会社設立を行う際には、様々な手続きや費用が発生します。その中でも重要なものの一つが登録免許税です。会社を設立する際、法務局での登記手続きが必要であり、その際に「登録免許税」と呼ばれる税金を支払う義務があります。この登録免許税は、会社設立時に必ず支払わなければならないものであり、適切に理解しておくことが大切です。
この記事では、登録免許税の支払いタイミングや節税対策、その他の関連する重要ポイントについて詳しく解説します。
1. 登録免許税とは?
登録免許税は、会社を設立する際や、土地や建物を購入した際など、登記手続きを行う場合にかかる税金です。登記は法務局で行われ、会社設立の場合は、設立する会社の情報(社名、住所、資本金、役員など)を公的に記録する手続きが必要です。この手続きの際に登録免許税が課される仕組みとなっています。
会社設立時において、この税金は必ず支払う必要があり、支払額は資本金額によって異なります。また、この費用は会社の設立コストの一部となるため、設立計画を立てる際にはあらかじめ計算に含めておくことが重要です。
1-1. 資本金に基づく登録免許税の額
登録免許税の額は、会社の資本金によって変わります。具体的には、次のような計算方法が適用されます。
- 株式会社の場合:資本金の額に応じて、最低15万円、もしくは資本金額の0.7%のいずれか高い方が登録免許税として課されます。
- 合同会社の場合:最低でも6万円が課税されます。
たとえば、資本金が500万円の株式会社を設立する場合、登録免許税は「500万円 × 0.7% = 3万5000円」ですが、最低額である15万円を超えないため、実際には15万円を支払うことになります。
1-2. いつ支払うのか?
登録免許税は、会社設立手続きを法務局で行う際に、登記申請時に支払います。つまり、会社設立の最終段階である「登記」を行う時点で、登録免許税を支払う必要があり、支払いが完了しないと登記手続きが進みません。
具体的には、会社の定款が承認され、必要な書類が整った段階で、法務局に登記申請を行います。この際に、登録免許税を支払うため、設立の計画を進める中で、登録免許税の用意を忘れないようにすることが重要です。
2. 登録免許税の支払い方法
登録免許税の支払いには、いくつかの方法があり、事前に確認しておくとスムーズに手続きを進められます。
2-1. 収入印紙による支払い
最も一般的な支払い方法は、収入印紙を購入し、登記申請書に貼付する方法です。収入印紙は、郵便局や法務局で購入することができます。申請書に収入印紙を貼付し、法務局に提出することで、登録免許税を支払ったことになります。
2-2. 銀行振込による支払い
法務局によっては、銀行振込での支払いが認められている場合もあります。この場合、事前に振込手続きを完了させ、振込完了の証明書を登記申請時に提出します。振込方法の詳細は、各法務局のウェブサイトや窓口で確認する必要があります。
2-3. 電子申請の場合
近年では、会社設立の手続きを電子定款で行うことも増えています。電子定款を利用する場合、登録免許税の支払いも電子的に行うことが可能です。電子申請を行う際には、法務局のオンラインシステムを通じて支払い手続きを行い、支払いが確認されると登記が進みます。
3. 登録免許税を節約する方法
会社設立において、登録免許税は避けられない支出ですが、いくつかの方法で節税や負担の軽減を図ることが可能です。ここでは、登録免許税の節約方法について解説します。
3-1. 電子定款を利用して印紙代を削減
株式会社を設立する際、定款を紙で作成する場合は4万円の印紙税がかかります。しかし、定款を電子定款として作成すると、この印紙税を支払う必要がありません。これにより、設立費用を4万円節約することが可能です。
電子定款は、電子署名を使用して作成するため、紙の定款と同じ効力を持ちます。行政書士や司法書士に依頼して電子定款を作成することもできますが、自分で手続きを進めることも可能です。
3-2. 資本金を慎重に設定する
資本金の額に基づいて登録免許税が決定されるため、資本金を適切に設定することも重要です。たとえば、資本金をギリギリ1,000万円未満に設定することで、消費税の免税措置を受けられるだけでなく、登録免許税の負担を抑えることが可能です。
ただし、資本金は会社の信用にも影響するため、あまりにも低く設定することは避けた方が良いでしょう。事業計画や今後の事業展開を踏まえ、適切な資本金額を設定することが大切です。
3-3. 設立時期の工夫
一部の中小企業やベンチャー企業に対して、一定の条件を満たす場合、登録免許税の軽減措置が適用されることがあります。これには、地域や業種によって異なる要件があるため、地方自治体や国の助成制度を確認し、該当する場合には申請することで節税が可能です。
また、設立時期によっては他の税制優遇制度と併用できる場合もあるため、設立のタイミングを工夫することで、さらに負担を軽減できる可能性があります。
4. 登録免許税に関する注意点
登録免許税は、会社設立時に必ず支払わなければならない税金ですが、その取り扱いや支払い方法にはいくつかの注意点があります。特に、法務局での登記手続きがスムーズに進むよう、以下の点に注意しましょう。
4-1. 登記申請の不備に注意
登録免許税を支払った後、登記申請書に不備がある場合、申請が受理されずにやり直しが必要になることがあります。この場合、登録免許税の支払い自体は再度行う必要はありませんが、申請書の内容や添付書類に誤りがないよう、しっかりと確認してから提出することが大切です。
4-2. 資本金の増加や変更に伴う再登録
会社設立後に資本金を増加させたり、会社の基本情報を変更したりする場合も、登録免許税が発生します。このため、最初に設立する際に将来的な資本金や組織の変更を考慮し、計画的に進めることが重要です。特に、資本金の増加に伴う税額の変動には注意が必要です。
4-3. 税制改正に対応する
登録免許税は法制度に基づいて定められているため、将来的な税制改正によって税率や支払い方法が変わる可能性があります。特に、ベンチャー企業や中小企業に対する税制優遇措置が拡充されることも考えられるため、最新の情報を定期的に確認することが重要です。
5. まとめ
会社設立時に必ず支払う必要がある登録免許税は、資本金に基づいて決定され、会社設立の重要なステップの一つです。法務局での登記手続きに際して支払うこの税金は、登記が完了しない限り、会社の設立が法的に認められないため、必ず支払わなければならないものです。
電子定款の活用や資本金の設定など、事前に計画を立てておくことで、節約や効率的な手続きを行うことができます。また、登記手続きや税制改正に関する最新の情報を常に確認し、スムーズな会社設立を目指しましょう。
登録免許税の支払いは会社の設立プロセスにおいて避けられない重要な要素であり、正確に対応することで、その後の会社運営にも良い影響を与えるでしょう。
ぜひ、経営サポートプラスアルファにご相談ください。