一人親方でがんばりましょう!最後は簡単に法人化してみませんか!

一人親方の方が仕事もしやすくて良いと思っている方も多いのではないでしょうか。

一人親方では、仕事をするうえでもフットワークが警戒であることから、自由度が大きいと言えるでしょう。しかし、一人親方はメリットもあればデメリットもあります。法人化する方が良い面もたくさんあることをご存知でしょうか。

本記事では、一人親方としてやって行くためにはどのような手続きなどが必要で、最終的には一人親方でバリバリと働いている方が法人化する方法についてご説明したいと思います。

※記事の内容が多岐にわたっております。目次にて読みたい項目に飛んでお読みください。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

一人親方とは

具体的に一人親方とは、どのようなものなのでしょうか。

至るところで行われている工事現場を確認すると、過酷な労働条件で働いている作業員の人は大変だと思われる方も多いのではないでしょうか。
工事現場にはたくさんの作業員の方がいて各種役割分担において作業をしていますが、内情を申し上げると全ての作業員の人が同じ会社に所属している人とは限らないのです。
元請会社があり、下請け会社及び孫請け会社に所属している作業員の方たちも多数見受けられます。
その中に、会社に所属せず個人として工事に関連する作業の一部を受注している「一人親方」に該当する作業員もいるのです。

一人親方の正確な定義では、建設業を含む工事現場などにおいて労働者を自社で雇わずに本人と身内や親族といった家族などのみで仕事を受注している事業主を指します。

具体的な職種としては大工・左官・鳶職などの職種が一人親方としては多く目立ちます。
これらの職種が活躍する場所は工事現場であり、土木及び建築などのその他工作物の設置、改造・保存・原状回復・修理・変更・破砕若しくは解体など受注する仕事内容は多岐に渡ります。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

一人親方として認定される条件とは

先述したように、一人親方とは土木建設現場において個人事業主及び法人代表の人格者として労働者を会社で雇わずに本人と身内や親族といった家族などのみで仕事を受注している事業主を指します。

一人親方として認定されるための具体的な条件は、次のとおりです。

  • 会社に所属することなく、個人として仕事を受注している。
  • 特定される会社には所属している事実はあるが、所属している会社と請負関係を締結して仕事を受注している。
  • 組織として仕事を受注しているが、お互いに協力関係だけ構築されており雇用に関する関係性がない。
  • 親方から技術力向上のために弟子や見習いとして学んでいる関係性にあるが、学んでいる親方に雇われているわけではない。

一人親方イコール個人事業主である

一人親方とは、個人事業主として定義づけられます。
それでは、個人事業主とはどのようなものなのでしょうか。
具体的には、法人を設立することなく個人として事業を成り立たせている人を総称しています。
個人事業主として事業を成り立たせるためには、税務署において開業届を提出することが必須であり、提出することによって事業開始を申請することとなります。
税務署に開業届を提出して初めて個人事業主として法的に認知されたことになるのです。
昨今では、街中でウーバーイーツなどを目にすることも多くなっています。
また、フリーランスとして活躍している方も多くなっており働き方は過去と比較すると多様性を帯びていると言えます。
そういった仕事についても、個人事業主として定義づけられるのです。
大きな企業においても、社員そのものを個人事業主となることを推奨しているところもあり、働き方はますます多様化の一途を辿っていると言えるでしょう。
まず、一人親方としての自覚を持つためにも個人事業主の定義を正しく理解頂きたいと思います。
言葉のとおり、個人事業主とは個人において事業遂行して成り立たせている人達のことです。
個人とは、法人という言葉に対して対義に位置します。
法律の解釈では、法人においても人格が備わっているとされています。
その解釈から、法人ではない個としての人を個人として定義づけており、会社であることを法人として分類して定義づけしているのです。
次に、事業とは反復・継続・独立している仕事として定義づけられています。
反復とは、仕事を繰り返して遂行することであります。店舗などを運営している小売業を想定すると、商品を取引先から納入して顧客へと促販することを繰り返します。
継続とは、同じ仕事内容を続けて行うこととなっています。
あくまで継続ですので、一回限りの単発的な仕事であればもちろん継続していることにはなりませんので、継続として認定されることなく事業とは言い難いです。
独立とは、どこの会社等にも所属していないことを指しています。
雇われ人であれば大半は会社に雇用されていることになりますので、会社に所属して賃金を受け取ることは勤めていることとなりますので、事業を遂行しているとは認定されません。
このように、事業を成り立たせていないと個人事業主とは言えないのです。

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一人親方として行わなければならない仕事内容とは

一人親方は、誰かに雇われているわけではありませんので、各種手続き等についても自分自身で行わなればなりません。
ここでは、最低限一人親方として自分で行わなくてはならない手続きについてご説明したいと思います。

確定申告ついて

一人親方として仕事を受注して、得た報酬は全て自分のものとなるわけではありません。
私たちには納税義務が課せられているため、国等に対して税金を納めなければなりません。
会社に勤めていて雇用されているのであれば、税金を納める手続きなどは会社がまとめて行ってくれるため、自分自身で行う必要はありません。
しかし、一人親方では誰かが納税手続きをしてくれるわけではありませんので、自分で行うしかないのです。
その納税を行うための手続きが、確定申告です。
確定申告とは、自分が在住している地域を管轄としている税務署に、1年間をとおして所得がどれだけあったのかを算出して申告します。
自ら申告した金額に対して、その金額に対応した所得税や消費税といった税金を納税することとなるのです。
なお、所得の概念は収入から経費を差し引いたものであるとご認識ください。
また、税務署は国が運営している組織ですので、国税にあたります。
地方自治体が管理している地方税は、府民税や市民税などがありますが、国が管轄している税務署に申告することによって地方自治体にも情報展開されることとなり、そちらからも納税通知書等が送付されて来ることとなりますので、もれなく納税するようにしてください。

外注と給料について

一人親方として仕事を受注して儲けるうえで、ご注意いただきたいのが収入についての考え方です。
雇用契約とは、労働者が雇われている代表者に対して労働することを契約し、代表者は労働者に対して、労働の対価として賃金を支払うことによって契約成立している状況を指します。
次に請負契約とは、相手方に対して仕事を完了させることに対して契約し、相手方は仕事の成果品を代表者に納品することによって賃金の支払いが成立する契約となっています。
例えば、働いた時間に応じて賃金が支払われるような契約であれば、それは雇用契約として成立しています。
一方、働いた時間ではなくデータ作成や物づくりなど、一定の目に見える成果品を納品することによって賃金が支払われるような契約であれば、それは請負契約として成立しているのです。
以上の説明から、請負契約=外注という契約スタイルであれば、自分が在住している地域を管轄としている税務署へと確定申告が必要となります。
確定申告では、「収入(売上)-支出(経費)=所得(利益)」といった算出方法で所得に関する計算を行い、税務署に対して申告をすることによって所得税を支払うこととなるのです。
申告する際には、それらを客観的に立証する資料等が必要となりますので、収入に関係するであろう請求書や、支出に関連するであろう領収証といった根拠資料となるべくものは適切に保管して、一目で分かるように整理しておかなければなりません。
一方、雇用契約=給与という契約スタイルであれば、自分が在住している地域を管轄としている税務署へと確定申告しなくて良いのですが、賃金を支払っている会社において年末調整の扱いとなるのです。
年末調整は、「収入(年収)-給与所得控除額(税法により規定)=所得」と言った算出方法で所得に関する計算を行います。
よって、自動的に算出される仕組みとなっていますので確定申告と違って請求書及び領収証といった根拠となるべく資料の保管や整理をする必要はありません。
自分が在住している地域を管轄としている税務署へと確定申告しなければいけない契約スタイルであると、申告の手法によって納税金額が変動します。

ここからは、2種類の確定申告方法についてご説明したいと思います。

青色申告について

確定申告の手法については、青色申告と白色申告があります。
青色申告については、白色申告と比較すると節税効果が非常に期待できることから、お得感が強い申告方法となっています。
なお、メリットについては次のとおりです。
 

  • 65万円相当の控除を享受することができる。
  • 事業経営において赤字が発生した場合でも、3年間は納税義務を繰り越すことができる。また、所得収入と相殺することができる。
  • 家族に対して給与として支払った賃金は、全額必要経費の対象とすることができる。
  • 30万円未満の減価償却資産は、一括経費として認定することができる。
     
    このように、個人事業主として仕事を成立させている方にとって、節税効果が高い青色申告では自分の手元に残る金額を大きく残すことが可能となっていますので、非常におすすめの確定申告の手法となっているのです。
    しかし、これらの高い節税効果を享受するためには、次の2点について手続きし、届出書を定められた期限のあいだに自分が在住している地域を管轄としている税務署へ提出する必要がありますのでご注意ください。
     
  • 個人事業の開業・廃業等届出書:提出期限は、開業後1か月以内となっています。
  • 青色申告承認届出書:提出期限は開業後2か月以内となっています。

個人事業主として仕事を行ううえで、必ず経費はかかるものです。
それら経費として使用したお金も含めて、管理は複式簿記にて計上する必要があります。
また、仕事で使用した交通費及び各種資機材費用など全ての領収書を保存・整理しなければなりません。
このように、高い節税効果を持っている青色申告では、複式簿記についても学ばなければいけないことをご留意ください。

白色申告について

青色申告と白色申告を比較すると、その最大のメリットは手続きの簡素化です。
事務手続きが煩雑でないことから、青色申告ほど煩わしくないことが特徴です。
白色申告においては、経費に関する整理も複式簿記ではなく、単式簿記になります。
複式簿記では会計に関する知識を要求されることとなりますが、単式簿記では普通のご家庭でも記載しているような家計簿と同程度のレベルとなっていますので、作成においては全く困難性はないと言えるでしょう。
青色申告と比べると、そこまで節税対策が高いとは言い難いですが、考え方によっては非常に効率的であると言えます。
それは、個人事業主として仕事が軌道に乗っており、収入が非常に大きければ収入に比例するように納税額も向上することとなりますので、節税効果の高い青色申告とすべきでしょう。
しかし、個人事業主として仕事の収入がそれほど高くない場合は、当初より納税金額が少なく産出されるケースがあります。
青色申告をするための時間や労力を事務費としてとらえると、あっさりとした白色申告の方が良いと言えるケースもあることを留意して頂きたいと思います。

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確定申告の期限について

自分が在住している地域を管轄としている税務署へと確定申告をするにあたって、時期がいつでも良いという訳ではありません。
確定申告とは、毎年1月1日~12月31日まで年間単位で算出される所得となります。
当該年の所得に対して、翌年の2月16日から3月15日までの間に各種申告に必要な資料等を取りそろえて申請し、所得税について納付しなければなりません。
なお、消費税については翌年3月15日までではなく、翌年3月31日までの猶予となっていますので、混同しないようにしていただきたいと思います。

確定申告の資料整理について

確定申告すべき時期とは、前述したように期間が定められています。
申告時期が年度末ということもあり、仕事も繁忙期に突入していることが容易に想定できるため、申告時期にばたつかないように事前から申告するための資料整理をしておくことが重要であると言えます。
一人親方として仕事をしている場合においては、公私との分け隔てが曖昧となることも多いため、事業と生活の密接性が高いと言えるでしょう。
そのことから、ことさら普段より意識して仕事に関連する経費と私事に関連する経費を区別して分かりやすく整理するように意識付けをして頂きたいと思います。
住まいの住居の内、一室だけ事務所として取り扱うこともありますし、自宅の車においては仕事と私事を兼ねて使用しているケースもあるでしょう。
そのいったケースでは、家賃であったり電気代などの光熱費に関しては、全体自宅面積に対してどれだけの面積を仕事で使用しているかを明確化できるのであれば、面積按分で経費として算出することができますので、覚えておいて頂きたいと思います。

経費として算出できる項目について

一人親方として仕事をして得た収入に対して、税金を納めなければならないのは前述したとおりです。
しかし、全ての収入に対して納税義務が課されるのではなく、経費については納税対象とならないため、非常に節税効果があると言えます。
それでは、どのような項目が経費として取り扱うことが可能なのでしょうか。
経費として取り扱いが可能となっている項目は、次のとおりです。
 

  • 仕入代
  • 備品代(工具、パソコン、事務品など)
  • 車両代
    高速代、ガソリン代、駐車料など(電車代など領収証がない場合は、メモなどに控えておいてください。)
  • 家賃
  • 電話代を含む通信費
  • 接待費
    会議に要した費用(現場での打合せなどにおいて、飲み物などを購入した場合はメモなどに控えておいてください。)
  • 消費税
  • 労災特別加入に関する労働保険事務組合への会費
    (特別加入保険料自体は経費でなく社会保険料控除の対象となります。)
  • 専従者給与
    なお、接待費及び会議に要する費用は、内容及び相手の名前について受領したレシート及び領収証などに記述するようにしてください。また、所得税・健康保険料・国民年金保険料は経費の対象とすることができませんので、ご注意ください。

社会保険について

社会保険とは、健康保険や年金などについてです。
これらについても、会社で雇用されている労働者であれは使用者である会社側が手続きをしてくれますが、一人親方では自分で手続きをしなければなりません。

健康保険について

建設業を生業とする一人親方で加入することができる国民健康保険は2種類あります。
1つ目は、建設業の国保組合です。2つ目は、市区町村などの自治体が運しているる国民健康保険です。
建設業に関連する国保組合では、業務ではないところで怪我や病気などに罹患した場合の治療に要する療養給付及び休業しているあいだ手当に関する配当金の給付など、独自確立された福利厚生に関するサービスを展開しています。国保組合に加入するためには、加入しようと思っている国保組合の大元となる業種の団体会員にならなければなりません。
なお、各種条件等によって国保組合に加入できない場合もありますので、その際は加入することを断念するのではなく市区町村などの自治体が運営している国民健康保険に加入するようにしましょう。

年金について

一人親方としてバリバリ働いているときは、あまり気にしなくても良いかもしれませんが、いつまでも現役で働き続けられることはありません。
引退した後の人生を考えると、年金が必要となる場面は必ず訪れると言っても過言ではないでしょう。
一人親方では、誰かが年金加入の手続きをしてくれるわけではありませんので、自分自身で国民年金への加入手続きする必要があるのです。
また、国民年金だけでは老後の生活資金として不安を感じる方もおられると思います。
その場合は、年金受給額を上乗せすることを目的として国民年金基金に加入することをおすすめします。
国民年金基金に加入することによって、老齢年金を受け取る段階において受給額を上乗せ計上した年金を受け取る権利を得るのです。
国民年金基金では、各都道府県において地域型国民年金基金がありますし、業種を分けて管理されている職能型国民年金基金もあります。
建設業に特化したところで論じると、5つの基金が既に設立されているのです。

国民年金基金においては、2種類の終身年金と3種類の確定年金に分類されており、それらを自分好みに組み合わせてることによって、自由度の高い年金プランを構築することができるのです。
その他、国民年金と合わせ技で納付することができる付加年金もあり、月額400円で加入することができるうえ、2年以上納めた段階で将来的には掛けた金額以上の給付金を受領することができるおすすめ制度となっています。

退職金について

退職金についても、会社で雇用されていれば会社が支払ってくれるところも多いですが、一人親方では退職金も自分で用意しなければなりません。
一人親方として、退職金を目的として加入できる制度が小規模企業共済です。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が取り扱っている制度となっており、一人親方でも問題なく加入することができます。
仕組みとしては、将来における自分自身に対して退職金を積立ることを目的とした制度となっています。
この制度のメリットは、掛け金の全てが所得税の対象とならないことです。
従って、掛けた金額については納税義務が発生しないこととなるのです。
また、それだけのメリットに留まらず、将来的にこの制度に加入したことによって受給できる金額は、退職所得控除が適用されることとなりますので、こちらについも所得税が発生しないメリットがあります。
退職金として自分で貯蓄して資産を形成するのも良いですが、そうすると貯蓄しているお金は全て課税対象となりますので、税金を支払わなければなりません。
せっかく資産形成をしようとしているのですから、納税義務が発生しないお得な制度を有効活用して資産形成されることを強くおすすめします。

労災保険について

建設業では、労働災害が他の業種と比較しても多くなっている現状があります。
建設業は事故が多発しており、死亡災害は全体の約3分の1を占めています。
令和2年における死亡者数は依然として全産業中トップの 258 人となっており、死傷者数は製造業 (25,675 人、 全産業の19.6%)、陸上貨物運送事業(15,815人、12.1%)、小売業(15,341人、11.7%)に次いで建設業は第4位にランクインしています。(14,977人、11.4%)
死亡者数は、建設業が依然トップとなっており、258人、全産業の32.2%となっています。第2位は製造業で136人、17.0%となっています。
令和2年の建設業における死亡災害発生状況の事故の型別にみると、墜落・転落が95人(36.8%)、交通事故(道路)37人(14.3%)、崩壊・倒壊、はさまれ・巻き込まれが各27人(10.5%)を占め、依然として高い割合を占めています。
また、死傷災害発生状況の事故の型別に見ると、墜落・転落が4,756人(34.1%)、転倒が1,672人(11.2%)、はさまれ・巻き込まれが1,669人(11.1%)を占め、こちらも依然として高い割合を占めています。
このように、客観的な数値からも明らかとなっているように、建設業では労働災害に巻き込まれるリスクが非常に高いと言えます。

建設現場では、元請業者において取りまとめて下請業者における雇用者を含めた作業員について、労災保険に加入することが義務付けられています。
しかし、会社へ直接的に雇用されていない一人親方においては、労災保険の適用を受けられない仕組みとなっています。
よって、不測の事態を想定すると仕事中及び通勤時などにおいて事故に遭遇することがあっても、労災保険及び健康保険を適用することができずに、治療費を自費負担として捻出しなければならなくなってしまうのです。
保険適用であると窓口負担が3割となっていますが、全額負担となってしまうとその治療費は莫大なものとなってしまいます。
また、最悪のケースですが事故を起因として重度の障害が体に刻まれたり、死亡してしまった場合においても全く補償を受けることができません。
それらの不幸を回避するため、一人親方として加入できる制度として労災保険特別加入制度がありますので、是非とも加入されることをおすすめします。
(参考資料:一般社団法人 全国建設業労災互助会 公表資料(https://rousaigojyokai.or.jp/?page_id=165))


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一人親方の法人化とは

一人親方で仕事が軌道に乗って、満足のいく収入が得られている人はその先のことをあまり考えないかもしれません。
一人親方でも問題はないのですが、法人化することによって一人親方の時には得られなかったメリットを享受することができるのです。
ここでは、具体的な一人親方と法人化の関連性についてご説明したいと思います。

法人について

法人とは、どのように定義づけられているのでしょうか。
法人とは、法律によって人と同じ権利や義務を認められた組織として位置付けられています。
法人には、私法人及び公法人に分かれていて、私法人においては民間法人とも称されています。
民間法人とは、国や都道府県及び市町村などの権力影響を受けつけない法人のことであり、次のとおり分類されます。 

  • 会社をはじめとする営利団体の組織
  • NPOをはじめとする非営利団体の組織

営利団体とは、仕事で得ることのできた利益に関して特定された社員や株主といった構成員などに分配することを当初から目的とした法人であることを意味しています。
逆に非営利法人は、定款等において構成員等に対して利益分配を目的としていないことなどの、非営利性が確保されている法人です。
また、公益的活動を目的としている社会福祉法人、学校法人といった法人を指しているのです。
これら団体で得ることのできた利益については、構成員等に分配されることなく、社会貢献活動など公益性の高いことのために出資する法人となるのです。

一人親方が法人化するメリットについて

一人親方が法人化することによって得られるメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは、具体と的にメリットについてご説明したいと思います。

節税について

建築業では、受注する1件当たりの金額が大きくなりがちである特徴があります。
一人親方になりたてであっても、年収が1000万円を超えてしまうことも珍しくありません。
法人や個人のどちらであったとしても、消費税について納税の義務が発生する基準額は1000万円以上の収入があったのち、2年後から発生することとなるのです。
個人事業主として仕事を受注している際、当初2年については消費税に関する免除を適用すると仮定しましょう。
そのまま個人事業主を続けていれば3年目より消費税に関する免除は適用することができなくなってしまいます。
しかし、法人化することによってプラスで追加2年間が消費税の納税免除を適用することができるのです。
それだけに留まらず、所得税及び住民税についても大きなメリットが存在します。

法人化することによって、法人から支出される役員報酬においては、給与所得控除が適用されますので、支出対象となる所得税や住民税については個人事業主の人格で納税することと比較すると少なくなる可能性が極めて高くなります。
ただし、法人化することによって社会保険料の会社負担分及び税務申告について、個人ではできなかった場合は税理士などに外注することとなりますので、それらの経費が追加で発生してしまうことについてご注意いただきたいと思います。

信頼度について

法人化することによって、個人事業主の頃と比べると社会的信頼度は高くなると言えるでしょう。
その結果、法人同士での契約が締結しやすくなることが想定されます。
全ての取引先に該当するわけではありませんが、取引先の中には社会保険に加入している法人でなければ取引しないとしているところもあります。そのことを考慮すると、今まで以上に仕事を受注しやすい環境を整えることができるのです。

通年を通して同じ会社と契約締結をするのではなく、新しい会社とも契約締結するためには社会的な信頼度が高いことも条件と言えるでしょう。
また、法人化することによって多種多様な経費及び手続き・書類の取り扱いといった会社経営に関しての事務作業が輻輳してしまい繁忙となることが想定されます。
そうなると、個人事業主の頃と比較すると、現場などの第一線で活躍する場面は減少傾向となりますが、会社としての組織や事業全体の規模を拡大することに注力できるようになります。
法人化することのメリットとして、今まで以上に規模が大きい取引に関する契約締結ができることや、作業員としての労働者を自社で雇用することによって、自分1人ではできなかった規模の大きな仕事であっても対応可能となります。

このように、法人化した方が他社より信頼を勝ち取りやすく事業拡大がしやすくなるのです。

経費対象枠の拡大について

法人化することによって、仕事場を社宅にすることなどを含めて経費の対象として認可できるものが多くなります。
代表的な追加項目として挙げられるのが、法人でなければ経費として落とすことができない出張手当の経費です。
具体的には、法人であれば実費よりもさらにプラスすることができて経費としては7日分の出張手当を増額することができるのです。
法人化することによって、事業拡大できることは前述したとおりです。
事業拡大に伴って、仕事を行うフィールドが全国区となるとそれに伴って出張も増えることが想定されます。
そのような事態になった時には、是非ともこの出張手当の経費をご利用いただきたいと思います。

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一人親方が法人化する際の注意点

一人親方が法人化することのメリットなどは前述したとおりです。
法人化を是非ともご検討頂くうえで、注意して頂きたいポイントがあります。
ここからは、法人化する際の注意点についてご説明したいと思います。

建設業許可について

一人親方時代にの建設業許可を取得していたのであれば、法人化した際は、その時に取得した建設業許可を引き継ぐことがきないので注意が必要です。
対処方法としては、新規扱いとして法人の人格で建設業許可を申請して取得しなければなりません。
また、建設業許可とは一定期間以上の実務経験及び経営経験が必須となっています。
従って、それが意味するところは起業時だけに限定されるものではなく起業した後からでも申請も可能ということです。
建設業許可を実際に申請するにあたって、会社の運営に関する基本的規則を決定づける定款の事業目的に、許可を欲する業種名を記載していなければなりません。
定款において記載が確認できない場合では、そこから変更登記をしなくてはなりませんので、その手続きに関する労力と費用が発生することとなるのです。
よって、起業後において建築業許可を申請することを考えていたとしても、建築業の業種の中よりどの建設業許可を取得したいのか事前に考慮しておくべきであると言えます。

法人化するにあたって必ず建設業許可を取得しないといけないのかと言うとそうではありません。
軽微な工事に該当する工事内容であれば、建設業許可を取得していなくても受注可能となっています。
なお、具体的な軽微な工事とは次のとおりです。 

  • 建築一式工事以外で、1件の請負代金が500万円未満の工事であれば、建設業許可は不要となります。
  • 建築工事一式で、1件の請負代金が1,500万円未満の工事であり、かつ木造住宅で、延べ面積が150平方メートル未満の工事(主要構造部が木造で延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するもの)であれば建設業許可は必要ありません。

このように、受注する金額が小さくなってしまうと言うデメリットはありますが、建設業許可を取得するための労力や経費をかけなくて済むと言うメリットもあります。

資金について

建築業許可を取得するにあたっての要件において、財産的基礎として定められている項目があります。

一般建設業許可の場合においては、純資産の額が500万円以上あること及び500万円以上の資金調達能力があることのどちらかの要件の該当していなければなりません。
起業と同じタイミングで一般建設業許可を申請するのであれば、資本金を500万円以上用意することによって条件クリアとすることができます。
よって、絶対に500万円の資本金を用意しなければならないわけではなく、建築業許可に関連しても銀行残高などにおいて500万円以上入金されているタイミングを見計らって申請するだけで良いということです。
ただし、資本金として会社の口座に入金した場合においては、会社口座に入金したお金の立ち位置は会社のお金として位置付けられますので、入金後あいだを開けずに出金することができないこととなります。
そのため、資本金として充当するお金については生活費及び納税に影響を与えない予算を確保するよう心がけてください。

経済的負荷について

法人化を検討する一定の基準としては、収入が1000万円を超えたタイミングが判断基準となっています。
前述したように、消費税に関して納税の義務が発生するのは1000万円の売上高が出た瞬間に法人化することによって、2年間は消費税免除を適用することができるからです。
一方で、事業所得の利益が500万円を超えた段階から法人化による節税の効果が現出する計算となります。
注意するポイント、収入が1000万円だからと言って事業所得である利益が500万円以上であるとは限らないということです。
例えば、仕入れなどに関する経費が750万円かかっていたと想定すると、売り上げ(1000万円)-経費(750万円)=利益(250万円)という計算となりますので、利益として計上できるは250万円となるのです。
なお、法人化による節税効果は利益が高ければ高いほど、高い節税効果が期待できます。
しかし、消費税に関する納税の免除が適用されたとしても、利益が500万円を下回っていると節税の効果があまり期待することができなくなってしまうため、法人化するタイミングについては細心の注意を払うようにしてください。

社会保険について

社会保険とは、健康保険及び厚生年金保険を指しています。
法人化した場合においては、健康保険及び厚生年金保険について会社で負担しなければいけない部分が発生します。よって、必然的に従業員の保険金についても負担する仕組みとなっているのです。
健康保険については、法人及び雇用者が5人以上の個人事業を営んでいる人には、協会けんぽと呼ばれる健康保険への加入が義務付けられています。
一方、建設国保へと既に加入している個人事業主が法人化の手続きを踏んだ場合及び雇用者5人以上となった場合においては、建設国保を継続して引き継ぐことが可能となっており、協会けんぽへと加入しなくても大丈夫なのです。
建設国保とは、建設工事業に関して従事している個人事業所の事業主及び雇用者と一人親方を組合員の対象として加入者を募っている国民健康保険組合となっています。

保険料の会社負担としては協会けんぽにはありますが、逆に建設国保では会社負担はありません。
建設国保においては、保険料全額を雇用者が負担する仕組みとなっています。
法人化してから建設国保に加入するためには、事前に個人事業主のときから加入しておかなければならず、加入済みであることによって法人化したあとも権利を継承することができます。
会社としてのお金の体力があまり見込めないタイミングにおいては、会社に対して経営の助けとなることが想定されますので必ず確認するようにしてください。

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一人親方として手軽に法人化するには

上述したように、一人親方から法人化するためには様々な準備を整えなければなりません。
一人親方から法人化することによって得られるメリットはたくさんあることから、将来的な事業拡大を視野に入れておられる一人親方は法人化することを強くおすすめします。
そのようなことから、一人親方から法人化するための煩雑な事前準備にお困りであれば、、是非とも私たち経営サポートプラスアルファ(KSP)にご相談ください。

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まとめ

ここまで、一人親方から法人化する方法についてご説明させて頂きました。

建設業界では、作業員等の労働者不足が深刻化しています。
国土交通省では、現在の就労者の年齢構成等を踏まえると、2018 年度は約329 万人、5年目は約326 万人となると見込まれると推定しています。
他方、建設業における働き方改革の進展を踏まえて必要となる労働力は、2018 年度は約331万人、5年目は約347万人と見込まれるとしています。
その結果、2023年時点では21万人程度人材が不足する見通しを立てているのです。
2025年までに建設現場の生産性を2割向上させるという目標(未来投資会議(2016.9))等を踏まえ、年1%程度の労働効率化を目指し、5年間で16 万人程度の生産性向上を図りつつ、働き方改革や処遇改善により1万人~2万人程度(就労人口の純増)の国内人材確保を目指しています。
そのような目標を掲げるなか、「建設キャリアアップシステム」として、技能者の資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積する仕組みを構築しています。
また、システムの活用により技能者が能力や経験に応じた処遇を受けられる環境を整備し、将来にわたって建設業の担い手を確保に努めています。
システムの構築に向け官民(参加団体:日建連、全建、建専連、全建総連等)で検討を進め、平成31年1月以降システムを利用できる現場を限った「限定運用」を開始し、限定運用で蓄積した知見を踏まえ、平成31年度より「本運用」を開始予定としています。
運用開始初年度で100万人の技能者の登録、5年で全ての技能者(330万人)の登録を目標として掲げています。
上述したように、国土交通省においても作業員等の労働者不足を深刻に受け止め、改善を図っているところです。
そのような背景から、建設業における働き手の需要はますます高まっていることが伺えます。
社会情勢を考慮すると、一人親方として成果を上げられておられる方にとって、まさに機運が高まっているタイミングと言えるのではないでしょうか。

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個人でできることには限りがありますので、無理せず周りを頼るのも良いことです。

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(参考資料:国土交通省公表資料(https://www.mlit.go.jp/common/001268636.pdf))

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