バリアフリーやユニバーサルデザインなど社会的に「多様性」を認める流れになりつつあります。
個人の障がいも1つの「個性」として認識されるように変わりつつあります。
しかし、そうしたことは「綺麗ごと」とする意見もあります。
障がい者として社会的に受け入れられ、健常者と同じように生活できるのは、車いすや視覚、聴覚障がい者の方などで、知的障がい者、精神障がい者の方々はまだまだ避けられる傾向があるともいわれています。
障がい者施設は、特に重度身体障がい者の方や、知的障がい者、精神障がい者の方々が利用する場合、周囲の住民の方からの理解を得るのが難しい可能性があり、開業に際しては細心の注意が必要です。
他の施設開業とは異なる細やかさが求められるので注意してください。
今回は障がい者施設開業について解説します。
障がい者施設開業には何が必要なのか?
何が障がい者施設なのかは、ここでは割愛します(膨大な種類があるので)。
詳しくは、
・「障害者総合支援法」に定められる施設・事業所
・「児童福祉法」に定められる施設・事業所
双方のリンク先をご覧ください。
どのような施設が「障がい者施設」であるか、知っていただいたうえで、障がい者施設開業にあたり必要なことを考えていきましょう。
障がい者施設開業の要件は以下になります。
法人であること
障がい者施設開業に際して法人格が必要になります。
法人格とは何を意味するのでしょうか?
具体的には
- 会社(株式会社、合同会社、合名会社、合資会社)
- 社会福祉法人
- 医療法人
- NPO法人
などになります。
必ずしも「会社」でなくてもよいのですが、ポイントは個人事業主では障がい者施設の開業はできないということです。
必ず何らかの法人であることが求められます。
障がい者施設の種類に応じた専門資格者の配置
障がい者施設の開業は、他の福祉施設の開業と同じく
- 管理者としてサービス管理責任者(児童発達支援管理責任者)、サービス提供責任者を置く
- 障がい者施設に応じた専門資格者人員数を配置する
ことが必要です。
各障がい者施設に応じた「サービス提供者の専門資格」を持った人を配置します。
サービス管理責任者は「障害者の保健、医療、福祉、就労、教育の分野における支援業務において5年以上の実務経験」か「障害者の直接支援業務で3年~8年の実務経験(前提となる資格による)」に加えて、 定期的な研修の受講も必要です。
開業したいみなさんがこの経験がない場合、外部人材として適切な待遇でこの専門資格を有する人を雇用して迎えいれなければなりません。
開業条件に適合した物件の用意
障がい者施設開業については、施設の大きさ、設備(浴室、食堂、相談室、休憩室、医務室など)などについて詳細な規定があります。
防災基準にも適合し、安心して障がい者の方が利用できることが重要です。
そのため、そのまま建物、事業所を居抜きで借りるだけではなく、工事や室内造作なども必要になります。
さらに、訪問型の障がい者施設の場合、利用者本人やご家族、支援者との相談スペースなど一定の規定があります。
障がい者施設の開業にあたっては
- 障害者総合支援法・児童福祉法の基準(開業の最低ラインの施設基準)
- 建築基準法の基準
- 消防法の基準
- 保健所の許可(特に食堂などで食事、給食を提供する場合)
- 自治体(都道府県や市区町村)による障がい福祉事業者指定
などを満たす必要があります。
障がい者施設利用者は、防火、防災の観点からすると、健常者のように速やかに避難するのが難しい方もいらっしゃるので、リスク回避のため、最低限の基準ではなく、最大限配慮した何重にも安全性を考えた施設設計にしてください。
バリアフリーやユニバーサルデザインは当然、公共施設や大規模商業施設以上に完璧なものに仕上げないといけません。
地域、地元住民への丁寧な説明と同意
最初に述べましたが、障がい者施設開所に対しては、周囲の住民の方の理解が不可欠です。
実際にはそういうことはほとんど起こりえないのですが、「利用者が小さい子供に・・」と偏見を持つ地域住民をゼロにはできません。
したがって、障がい者施設開業にあたっては、
- どういう障がい者施設なのか
- 安全性(防火、防災面を強調。利用者を悪者にしない)
- 障がいについて詳しく説明
を地域住民に複数回にわたって行うことが望ましいです。
保育園や幼稚園の開園すら地域住民の反対で叶わないケースもあり、今後、地域に根差した施設でやっていく上では、障害者福祉の専門家のアドバイスも聞きながら、適切な事前説明を行ってください。
意識や「民度」が高いと思われていた港区南青山の児童養護施設の反対運動もよく経緯などを調べておくとよいでしょう。
<参考記事>
「一等地に似合わない」と反対された東京・南青山の児童相談所、4月開所へ ボランティアに応募多く|東京新聞
障がい者施設開業の流れ
障がい者施設開業の流れは、法人設立が絶対条件になります。
また、許認可等は他の福祉系サービスと同じになります。
地元の理解が不可欠です。
障がい者施設建設地の地元の理解を取り付ける、丁寧に説明する |
↓
開業する障がい者施設を決定する |
↓
法人を設立する(株式会社か合同会社がおすすめ) |
↓
開業資金の準備 |
↓
事業所を借りる、内装工事、造作、什器備品等の購入 |
↓
開業基準を満たす資格者の採用 |
↓
障がい者施設に応じた許認可を取得する(指定申請(障害福祉サービス事業者等)) |
↓
指定事業者の決定・指定時研修受講 |
↓
事業開始、開業 |
↓
法人設立、開業に伴う社会保険、年金、労働関係の諸手続き |
障がい者施設開業は法人ならよく、社会福祉法人やNPOを目指すのもいいですが、手続きが複雑で条件も多いため、合同会社や株式会社の方が一般的に設立しやすいです。
他の事業をすでに行っている会社(法人)が新しく障がい者施設を開業する場合で、定款の会社の事業目的に障がい者施設経営や障がい者サービスなどが入っていない場合、登記の修正が求められます。
障がい者施設開業(事業、サービススタート)は法人登記簿に「障がい者施設」などの文言が入ってからになります。
経営サポートプラスアルファでは、実質0円で会社設立のサポートをしています。
会社設立登記だけではなく、そのほかの許認可申請代行についても依頼できます。
障がい者施設を開業する場合、訪問型障がい者施設の一部を除き、大きな広さの事務所、事業所が必要になります。
したがって、障がい者施設の「自宅開業」はとても難しいとお考え下さい。
障がい者施設の開業資金
ある程度の広さを持ち、プライバシーに配慮され、相談スペースを持つ障がい者施設は居抜きで入るのは難しく、自分たちで企画して事務所工事、内装、造作、設備投資などが必要です。
作業所(A型、B型両方)、宿泊型の施設(グループホームなど)の開業であれば数千万円、億単位の開業資金が求められます。
いきなり銀行へ行って「お金を借りたい」と相談しても、実績がなければ資金調達は相当難航します。
したがって、開業相談の段階で、資金調達に強く、事業計画書などのコンサルティングができる会社にアドバイスを求めるべきです。
少しでもお悩みの方は、ぜひ経営サポートプラスアルファまでご相談ください。
障がい者施設は、介助や配慮、サポートが必要な人が利用しますので、施設やバックアップ体制に万全を期することが大切です。
障がい者施設の開業を希望する方はまず「経営サポートプラスアルファ」に相談!
障がい者施設は法律で設置基準や必要な資格、事業所のスペックなどが決まっています。
何を開業すべきなのか企画段階でしっかり決め、事業計画を考える必要があります。
そのうえで法人(会社)を設立し、多額の開業資金を調達し、設備の工事、資格者の採用などを行い、最終的に障がい者施設開業の許認可申請をして開業できます。
地域の方々の理解も重要です。
今後、その地域の重要なコミュニティになるので、多くの人に歓迎される障がい者施設開業にしなければなりません。
ここまでの各段階の手続きは複雑であり、障がい者施設開業に詳しく、会社設立代行や許認可申請代行、資金調達などに総合的なアドバイスをできる専門家が必要です。
経営サポートプラスアルファは会社設立、資金調達、各種許認可申請に詳しい専門家、代行できる資格者がいます。
開業相談~会社設立~資金調達~許認可~開業後税務処理までワンストップサービスを提供できます。
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また、遠隔地にお住まいの方はLINEやZOOM、チャットワークにて全国対応でオンライン相談させていただきます。
障がい者施設は今後の日本社会において重要な社会的アクターになりえる存在です。
単に目先の利益だけではなく長期的な社会貢献を考えるみなさんの相談をお待ちしています。