現在、会社設立を考えている方もいらっしゃるでしょう。
会社設立といえば株式会社である先入観を持っている方が多いのだと思いますが、会社設立の選択肢は株式会社だけではありません。
今回、合同会社をクローズアップしたいと思います。
合同会社においても資本金は大事な概念です。
合同会社では最低資本金をどの程度用意しなければならないものなのかバッチリ解説します。
是非最後まで一読してください。
【合同会社の最低資本金を知る前に】会社の種類を確認する
合同会社の最低資本金を知る前に会社の種類を確認しておきましょう。
会社の種類は、主に以下の4種類があります。
- 株式会社
- 合同会社
- 合名会社
- 合資会社
- 有限会社
それぞれの特徴を詳しく説明します。
株式会社とはどのような会社か
会社の基本スタイルは株式会社です。多くの方は株式会社を開設しようと考えています。
株式会社を設立することで信用度もアップさせることができます。
以前は株式会社に対して発起人は7人必要であったり資本金は1000万円以上用意したりと規制がありましたが、そのような規制は取り払われることになり株式会社の設立が楽になりました。
現在株式会社設立のとり決めでは発起人は1人以上で問題なし、資本金は1円からでも会社設立ができます。
ただし株式会社には設立の規制が少なくなったというのは事実ですが、それでもほかの会社形態と比較すればまだまだ規制はあるといういい方もできます。
株式会社を設立しようと思えば定款を作成しなければならないルールがあるので、会社設立をしようと思っている方は面倒な作業だと感じるでしょう。
株式会社の定款は公証人の確認作業が入ることになります。適当に書類を作成すればいいということでもありません。
また決算公告、利益を出したときの株主に対して配当の制限であったりいろいろと規制が多いのが株式会社の特徴としてあげることができます。
株式会社の株主は株式会社に出資することでなることができます。
株主総会に出席をして議決権を行使や経営に参加することができ、会社に利益が生まれれば配当を得ることができます。
合同会社とはどのような会社か
合同会社という位置づけは、2006年の会社法施行で誕生しました。
会社のスタイルとしては一番新しい形です。
アメリカでは、LLC(Limited Liability Company)というスタイルがありますが、合同会社はそれをモデルにして作られたといわれ、「日本型LLC」ともいわれています。
合同会社は後手で誕生した会社スタイルなので、株式会社のメリットと合名会社・合資会社のメリットのいいとこどりをした会社スタイルともいっていいでしょう。
そのようにいいとこどりをした会社スタイルでないと後手で会社が誕生する意味がありません。
合同会社には資本金という概念があります。
しかし資本金はいくらでなければならないという規制はありません。
いろいろと株式会社は制限があるという話をしましたが、そのような意味で合同会社はフレキシブルな対応をすることができます。
広く定款による運営が認められている点を特徴としてあげることができます。
設立登記は必要となりますが、その時もいちいち公証人に認証してもらう作業もありません。
株式会社設立では登録免許税は最低ラインで15万円必要となりますが、このお金も合同会社では6万円でOK、リーズナブルに会社設立することができます。
また株式会社の株主は議決は一定の事項の限定がありますが、合同会社の場合はすべての経営に対して参画することができます。
さらに合同会社から離れようと思えば(退社)株式会社とは違い出資したお金を返還してもらうことができます。
株式会社と合同会社の違い
合同会社には経営者と出資者が同一であるという大きな特徴があります。
出資した人たちはみなさん有限責任を持つ社員です。
また合同会社は定款の認証は必要なし、紙の定款でなくて電子定款でOK、収入印紙にかかるお金も必要ありません。
登録免許税に対しては60,000円か資本金額の0.7%のどちらか高い方の選択になります。
よって最低6万円~10万円で合同会社設立をすることができます。
株式会社設立の場合には最低費用が定款用収入印紙代に対し40,000円、公証人に払う手数料が52,000円、登録免許税、登記に対して150,000円or資本金額の0.7%のうち高い方の費用を支払いする必要があり、おおかた210,000~250,000円程度のお金がかかります。
また株式会社の役員は任期が存在しているため定款の書き換えの都度数万円の費用が発生してしまうことになりますが、合同会社には役員の任期が決められている訳ではありませんので変更がない限り定款の費用もかかりません。
株式会社よりもお金がかからないから合同会社がいいという方は多いでしょう。
また合同会社ではランニングコストを抑えることができるメリットがあります。
合同会社の場合は毎年の決算公告義務がありません。
ですから官報掲載費にかかるお金も削減することができます。
また株式会社では役員の任期が終了すれば登録免許税の支払いがありますが、合同会社はそもそも役員の任期を定める必要がありません。(※資本金1億円以上の会社の場合3万円必要)
さらに合同会社は一人でも会社設立をすることができますが、出資比率には関係がなく利益配分をおこなうことができ経営の自由性が株式会社と比較してあります。
合同会社では有能な社員に対して利益配分比率をアップできます。
役員の任期もなく決算公告の義務もなし、定款内容も自由性があるためそれぞれの会社の事情を反映させた定款作成ができます。
合名会社とはどのような会社か
合同会社の誕生によって合名会社の名前をそれ程見かけることがなくなって来ましたが、このような会社設立の方法も現在認められてします。
合同会社は株式会社と同じように広く定款による運営が認められている点を特徴としてあげることができます。株式会社と比較して規制は少ないため、フレキシブルな対応ができます。
また合名会社の出資者には無限責任があります。(株式会社、合同会社は間接有限責任)
会社の債権者に対し、直接連帯で責任を負うことをいいます。出資額の範囲は問いません。
合資会社とはどのような会社か
合資会社は、無限責任を負う出資者と間接責任を負う出資者両者で成り立つ会社のスタイルです。合資会社では出資者は二人必要です。
かつて合資会社の無限責任を負う社員は経営全般に関わり、有限責任を負う社員はすべてに対して関わることができないというルールがありましたが、会社法施行がありそのルールは撤廃されることになりました。
無限責任は、合名会社と一緒で直接連帯で責任を負うことを言います。出資額の範囲は問いません。
有限責任は出資額を限度として責任を負う責任のことです。
会社の債権者から直接責任の追及を受けることになります。
100万円を出資して有限責任社員となったケースは、会社の債務が150万円残ってしまった場合でも出資した100万円の範囲の中でだけ支払い義務を負うことになります。
有限会社はどのような会社か
有限会社は現在の法律では設立することができません。
しかし現在でも有限会社の名前は見かけることがあるでしょう。
会社法施行以前、株式会社の資本金は1,000万円必要でしたが有限会社の場合は資本金は最低ラインで300万円必要でした。
役員の任期はなく株式会社設立よりも有限会社の方がハードルは低いと感じるでしょう。
ただし有限会社に出資する人たちは、50人以下に留めなければならないというデメリットがありました。
現在では有限会社を設立することができません。
合同会社の最低資本金の意味
資本金は会社を設立して運営させるために大事です。
どのような事業をするのかによって内容は変わりますが、資本金にはルールがありますので、まずはしっかりおさえておくことが大切です。
合同会社では会社を構成することになる社員全員が出資者であるという定義があります。
個人事業の方が法人化を考え合同会社にしようと考えることもあるでしょう。
そのような場合社員一人というケースでは、最低1円でも資本金は問題ありません。
しかし二人で合同会社を設立した場合、2円の資本金を用意する必要があります。
合同会社の資本金の決め方
合同会社では社員が出資するという大きな特徴があります。
ですから資本金を多額にしようと思えば、それだけ社員に対して負担がかかってしまうことになります。
資本金について考えることは、会社設立しようとする人が事業計画で基礎となる部分です。
まずは事業計画を元にどの程度資本金の額が必要になるのかを決定します。
合同会社の最低資本金、それは金融機関に対しての信用にも関わる問題なので慎重に決定しなければなりません。
また合同会社設立で必要とされる支出をまかなうことができる額が最低ラインです。
合同会社設立時には、事務所や店舗を設置する費用にお金がかかります。
敷金や保証金、賃貸契約に必要なお金を計算に入れます。
事務所には必要な設備、備品が必要となります。
机、イス、電話、事務用品、名刺、名札などに対してかかるお金を計算します。
次に運転資金の目処をたてます。
運転資金は事業を運営していくために必要とされるお金です。
人件費や家賃にも今後お金を支払いしていかなければなりません。
水道光熱費、電話料、郵便料金、インターネット通信維持費用などの計算もします。
合同会社にかかる税金
合同会社にも税金がかかります。
中小企業には軽減税率と言う制度があり、資本金が一億円以下、年間所得金額の中で800万円以下のモノに対して19%の税率が適用されます。
資本金1,000万円を境に「消費税免税」か「課税」か変わります。
消費税は設立して二年、売り上げが1,000万円以下という場合には免税制度があります。
ただし以下の場合には、例外となってしまうので注意しましょう。
- 事業年度スタート日の資本金が1,000万円以上だったケース
- 上半期の売り上げが,1000万円を超えてまったケース
ここでもお得に会社設立をしていくためには資本金の最低額に対しての配慮が必要ということになります。
会社設立時に税金のことまで目を向けることができないという方もいらっしゃることでしょう。
しかし合同会社の最低資本金を決定する上でも無視することができない項目です。
どうしても手一杯という方は税理士などに相談することも含めて検討するといいでしょう。
合同会社の最低資本金はこう決める
合同会社の設立登記をおこなうためには、資本金が確実に払い込みされたことを証明する払込証明書が必要です。(銀行が発行するものではなく自身で作成します)
払込証明書はA4紙に払込証明書と書いて「当会社の設立により、発行する株式において次の通り発行価額全額の払込みがあったことを証明します。」という文面を添えます。
合同会社設立だけの問題だけでなく、運営にもお金は必要です。
設立資金はまかなうことができたとしても、なかなか運営資金までまかなうことは大変という方もいらっしゃるでしょう。
合同会社設立では社員が出資したお金、つまり資本金が元手でスタートします。(増資も社員が出資すればOKです)
合同会社では社員の方すべてに対して業務執行権と代表権がもたらされることになりますが、定款では業務執行権のない社員を含めることができます。
定款では配当に対しても独自で決めることができるので、業務に関わらないという方に出資をしてもらい、利益が出れば分配するというかたちの方法で資金調達もすることができます。
合同会社も金融機関から融資を受けられる
合同会社も内向的に自分たちでコツコツ資金を貯めるという方法ではなく、金融機関からお金を融資してもらって大きくステップアップすることができます。
合同会社設立時に金融機関から受けることができる融資には、以下のものがあります。
- 日本政策金融公庫(信用保証協会付融資)
- 自治体独自の融資制度
おおいに融資も活用してフレキシブルな会社設立するといいでしょう。
ただし日本政策金融公庫(信用保証協会付融資)、自治体独自の融資制度といった融資を受けるには審査があるので審査で滑る方もいます。
金融機関の審査では自己資金が関わります。
自己資金をどのような方法で貯めてきたのかということまで深入りして審査することもあります。
審査の大事なポイントは事業計画書です。
事業計画では融資するに値する緻密な事業計画が立てられているかがチェックされています。
融資とは貸し出しして返済しなければならないお金です。
今後しっかり返済していくことができるかどうか金融機関では厳しい審査をしているのです。
審査対象となる自己資金とは、融資申し込み以前に支出した事業用経費の領収書分であったり、しっかり手続きをした上での知人・親戚からの借入、貯金したお金であると通帳を見ればすぐにわかるものに対してです。
合同会社の最低資本金の平均はいくらか
会社設立時に資本金をいくら用意すればいいか計算が難しいという悩みもあると思います。そのようなときは、最低資本金の平均を知りたいと思うでしょう。
資本金は一度決めたら使用出来ないものという誤解もありますが、 事務所を契約したり設備などを購入するためにも資本金は使用するお金です。
貸借対照表では「純資産の部」で示さなければならないものであり、資本金は負債を除外したものをいいます。
そもそも合同会社設立時に資本金の額は1円でもOKなのです。
しかし設立費用のことを考えると1円でいいはずがありません。
最低資本金の額が決められているケースもあります(許認可が必要な業種)ので、1円で実質設立は不可能なこともあります。
資本金の額は多いほどいいと考えがちですが、中小企業設立時に負担が軽減される優遇措置を受けることができるため、妥当な額は850万円以下、そのなかでも多くの資本金を用意するという姿勢が良いです。
法人税は資本金の額が1億円以下であれば、所得800万円以下部分は15.0%で済ますことができます。しかし1億円を超えていれば税率23.2%となります。
- 法人住民税法人税割:(1億円超え)税率7.0%→(1億円以下)税率7.0%、
- 法人住民税均等割:(1億円超え)29~380万円→7~14万円(1,000万円未満)14~(1,000万円以上1億円以下)20万円
- 特別法人事業税:(1億円超え)税率260%→ (1億円以下)税率37%。
- 少額減価償却資産の全額損金算入:(1億円超え)10万円未満→(1億円以下)30万円未満
などといった優遇措置に違いがあります。
合同会社設立時、法人設立登記が必要となります。登録免許税の額は、「6万円=資本金857万円×税率0.7%」となっています。
資本金額の考え方は株式会社も合同会社も同じです。
だいたいは運転資金の3ヶ月から6ヶ月分あたりを考えるといいでしょう。
プラスして、銀行から融資を受けるときには資本金が高い方が有利ということも注目して資本金の額を決定する必要があります。
合同会社の設立登記総件数は2,668件、総金額は372,320万円、それを平均すれば139.6万円という額が出てきます。
まとめ
いかがでしょうか。
今回は合同会社設立の最低資本金について解説をしました。
資本金の額は多いことに対してのメリットデメリット、少ないことに対してのメリットデメリットがありますので、そのあたりを踏まえて額を決定しましょう。