指摘されてもやむを得ません。

請求書や領収書などは数が増えやすく管理が煩雑になってしまいます。

ただ、万が一税務調査を受けることになった際の証拠となるため、すべて保管しておく必要があります。

<あわせて読みたい>

個人事業主が税務調査の対象となった場合、基本的には事前連絡があり王道の流れに沿って進みます。

一般的に税務調査はどのような流れで進められるのかご説明します。

税務署からの事前連絡

基本的に税務調査は税務署から事前に連絡があり、その日程で実施されます。

一部、予告なしに実施される税務調査があるため「税務調査は突然やってくる」と思われがちですが、実際には日程を調節してから実施されるのです。

ただ、税務調査について打診があるものの、その場で日程を決定する必要はありません。

関係者などと相談して、適切な日程での実施を依頼します。

なお、顧問税理士の契約をしていて、確定申告の際に「調査の通知に関する同意」をしていれば、本人ではなく税理士に連絡が届きます。

どちらに連絡が届くか把握できていない人は、念のために確認しておくと良いでしょう。

税理士への連絡

税務調査の連絡が届いた後は、できるだけ早く税理士に相談しましょう。

税務調査は個人事業主だけでも対応できますが、素人だけで対応するのは望ましくありません。

プロに相談して適切な指示をもらうようにしましょう。

個人事業主で税理士と顧問契約しているならば、その税理士に連絡します。

連絡が遅れると税務調査への準備期間が短くなるため、いち早く連絡することが重要です。

もし、自分で確定申告をしていて顧問契約を結んでいないならば、税務調査に強い税理士を探して相談しましょう。

顧問契約を結んでいないとスムーズな対応は難しいかもしれませんが、税理士を見つけ相談することが重要です。

なお、個人事業主で顧問税理士契約を結んでいないならば、税理士法人経営サポートプラスアルファをご検討ください。

税務調査だけではなく日頃の税金全般のサポートを行います。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

税務調査に向けた準備

税理士に相談して指示を受けたならば、その指示に従って準備を進めていきましょう。可能な限り問題点を減らしておき、税務調査で指摘されないようにすることが重要です。

例えば、確定申告している売上に誤りがないか確認します。また、本来は計上すべきではない経費が含まれていないかも確認します。税務調査に来るということは「税務署は確定申告に問題があると判断している」ということであるため、どのような問題があるのか見つけ出すのです。

また、税務調査に備えて帳簿の整理などが必要です。さまざまな資料の提示が求められるため、すぐに対応できる状況を整えておきましょう。

なお、確定申告に誤りが見つかった場合は、自主的に修正申告するのが理想的です。この点も税理士から指示があると思われるため、そのとおり手続きするようにしましょう。

税務調査当日の対応

事前に決定した日程に基づいて税務署の調査官がやってきます。個人事業主で自宅を事務所にしていれば自宅へ、事務所を借りていれば事務所が調査場所です。事務所を設けている場合は、自宅に必要な資料が残らないように、すべて事務所へ集約しましょう。

なお、税務調査は調査官が一方的に調査すると思われがちですが、個人へのヒアリングなどから行われます。ヒアリング結果をもとに「個人事業主としておかしな支出」がないかを調査するからです。回答内容によっては税務否認の要因となり得るため、最低限な回答にとどめるよう意識します。

税務調査後の対応

税務調査が行われた後は、調査官から追加の質問や資料提出の依頼が届きます。こちらについても税理士と協力して、必要な書類を提出するなどしましょう。

その後は税務署から最終的な指摘事項について連絡があります。この点も個人事業主本人では対応が難しいため、税理士に依頼して対応するようにしてもらいましょう。

修正申告

税務署からの指摘事項に納得し、修正内容の折り合いがついたならば、修正申告の手続きをします。事前に修正申告している場合は変更がないかもしれませんが、基本的には何かしら手続きすると考えておきましょう。

また、修正申告と併せて不足している税金を納めなければなりません。速やかに納めなければならないため、納付の資金は事前に確保しておくべきです。

個人事業主の税務調査についてご説明しました。税務調査は大手企業など法人が受けるイメージを持たれがちですが、個人事業主でも税務調査の対象となります。どのような個人事業主が税務調査を受けやすいのか解説しているため、必ず確認するようにしてください。

税務調査は悪いイメージを持たれがちですが、実際には問題がなくても税務調査を受ける可能性はあります。そのため、税務調査に備えて帳簿などを正しく作成しておくことが重要です。必要なものが揃っていれば税務調査は怖いものではありません。
なお、個人事業主でそもそも確定申告に不安がある場合は、経営サポートプラスアルファにご相談ください。税金のプロが正しい確定申告や節税をサポートします。

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