不動産投資をしていて不動産管理会社を設立するケースがあります。
それでは、不動産管理会社を設立することにどのような意味があるのでしょうか。
本記事では不動産管理会社を設立するメリットや設立の流れ、注意したい点について解説します。
不動産管理会社とは?
不動産管理会社とは不動産物件の管理を目的として設立される会社のことです。
不動産管理会社が賃貸物件の購入や管理、メンテナンスなどを行い、家賃収入などを得ます。
不動産管理会社を設立して法人として不動産を管理することで、家賃収入などを法人の利益として申告できるのです。
不動産投資をしている人は、不動産管理会社を設立することで多くのメリットを得られます。
不動産管理会社を設立するメリット
不動産管理会社を設立するとどのようなメリットを得られるのか説明します。
家賃収入を法人経由で得られる
不動産管理会社が不動産を所有して管理することで、家賃収入は法人に入ります。
法人を経由して家賃収入を得ることで節税のメリットがあるのです。
家賃収入がある程度まで高くなると個人の所得税の税率よりも法人所得税の税率の方が低くなります。
この場合は、法人として家賃収入を申告した方が節税につながるのです。
相続対策にもなる
不動産管理会社を設立すれば相続対策になります。
もしオーナーが死亡した場合は、遺族に不動産ではなく会社の株式を相続させられるからです。
相続税を計算すると不動産より会社の株式の方が低い価額で評価されます。
不動産管理会社の株式を相続させることで節税になるのです。
また、不動産の相続をするのは土地や建物を分割するのが難しいため面倒になります。
一方、会社を相続する場合は株式を分配できるため、相続がスムーズに進められる点もメリットです。
家族を役員にして節税できる
不動産管理会社を設立すれば家族を役員にできます。
役員には役員報酬を支給できるため、不動産投資で得られた利益を分配できるのです。
また、役員報酬は会社の損金として計上できます。
さらに、役員報酬には給与所得控除が適用されるため、個人の所得税の節約にもつながるのです。
家族を役員にすることで、さまざまな形で節税できます。
法人は最長10年まで赤字を繰越できる
法人で発生した赤字は最長で10年まで繰越できます。
不動産管理会社として不動産投資をすれば、仮に赤字が発生したとしても最長10年まで繰越できるため、大きな節税につながるのです。
大きな赤字が生じたとしても、個人で不動産投資をしている場合より損失は少なくなります。
不動産管理会社には3つの形態がある
不動産管理会社は大きく分けて3つの形態があります。
それぞれの形態の特徴を紹介しましょう。
管理委託方式
管理委託方式とは不動産の管理業務を会社に委託する方式です。
この場合、不動産の所有権は個人のオーナーのままであり、管理業務のみを不動産管理会社が担当します。
個人が不動産管理会社に管理費を支払い、管理費は管理手数料として不動産管理会社の収益になるのです。
オーナーが得た家賃収入などの利益を管理手数料として法人に支払うことで節税効果があります。
注意点は、管理手数料が高額の場合は必要経費として否認されてしまい、不動産管理会社に受贈益課税されるケースです。
管理費の設定は合理的に説明できる金額にする必要があります。
建物所有方式
建物所有方式とは不動産管理会社が建物を所有して管理運営していく方式です。
この場合、家賃収入などはすべて不動産管理会社の収入になります。
建物を不動産管理会社名義で建てる、中古物件を不動産管理会社名義で購入するなどさまざまなパターンで活用できる方法です。
建物所有方式は高い節税効果を期待できます。
ただし、不動産を個人から法人へ移転する際の税金や借地権、相続税評価額への影響などに注意が必要です。
サブリース方式
サブリース方式とは不動産管理会社が一括で不動産を賃貸して、第三者へと転貸する方式です。
この場合、不動産の所有名義は個人のままになります。
不動産管理会社へは安い値段で建物を賃貸させることで個人の家賃収入を軽減できるのが特徴です。
さらに、不動産管理会社は第三者に転貸することで家賃収入を得ます。
その結果、不動産収入を個人と会社で分けられるのです。
個人から不動産管理会社へ不動産を賃貸するのは自己取引になり税務著から厳しくチェックされる点に注意しましょう。
不動産管理会社を設立する流れ
不動産管理会社を設立するまでの流れを紹介します。
会社の基本事項を定める
会社を設立するにあたって基本事項を定める必要があります。
主に以下の事項について決めなければいけません。
- 商号
- 本店所在地
- 事業目的
- 資本金
- 出資者
- 役員
- 決算期
- 現物出資
以上の事項はすべて定款に記載する必要があります。
また、基本事項は会社の設立後に変更するためには手間がかかるため、将来のことを考えてじっくりと検討しましょう。
定款を作成する
会社設立のために定款を必ず作成する必要があります。
定款は会社の基本事項に加えて会社経営における特に定めておきたいルールなどを記載するものです。
定款に記載する事業目的は、会社が行う事業をすべて記載しなければいけません。
不動産管理会社であれば、不動産売買業、不動産管理業、不動産賃貸業、不動産仲介業などを含めれば良いでしょう。
株主を誰にするのかも重要です。
たとえば、将来株式を相続する子供や孫などを株主にしておくケースがあります。
未成年であっても親の同意があれば株主になることは可能です。
資本金の払込を行う
不動産管理会社を設立する際には1円以上の資本金を用意しなければいけません。
資本金の金額は自由に決められます。
ただし、実際に不動産管理会社を設立する際には、最低でも100万円程度の資本金を用意した方が良いでしょう。
銀行から融資を得る際に資本金をチェックされるからです。
資本金が少ないとすぐに赤字決算になり会社の信用度が下がるため、資本金はある程度の金額を用意することをおすすめします。
法人登記申請をする
必要な書類を用意したならば、法務局で法人登記申請をしましょう。
すべての書類を用意して提出すれば、2週間程度で法人設立が完了します。
ただし、書類に不備や誤りがあると修正などに対応する必要があり、審査完了までの期間が延びるでしょう。
法人設立後に必要な手続きを進める
法人設立後にもさまざまな手続きが発生します。
まず、税務署や社会保険事務所などで必要な手続きがたくさんあるのです。
さらに、法人口座開設の手続きも必要になります。
個人から法人へ不動産を移す場合は、登記手続きなどが生じます。
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不動産管理会社を設立するときの注意点
不動産管理会社を設立する際の注意点を解説しましょう。
法人設立のデメリットも理解しておく
法人設立にはメリットだけではなくデメリットもあります。
たとえば、以下のデメリットに注意しましょう。
- 法人設立に費用がかかる
- 法人維持に費用がかかる
- 法人を解散するのに手間がかかる
- 法人になると会計や税務が複雑になる
法人設立の費用は株式会社で約25万円、合同会社で約12万円程度かかります。
また、法人は利益がなくても法人住民税が最低でも約7万円かかる点に注意しましょう。
法人を解散するためにも費用と手続きが発生します。
法人は個人事業主と比較して会計や税務が複雑になる点にも気をつけましょう。
会計や税務は専門家に依頼するケースが多く、その際には報酬の支払いが必要になります。
不動産を法人に移す際にコストが発生する
不動産管理会社を設立した後は不動産を法人に移さなければいけません。
その際には登録免許税や不動産取得税などがかかります。
不動産を法人へ移すための方法には贈与や売買、現物出資といった選択肢があり、売買が選ばれることが多いです。
法人へ不動産を売却すると個人に対して譲渡税が発生します。
さらに、法人には不動産取得税が課税されるのです。
不動産管理会社の資金は自由に使えない
不動産管理会社を設立すると会社の資金を自由に使えなくなるのがデメリットです。
個人と法人は別人格であり、法人が不動産投資で得られた利益は法人の所有財産になります。
法人と個人の財産は明確に区別する必要があり、財産を移すためには役員報酬などで個人へ支給する必要があるのです。
役員報酬以外で個人へ財産を移す方法としては、社宅の活用や退職金の積立といった方法があります。
法人設立で税務調査の可能性が高まる
個人事業主よりも法人の方が税務調査を受ける可能性は高いです。
毎年、個人事業主の1%、法人の3%が税務調査を受けています。
また、節税目的で不動産管理会社を設立すると、不正な取引が行われていないか税務署が徹底してチェックするため、税務調査の対象に選ばれやすくなるのです。
法人設立は専門家のサポートを受けて行おう
不動産管理会社の設立はメリットばかりでなくデメリットもあるため、慎重に検討しましょう。
手続きは複雑であり、きちんと法律を理解していないと損をするケースもあります。
専門家に相談をして、サポートを受けながら手続きを進めると良いでしょう。
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不動産管理会社を設立すれば、節税や相続の対策になります。
ただし、法人設立には手続きの費用や維持費がかかり、デメリットがあるため注意しましょう。
実際に法人設立をする前に専門家へ相談することをおすすめします。
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