映像制作会社、動画制作会社と聞くと、テレビなどの撮影をイメージする人が多いですが、そうした会社はすでに「既得権益」化していて、新規に参入するのがなかなか難しくなっています。
そもそもテレビ(あるいは映画)業界は斜陽化していて、番組の動画も視聴者がスマホで撮影したものをそのまま流すような有様になっています。
では映像制作会社や、動画制作会社の需要がなくなったかというとそうではありません。
YouTubeなどの動画サイトには、収益化を狙ってYoutuber以外の企業アカウントも参入しています。
また、企業の広告もテレビなどに打たず、企業HPなどに貼り付けるところも増えています。
以前に比べて映像制作会社、動画制作会社のニーズは確実に高まっています。
今回は、映像制作会社、動画制作会社を起業する際のポイントについて確認します。
ネット動画の世界は参入障壁が低く、起業したばかりの会社でも十分に戦えます。
それでは映像制作会社、動画制作会社の起業を考えましょう。
映像制作会社、動画制作会社の仕事とは
一言で「映像制作」「動画制作」といってもその内容はさまざまです。
映像制作会社、動画制作会社が行う仕事を簡単に押さえておきましょう。
映像制作、動画制作を一括して引き受ける
企画、撮影、編集など一連の工程をすべて担当します。
撮影技術や編集技術はもとより、営業力なども重要になります。
企業や公共団体などから直接依頼を受けて動画撮影し、CMの制作やプロモーションビデオの制作、歌手のミュージックビデオの制作など多岐にわたります。
最終的な映像制作会社、動画制作会社の到達点ともいえる業務です。
制作会社からの下請け
大きな映像制作会社、動画制作会社から工程の一部を下請けとして受注します。雇用契約ではなく、業務委託契約なので、仕事を期限までにしっかり仕上げることが大切です。
広告代理店の下請けで、映像制作の一部、もしくは全ての制作を担うこともあるかもしれません、早い話が「丸投げ」ですが、仕事をしっかり行えば、業界とのコネクションもでき、今後につながります。
直接クライアントから仕事を請け負うよりも、単価は低い傾向ですが、ひとたび信頼が得られれば、安定して受注できます。
リピーターが直接貴社に仕事を発注することもあるかもしれません。
映像制作業界で生き抜いていくためには、最初は泥臭い仕事でもしっかり行い、評価されていくことが大切です。
クラウドソーシングサイトでの下請け
映像制作、動画制作の一部(主に編集)をクラウドソーシングサイトなどで請け負います。
これなら、大規模な撮影機材は不要で、自宅でパソコンソフトだけでもできる仕事です。
開業当初、あるいは企業前の実績作りとして、在宅でできる部分工程の外注受注をするのはありです。
映像制作会社、動画制作会社になるには
映像制作会社、動画制作会社を起業するには、一定の業務経験、実務景経験か専門的な勉強が必要です。
起業前のスキルの積み方について解説します。
映像制作会社、動画制作の会社で働く
実務経験を積むには、動画会社やTV局などで働くことになります。
しかし、そもそも正社員として働ける口が少なく、激務で知られています。
また、大手ならば給料もいいですが中小の映像会社は激務薄給です。
そこで耐えなければなりません。
修行期間だと割り切り、実績を積むことで、クオリティの高い動画制作スキルを磨くことができます。
映像制作、動画制作の学校に行く
動画や映像制作については学校がいくつもあります。
そこで撮影技術や編集技術を学びます。
最近ではYoutuber養成講座を併設しているところもあります。
お金を払って学ぶので、丁寧にしてくれるところが多いです。
とはいえ、まったく実務経験もポートフォリオもない人が独立開業しても、仕事を請け負える可能性は極めて低いです。
在学中より、クラウドソーシングサイトなどで、安くても動画制作や編集制作の仕事を受注して、実績として示せるようにしておくのが最低条件になります。
完全未経験でもある程度は学校で学ぶことができます。
特に動画制作や編集に必要なツールであるAfter EffectsやPremiere Pro、PhotoshopやIllustoratorは学校で初歩から勉強した方がいい場合もあります。
ハローワークの職業訓練で学ぶ
ハローワークの「職業訓練校」で動画編集や映像制作を学ぶことができるところがあります。
職業訓練で実施されているということは、比較的短期にスキルを身につけられるということでもあります。
費用が掛からず、わずかばかりの日当も支給されます。
それだけでは生活できませんが、失業手当も所定の期間はもらえるので当座をしのぐことはできます。
職業訓練中(失業手当受給中)も、クラウドソーシングサイトなどで稼ぐことはできます(失業認定日に届け出が必要)。
ハローワークは「転職」(雇用される)人のためのものだと思われがちですが、「求職活動中に創業の準備・検討をする場合」も失業保険の給付対象になることとなっており、開業届を出すまでは、職業訓練や失業手当の受給が可能です。
さまざまな可能性を鑑みて、職業訓練校に通うのはありです。
動画制作会社、映像制作会社企業は会社か個人事業主か?
動画制作会社、映像制作会社を起業する際「法人化」(〇〇株式会社)と「個人事業主」という2つの選択肢があります。
それぞれメリットとデメリットがあり、それらを勘案して起業時の形態を決める必要があります。
では、法人化と個人事業主のメリットとデメリットを見てみましょう。
映像制作会社、動画制作会社を設立する |
映像制作、動画制作を個人事業主として行う |
メリット |
|
社会的信用がある(取引先から見て) |
簡単に設立できる |
経費の範囲が広い |
定款などの作成義務がない |
責任の範囲が有限 |
自由な働き方ができる |
赤字繰り越しが10年である |
廃業手続きもすぐにできる |
売上が多くなれば個人事業主よりも税率が下がる |
社会保険に加入できないため、国民健康保険と国民年金では老後が不安 |
最高税率が23.2%と所得税の約半分 |
|
デメリット |
|
設立までの手間がかかる |
社会的信用がない |
設立後の帳票作成や税務申告が大変 |
最大税率45%と法人税よりはるかに高い |
赤字でも法人住民税がかかる |
無限責任で経営失敗のマイナスはすべて自分が負う |
社会保険へ加入しなければならない |
赤字繰り越しが3年までしかできない |
会社の廃業手続きが煩雑 |
経費で落とせる範囲が狭い |
法人と個人事業主の大きな違いは
- 法人:社会的信用が高い、手続きや意思決定に手間がかかる
- 個人事業主:自分で即断できる、手続きが簡単、社会的信用が低い
です。
社会的信用を重視するか、気軽な起業や会社運営を重視するかで異なります。
両者一長一短がありますが、映像制作会社、動画制作会社の起業では、会社設立、法人化をおすすめします。
動画はネットに長く残るものであり、クライアントはよりリスクの低い相手に依頼したいはずです。
個人事業主でもスキルの高い人はいますが、確率的には会社設立している動画制作、映像制作者に依頼する方がリスクヘッジになります。
会社設立登記をする=住所、代表者の氏名、資本金などを公開するので、怪しい事業者は(一応)排除できるからです。
現在、動画や映像は非常に重要なツールであっという間に拡散します。
したがって、可能な限り安心できるところと取引したいのです。
また、映像制作会社、動画制作会社の売上が高く見込める場合も、個人事業主ではなく会社を設立した方がいいです。
事業主体 | 法人化(会社設立) | 個人事業主 |
---|---|---|
所得税 | 代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45% | 事業の売上から「事業所得」を算出してその5%~45% |
個人住民税 | 代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10% | 事業の売上から「事業所得」を算出してその約10% |
消費税 | 課税売上1000万円以上の場合支払う(2年間は支払い義務がない特例もあり) | 課税売上1000万円以上の場合支払う |
法人税 | かかる(15%~23.2%) | なし |
法人住民税 | かかる | なし |
法人事業税 | かかる | なし |
個人事業税 | なし | かかる |
法人化した場合、支払うのは法人税、個人事業主の場合は所得税を納税します。
この税額は、年間売上が約1000万円前後を境に「法人税>所得税」から「法人税<所得税」に変わります。
売上が1000万円を超えると見込まれる場合、法人化した方が節税になります。
また、法人化して2期まで条件を満たすと、消費税の納付義務が免除される制度もあります。
法人化は税制面ではかなりメリットがあります。
というわけで、社会的信用(仕事の獲得)や税制面も併せて考えると、個人事業主よりも会社設立をして起業した方がよさそうです。
そのための諸手続きについては、専門家のアドバイスをぜひ受けてください。
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動画制作会社、映像制作会社の開業資金は?
動画制作会社、映像制作会社の起業の際に必要な「開業資金」を見積もってみましょう。
さすがに、スマホで動画撮影してそれをパソコンで編集、というわけにはいきませんので、しっかりした機材の準備が求められます。
独立開業費資金内訳 | 金額 |
---|---|
物件取得(敷金礼金仲介料) | 100万円(自宅開業なら不要)家賃×3か月、敷金、礼金 |
パソコン(高スペックなもの)、編集ソフト一式 | 1人30万円 |
ネット回線 | 5万円(自宅開業なら不要) |
カメラ(プロ仕様の高性能機材) | 50万円 |
関連機材(三脚・照明・マイク等) | 15万円 |
運転資金(当面の生活費) | 1人あたり50万円~70万円 |
合計 | 400万円前後 |
(法人の場合)法定設立費用 | 6万円~20万円+資本金 |
しっかりした機材を外部の事務所とともに準備すると、400万円程度の資金が必要になります。
自宅開業も可能ですが、編集機材などを置く部屋が必要になります。
倉庫なども考えると外部マンション等を借りた方がいいかもしれません。
打合せ、来客対応を行わないのであれば、店舗(事務所)ではなく居住用マンション(事業使用OKのもの)で初期費用や家賃を抑えることもできます。
要は静かな環境で余裕を持ちながら映像制作、動画制作ができることが大切なのです。
開業資金を全部自己資金で賄うのはなかなか大変です。
そこで、足りない部分を「創業融資」で調達してもいいです。
創業融資は、日本政策金融公庫や各地商工会議所、商工会、自治体窓口などで受け付けています。
起業、開業全般にかかわるアドバイスも受けることができるので、融資を利用しない場合も、相談に行ってみてもいいでしょう。
ただ、より起業に特化した民間コンサルタントを利用するのも1つの方法です。
開業のプロフェッショナルである「経営サポートプラスアルファ」などもそうした選択肢の1つになります。
事業計画書の作成などが求められるため、民間コンサルタントの力を借りた方が結果的にうまくいきます。
公的な組織は「事業計画書は自分で作成して」というスタンスです。
映像制作会社、動画制作会社を起業するならば「経営サポートプラスアルファ」に相談をしてください!
映像制作会社、動画制作会社は今後需要増が期待できる分野です。
一方で誰でもスマホで動画を撮影できる時代になり、センスがよければ、「素人」でもバズる動画を制作できるようになりました。
映像制作会社、動画制作会社として「プロ」の仕事をするためには、しっかりスキルを積み、機材を準備して、可能ならば会社組織を立ち上げて、起業をするべきです。
そのためのさまざまな手続きは、慣れない人には大変です。
そこで、会社設立、創業融資の申請、開業後の経理処理、各種申告などについて専門家のサポートを受けることをおすすめします。失敗がなく確実です。
「経営サポートプラスアルファ」には映像制作会社、動画制作会社の起業に詳しいプロフェッショナルがそろっていますので、なんでも聞いてください。
土日祝日夜間も対応します。
遠隔地にお住まいの方はLINEやZoom、chatworkなどのアプリを使っていただけます。
基本的なことからわかりやすくアドバイスさせていただきます。何卒宜しくお願い致します。