個人事業主と法人の違いとは?利用できる制度や節税の方法を理解しよう

個人事業主として収入を得ている方もいれば、法人化して会社として収益を出している方もおられます。

それぞれ開業して収入を得るというやり方は同じでも仕組みや利用できる税金対策、社会的信用などは違いがあります。

そのためフリーランスとして活動する際に「法人と個人事業主はどちらが良いのだろう?」と疑問を感じる方もおられるでしょう。

フリーランスと法人の違いから内容を紹介しましょう。

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個人事業主と法人の違いをそれぞれ紹介

「個人事業主と法人の違いとは?」と疑問を感じる人もいるでしょう。

個人事業主と法人は手続きや費用、税金、保険などの点で違いがあります。

それぞれどのような違いがあるのか詳細な点を紹介しましょう。

事業を行うまでの手続き

個人事業主になるための手続きは、税務署に開業届を出すだけで完了させることができます。

諸費用はかからず、確定申告を青色にしたい場合は青色申告承認申請書も一緒に提出することで控除を受けることができます。

青色申告承認申請書を出さないと白色のままなので注意しておきましょう。

一方、法人の場合は設立する会社形態に応じて登記にかかる費用の支払いが必要です。

会社形態が株式であれば約25万円、合同会社であれば10万円ほどが必要なので資金の準備をしておく必要があります。

会社専用の印鑑や社会保険の加入も必要であり、提出する書類の数も多いので個人事業主に比べて直ぐに手続きが完了するわけではありません。

法人の場合、最低でも2週間は手続き期間が必要なので、その期間を計算字で行動するようにしましょう。

支払う税金に違いがある

個人事業主と法人では支払う税金にも違いがあります。

個人事業主と法人は住民税と事業税、消費税を支払うことは一緒です。

ただ、個人事業主は所得税、法人は法人税を支払う点については同じではありません。

所得税は累進課税となっており、儲けが大きくなるほど税率も高くなっていきます。

つまり収入が増えればその分税金の支払い負担も大きくなります。

例えば個人事業主として年収800万円ならば所得税は23%となるので、200万円近くも税金で取られてしまいます。

一方、法人の法人税は税率が穏やかであり、最大税率は23.2%なので税率は小さいです。

例えば資本金が1億円以下で所得が800万円でも法人税なら15%と先ほどの個人事業主に比べて8%も低い税率となっています。

税率が低いのは法人なので、収入が増えれば個人事業主から法人に切り替えるのが得策でしょう。

法人は給与を経費として計算できる

法人と個人事業主では経費の部分でも違いがあります。

それは法人の場合、給与を役員報酬という形で経費として計算することができることです。

個人事業主は事務所を借りている場合、光熱費や家賃、通信費、また駐車場代やガソリン代など仕事で消費したものに関して経費として計上することができます。

他に交際費も経費とできるため、取引先との会食代や冠婚葬祭などの費用も経費として計上できます。

一方、法人の場合は会社が給与を支払うことになるので、設立した本人の収入は給与として支払われることになります。

そのため、自分の給与も経費として計上できるのです。

さらに、生命保険をかける際も個人事業主は上限が12万円までとなっていますが、法人は契約内容によって全額経費に計上できます。

退職金や賞与も経費計上できるため、税金の支払い金額を大きく減らすことが可能です。

社会的信用度は法人が断然高い

個人事業主と法人では社会的信用度に違いが生じます。

そして、社会的信用度が高いのは圧倒的に法人です。

法人の方が社会的信用度が高いのは法律に基づいて厳格に運営されているからです。

例えば、手続きにおいても個人事業主は開業届を出すだけなのに対し、法人は書類や印鑑の準備など行うべき手続きが多いのも1つの理由です。

社会的に信用度が高いから銀行で融資を受けるときも財政面の透明性から審査に通りやすく、法人用のクレジットカードなどを作成するのも比較的簡単です。

一方、個人事業主の場合は社会的信用度が低いので、銀行などの大手金融機関から融資を受けることが難しく、資金のやり繰りに苦労することもあるでしょう。

もし、資金調達の面で信用度を上げるなら法人として手続きを行うのがいいでしょう。

法人は社会保険に加入する必要がある

個人事業主と法人では社会保険への加入義務についても違いがあります。

法人になれば社会保険への加入が義務付けられており、自分しかいない会社だったとしても加入しなくてはいけません。

保険には国民保険と社会保険がありますが、支払い金額が大きいのは社会保険です。

そのため、資金が少ない状態だと社会保険が費用負担を大きくしてしまう場合もあります。

一方、個人事業主の場合は社会保険の加入は義務付けられておらず、職員数が5名未満であれば任意での加入です。

社会保険の加入の義務が違いますが、社会保険に加入できるなら利用した方がお得です。

社会保険に加入できるなら従業員を雇うときにアピールすることも可能であり、厚生年金と一緒なので安心感を抱かせることもできます。

福利厚生の充実を行えるので個人事業主よりは従業員の信頼度も高いです。

支払うコストも増えるので会社や事業にかかる費用を計算して決定する必要があるでしょう。

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個人事業主から法人に切り替わるタイミングとは?

個人事業主と法人では違いがありますが、メリットが大きいのは法人です。

法人なら事業の手続きに手間がかかりますが、税金対策の面で幅が広がるため節税の方法は増えます。

ただ、個人事業主から法人に変わるときにはタイミングも大事です。

どのようなタイミングで法人化するのが良いのかポイントを紹介しましょう。

個人所得が増えたときに法人化を考える

個人事業主が法人に変わるときは所得を考えることが大事です。

上記でも紹介しましたが、個人事業主は収入が増えれば税金も増えていきます。

一方、法人の場合は所得金額が800万円以下であれば税率は15%と決まっているため、一定金額までは法人の方が税金の支払いは少なくて済む場合が多いです。

例えば、700万円で個人事業主であれば税金は23%ほど取られますが、法人ならば15%なので、税金の支払いは法人が安くなります。

控除金額を大きく受けることもできますが、控除額が無い年収700万円の個人事業主なら所得税は161万円、そして、法人は133万円を支払う計算です。

つまり、同じ700万円の収入でも税金は28万円も変わってくるため、大体700万円〜800万円ほどの所得があるなら個人事業主から法人に切り替えるのがおすすめです。

800万円を超えると法人も23%の税率となりますが以降は増えず、個人事業主は最大45%まで税金が増えるため、高所得になるほど法人化を検討するのがいいでしょう。

消費税負担を考えて法人化を検討する

個人事業主と法人は、どちらも消費税の負担を考えなくてはいけません。

消費税の納税義務は2年前の売上が1,000万円を超えているかどうかで検討します。

事業を始めて2年までは納税義務がありませんが、3年目で1年目の売上が1,000万円を超えていたなら納税の義務が生じます。

法人も同様であり、3年目で1年目から売上が1,000万円を超えているなら支払い義務があります。

ただ、個人事業主から法人に切り替えるなら、年数はリセットすることが可能です。

例えば、個人事業主で2年仕事を行うと翌年から消費税負担が増すことも検討できますが、3年目になるタイミングで法人に切り替えれば、法人としては2年前の売上は0なので消費税負担はなく、さらに3年後から納税義務が生じることになります。

そのため、個人事業主として売上が1,000万円を超えて2年後に法人化すれば、最大4年間は消費税の支払いを伸ばすことができます。

消費税の納税義務が発生する年を見据えて法人化を考えてみてください。

資金調達の面で法人化を検討

個人事業主も法人も仕事をスムーズに行うためには、資金調達できるルートを確保することは大事です。

資金調達することができるなら、事業で必要なお金を融資することができ、足りない部分を補填することもできれば、新しい事業を始めるための資金源とすることも可能です。

ただ、金融機関から融資を受けられるのかは信用度により変わってきます。

上記でも紹介しましたが、信用度が高いのは個人事業主よりも法人なので、銀行などの大手金融機関を利用して資金調達したいなら、法人の方がお得です。

個人事業主で資金調達できる金融機関もあるとはいえ、融資の金額が少ないなら、経営が厳しいときや新たな事業を始めるときに資金不足になることも考えられます。

そのため、資金が大きく必要になる段階で法人化するのも1つの方法です。

融資を受けることができるようになれば会社設立への自信も付くようになるため、資金調達から法人化を検討してみてください。

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法人化するための手続きはどうすべきか?

個人事業主から法人にしようと考えるなら、法人化するための手続きについて知っておく必要があります。

法人は個人事業主のように簡単になれるわけではなく、いろいろな手続きが決定を行う必要があります。

どのような手続きや費用が必要なのか紹介しましょう。

会社の基本事項や設立登記を行う

会社を設立するためには設立登記や基本事項を決定する必要があります。

まず会社の基本事項は事業の目的や商号、本店所在地、資本金、役員などを決定しましょう。

その後に定款を作成します。

定款は基本的な事項を文書にまとめたものであり、記載しなければ有効となりません。

絶対に記載しなくてはいけない事項に会社の目的や商号、本店所在地、設立に関して出資される財産の価額、発起人の氏名と住所、発行可能株式総数があります。

そして法人を有効にするため

  • 株式の譲渡制限に関する定め
  • 取締会、会計参与、監査役、委員会、代表取締役などの設置
  • 取締役などの任期
  • 監査役の任期の伸長
  • 広告の方法

などを記載します。

定款を記載できれば公証役場で認証を受けるため文章として提出しましょう。

定款の認証を完了できれば、資本金を発起人の代表者個人の口座に払い込みます。

その後に法務局に行き設立登記を行いましょう。

法務局では登記申請書、定款や印鑑証明書などの書類が必要になるため、忘れずに持参するようにしてください。

税務署に書類を提出

会社設立を完了した後は、各所に必要な書類を提出しなくてはいけません。

まずは税務署に

  • 法人設立届出書
  • 青色申告の承認申請書
  • 給与支払事務所などの開設届
  • 源泉所得税の納税の特例に関する申請書
  • 登記事項証明書や定款のコピー

が必要となるので忘れずに届けましょう。

都道府県税事務所や市区町村の役場にも法人設立届の書類を提出する必要があります。

年金事務所で社会保険の手続きを行う

法人になれば社会保険の加入も必要となるので、年金事務所で手続きを行う必要もあります。

社会保険に加入するためには

  • 健康保険 厚生年金保険新規適用届
  • 健康保険 厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険扶養者届

を提出するようにしましょう。

また、社会保険は自分はもちろん、従業員分の保険が必要となるので、人数分の社会保険が適用されるように準備してください。

労働基準監督署とハローワークに届出を行う

会社設立の時に従業員を雇うなら労働保険に加入する必要があります。

労働保険への加入には労働基準監督署で「労働保険 保険関係成立届」「労働保険 概算保険申告書」という書類を提出しなくてはいけません。

そして、ハローワークにも「雇用保険 適用事務所設立届」「雇用保険 非保険者資格取得届」を提出することで準備が整います。

従業員がいる場合はこちらの手続きも忘れないようにしてください。

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個人事業主と法人についてのまとめ

個人事業主と法人では税金の支払いや手続きなどによって違いがあります。

ただ、個人事業主よりも法人の方がメリットが多いので、事業が大きくなって収入が増えてくれば、法人化した方が断然お得です。

ぜひ、個人事業主の方は法人への切り替えを念頭においてみてください。

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