独立時の顧客引き抜きはしてもいい?よくあるトラブルや注意点を解説!

独立後のビジネスを上手く進めるために顧客引き抜きをするケースがあります。

しかし独立時に顧客を引き抜きすることに違法性があるのではないかと心配する人も多いでしょう。

そこで、独立時に顧客引き抜きをしてもいいのか、トラブルの可能性はないのかを説明します。

独立時に顧客引き抜きをするとは?

独立の際に顧客引き抜きをするとはどういうことなのか説明します。

独立後に以前の会社の顧客を引き抜くケースがある

独立後にビジネスを優位に進めるために以前の会社の顧客を引き抜くケースがあります。

以前の会社と同じ業界・業種で独立する場合、顧客を引き抜くことで売上を確保できるからです。

通常、独立した直後は固定客がいなくて売上が安定しません。

売上がないと赤字になり危機的な状況に陥ります。

独立直後のリスクを避けるために顧客の引き抜きを考える人がいるのです。

顧客の引き抜きで元の会社の売上が落ちるケースがある

顧客の引き抜きが問題視される理由は、元の会社の売上が落ちる可能性があるからです。

元いた会社の顧客を引き抜けば、元の会社は顧客を失い売上が落ちます。

重要な顧客を奪われた場合は、元の会社に大きな損害が生じるケースもあるのです。

元の会社から顧客引き抜きについて訴えられる事例がある

以前の従業員が会社を辞めた後に顧客を引き抜いた場合は、元の会社は以前の従業員を訴えるケースがあります。

顧客引き抜きにより生じた損害の賠償責任を問うためです。

ただし、訴えたからといって必ず裁判で勝てるわけではありません。

さまざまな事情を考慮した上で裁判の結果が決まります。

独立時の顧客引き抜きの違法性はケースバイケース

独立時の顧客引き抜きの違法性を訴えた裁判した事例はたくさんあります。

裁判結果については、ケースバイケースです。

顧客引き抜きの違法性が認められたケースもあれば、違法性はなく訴えが退けられたケースもあります。

独立時の顧客引き抜きと競業避止義務

独立時の顧客引き抜きについて考える際に重要な競業避止義務について説明します。

競業避止義務とは

競業避止義務は所属している会社の不利益になる競業行為を禁止することです。

入社時の誓約書や就業規則などに含まれています。

競業避止義務に違反すれば、損賠賠償請求や競業行為の差止めの請求を受けるといった処罰があるのです。

競業避止義務は企業の利益が不当に侵害されるのを守るためにあります。

従業員に競業避止義務を課すことは認められているのです。

ただし、競業避止義務の内容は法律の規制を受けるため、法的に合理性のある内容に限られます。

原則として退職後は競業避止義務を負わない

競業避止義務として在職中だけではなく退職した後の行為を制限するケースは多いです。

しかし、退職後は競業避止義務を負う必要がないとされています。

憲法で職業選択の自由が認められているため、対象後に競業行為をするのは自由とみなされるからです。

退職後の行為を制限するのは大きな問題になります。

誓約書・就業規則の競業禁止条項も退職後の行動を完全に制約できない

仮に誓約書や就業規則に競業禁止の条項が含まれていたとしても、退職後の行動を完全に制約することはできません。

誓約書や就業規則の内容は法律の範囲内でしか効果を発揮しないからです。

基本的に従業員が退職した後は、会社とはまったく無関係の立場になるため、行動を制限するのは困難であるとされています。

社会的相当性を逸脱した引き抜き行為は違法となるケースがある

独立時に顧客を引き抜きするのが問題視されるのは、社会的相当性を逸脱した行為とみなされる場合です。

引き抜き行為に違法性がある場合は、元の会社による損害賠償請求などが認められる可能性があります。

退職後に競業避止義務を負う必要がなかったとしても、法律に違反する行為をして元の会社が不利益を被った場合は罪になるのです。

実際に裁判で独立後の顧客引き抜きの違法性が認められた事例があります。

独立後の顧客引き抜きで違法性のあるケース

独立後に顧客引き抜きをして違法性のあるケースを紹介します。

顧客リストを持ち出した

独立後に顧客引き抜きをするために顧客リストを持ち出すケースがあります。

もし、以前の会社と秘密保持契約を締結していた場合は、退職後に顧客情報を外部に持ち出すことが禁止されているため注意しましょう。

誓約書で顧客リストの持ち出しが禁止されている場合があります。

顧客情報の外部への持ち出しを禁ずる契約をしていた場合は、退職後にも効力を発揮する可能性が高いです。

元の会社の信用を貶める行為をした

顧客を引き抜くために元の会社の信用を貶める行為をすると違法性があります。

たとえば、元の会社について事実無根の虚偽の情報を喧伝するといったケースです。

元の会社の信用を貶める行為をすれば営業妨害とみなされる可能性があります。

元の会社への誹謗中傷をするのも違法性が高いです。

仮に元の会社に損害賠償請求されると、信用を貶める行為をした事実を追求されて不利になります。

注意点として、たとえ事実であっても会社の信用を貶める行為をして顧客引き抜きをしてはいけません。

故意に信用を貶める行為は法的な妥当性を欠くとみなされるからです。

たとえ相手が法人であり、事実の流布をしただけだとしても、名誉毀損罪に該当するケースがあります。

退職してすぐに顧客引き抜きを行った

退職をしてからすぐに元の会社の顧客引き抜きを行うと違法性があるとみなされる場合があります。

退職後の行動は職業選択の自由があるため基本的には制約を受けません。

しかし、退職直後に元の会社の顧客引き抜きを行うのは、法的な妥当性を欠く行為とみなされる可能性があります。

たとえば、誓約書などで退職後6ヶ月や1年の間は顧客引き抜きを禁止すると約束していた場合です。

この場合は、退職してすぐ顧客引き抜きをすると違法性を疑われる可能性があります。

在職中に勧誘行為をしていた

顧客を引き抜くために在職中から勧誘行為をしていた場合は、競業避止義務に違反するとみなされやすいです。

明文化されていなかったとしても、労働者は使用者に対して競業避止義務を負うとされています。

使用者の利益を不当に侵害してはならない義務が労働者にはあるのです。

たとえば、会社で重要な地位にあった人が在職中から計画的に勧誘行為をして違法性が認められたケースがあります。

在職中の勧誘行為の違法性はすでに判例があるため注意しましょう。

独立時の顧客引き抜きでトラブルを避ける方法

独立する際に顧客引き抜きをしてトラブルが生じるのを避ける方法を紹介します。

秘密情報を持ち出してはいけない

会社の秘密情報を持ち出すのは避けましょう。

秘密情報の持ち出しは会社に大きな被害をもたらすため訴えられる可能性が高いです。

特に就業規則で秘密情報について明記されている場合は損害賠償されるケースがあります。

秘密情報の持ち出しは従業員でも退職者でも違法行為です。不正競争防止法により禁止されていて、刑事・民事での責任を問われます。

秘密情報に該当するのは以下の要件を満たしている場合です。

  • 秘密管理性
  • 有用性
  • 非公知性

また、秘密保持義務や就業規則、請求書などで秘密情報の持ち出しの禁止などが定められていなくても、トラブルになるケースはあります。

元の会社の顧客情報などの持ち出しは避けましょう。

退職時の誓約書や就業規則を詳しくチェックしておく

退職時に誓約書の締結を求められるケースがあります。

また、元の会社の就業規則で競業避止義務に関する事項が定められている場合も多いです。

退職して独立する場合は、誓約書や就業規則の内容をチェックしておきましょう。

誓約書や就業規則の内容は、法的な範囲でのみ効力を発揮します。

そのため、法的に妥当性のない条項を守る必要はありません。

それでも、誓約書や就業規則に記載する内容に違反すれば、元の会社と争うことになり面倒です。

違法性がなくても裁判にまで発展すれば手間がかかります。

基本的には元の会社との誓約書や就業規則は守っておいた方がトラブルを避けられるでしょう。

一定期間は元の会社の顧客引き抜きをしない方が良い

独立時の顧客引き抜きについて元の会社と面倒なことになるのを避けたいならば、一定期間は顧客引き抜きを避けることをおすすめします。

たとえ、引き抜き行為を禁止する誓約書などを締結していなかったとしても、退職直後に顧客引き抜きをするのは避けた方が良いです。

競業避止義務は退職後6ヶ月や1年程度が妥当とされています。

元の会社の顧客に営業行為をしたいならば、退職して1年程度は待つと良いでしょう。

専門家に相談しておく

独立時の顧客引き抜きの問題については専門家に相談しておきましょう。

法的な解釈の問題であり、自分たちだけで判断するのは危険だからです。

また、顧客引き抜きだけではなく会社設立など独立に関連することは一度専門家に相談しておくことをおすすめします。

専門家のアドバイスを得た上で判断しましょう。

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独立時に顧客を引き抜きすることで元の会社に訴えられる可能性があるため注意が必要です。

基本的に会社を辞めた時点で職業選択の自由があり、顧客の引き抜きが認められるケースもあります。

ただし、実際のところは裁判で個々の事情を考慮した上で決まるため注意しましょう。

専門家にも相談した上で顧客引き抜きについて慎重に検討してください。

会社設立をする際には経営サポートプラスアルファにご相談ください。

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