最近は中小企業でもホールディングス化を進めるケースが増えています。
それではホールディングスにはどのような意味があるのでしょうか。
本記事ではホールディングスのメリット・デメリットや注意点について解説します。
ホールディングスのメリット
ホールディングスのメリットを詳しく解説します。
企業経営と事業を分離できる
ホールディングス化により、企業経営を担当する親会社と事業を担当する子会社に分離できます。
親会社と子会社で役割分担することで経営の効率化を図れるのがメリットです。
スムーズに意思決定を進めることができます。
子会社は親会社の指示に従い事業に専念することで業務の質の向上を期待できるでしょう。
事業別の損益を明確化できる
事業部門ごとに子会社を設立することで、事業別の損益が明確化します。
各子会社の損益状況が、各事業部門の損益を示すからです。
ホールディングス化により、成功している事業と失敗している事業が明確になるため、経営判断を行いやすくなります。
各会社の賃借対照表や損益計算表をチェックすれば、具体的な数値に基づいて分析や判断ができるのです。
リスクの分散や遮断が可能
ホールディングス化により、事業部門ごとに会社を分けることでリスクの分散や遮断が可能です。
たとえば、特定の子会社が不祥事を起こして営業停止処分になったとしても、他の会社には影響しません。
多額の赤字が発生している事業部門があるならば、会社ごと切り離す選択もできます。
M&Aしやすくなる
ホールディングスはM&Aの対策になります。
ホールディングス体制であれば、親会社と子会社は独立した法人のため、間接的な買収を防げるのです。
また、子会社の赤字が続いたときには法人ごと売却できます。
他社を買収した場合は自社グループに簡単に組み込むことができます。
後継者育成を進めやすくなる
ホールディングス化により子会社ができれば、後継者候補に子会社の経営を任せられます。
後継者候補が複数いる場合は、各子会社の経営を担当させて経営者としての素質を見極められるのです。
最終的には後継者に親会社を引き継がせます。
ホールディングスのデメリット
ホールディングスのデメリットを紹介しましょう。
グループのコントロールが難しい
ホールディングス化ではグループのコントロールをするのが難しいです。
ホールディングスが子会社の支配権を持つ状態になるため、的確に管理することが求められます。
きちんと各子会社の状況を把握して適切な指示を出すことができなければグループ内で混乱が生じるからです。
グループをまとめるための戦略性やリーダーシップなど高度なスキルや資質が求められるため、しっかりと準備しないと失敗します。
企業間の連携や調整が難しくなる
ホールディングス化を進めると子会社同士の連携や調整が難しくなります。
子会社は完全に別法人として独自に事業を進めるからです。
何も対策をしなければ、子会社同士の交流がまったくなくなるため、コミュニケーションを取りづらくなります。
子会社同士で連携してプロジェクトを組みたくても、上手くいかないケースが出てくるのです。
管理コストが増大する
ホールディングス化によって会社が増えるため管理コストが増大します。
各会社ごとに会計や税務、人事などの部門を設置する必要があり、管理部門が増幅することでコストが大きくなるのです。
何らかの対策を講じないと管理コストの負担が大きくて経営を圧迫します。
たとえば、人事や管理などの部門を親会社に集約して管理させることでコスト削減は可能です。
子会社が情報隠蔽するリスクがある
ホールディングスでは、子会社が親会社に情報を正しく伝えることが大切です。
しかし、完全に別法人となるため、子会社が情報隠蔽するリスクが常に生じます。
きちんと親会社が子会社を統制する体制を整えないと、子会社が不祥事を隠してグループ全体の信用を失墜させるケースがあるのです。
ホールディングス化に向いている会社
どのような会社がホールディングス化に向いているのか紹介します。
複数の事業を展開している会社
複数の事業を展開している会社はホールディングス化によるメリットが大きいです。
各事業ごとに子会社を設立すれば、経営管理と事業を分離できます。
ホールディングスが経営に専念して、子会社が事業に専念する体制になるのです。
個々の事業ごとに会社を分ければ損失が明確になり、リスクの分散にもつながります。
赤字部門を他社に売却したいときは、ホールディングス化していれば手続きを進めやすくなるでしょう。
規模の大きな会社
企業規模が大きい会社はホールディングス化に適しています。
ホールディングス化により意思決定が迅速に進むようになるからです。
大きな規模の企業はトップと現場に距離があります。
たとえば、現場の担当者が提案書を提出して経営陣に到達するまでかなりの時間がかかるのです。
大きな企業は中間管理職がたくさんいて、チェックや修正などの手間がかかります。
規模が大きいと意思決定や実行までのスピードが遅くなりやすいです。
ホールディングス化すれば、各会社ごとに意思決定を委ねて、トップはグループ全体の意思決定に専念できます。
スピード感のあるビジネスを実現できるようになり、環境の変化やトラブルにも迅速に対処できるようになるのです。
資本関係が複雑になっている会社
資本関係が複雑化している会社はホールディングス化で問題を解決できます。
株式保有関係が複雑になっているケースは少なくありません。
ホールディングス化すれば、親会社と子会社という関係を明確にできます。
資本関係を一本化してわかりやすくすれば、さまざまなトラブルを回避できるのです。
支配関係が明確になり、それぞれの会社の役割がわかりやすくなります。
後継者を育てたい会社
これから後継者を育てたいと考えているならば、ホールディングス化のメリットは大きいです。
ホールディングス化で子会社を作ることで新しいポストが生まれます。
後継者候補を子会社の重要なポストに就かせることで実務経験を積ませられるのです。
後継者候補は子会社の経営を通して現場を理解できるようになります。
また、子会社の経営を任せれば現場から信頼を得られるようになり、将来的にホールディングスのトップに立つ際には支持されやすくなる点もメリットです。
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ホールディングス化を図る際の注意点
これから実際にホールディングス化を図る上で注意したい点を解説します。
従業員のモチベーション低下に注意する
ホールディングス化によりモチベーションを下げる従業員が出てくる可能性があります。
ホールディングス化に伴い従業員の出向や転籍が起きる場合があるからです。
現在の環境で働くことに満足していた従業員は出向や転籍を拒絶するケースがあります。
最終的には退職する従業員が出てくる場合もあるのです。
ホールディングス化を進める際には従業員にきちんと説明して理解を求めることが必要になります。
たとえ従業員に大きな変化がなくても、ホールディングス化に対して漠然とした不安を覚えるケースはあるからです。
ホールディングス化の意義を説明して、従業員の不利益にならないことを理解させましょう。
ホールディングス化にかかる費用を念頭に置く
ホールディングス化のプロジェクトを進める際にかかる費用を念頭に置くことが大切です。
どの程度の費用がかかるのか事前に見積もっておきましょう。
たとえば、新しい会社を設立するならば手続きを進めるために費用がかかります。
専門家に手続きを手伝ってもらう場合には報酬の支払いが発生します。
会社が増えることで管理費用が増大することを考慮しましょう。
目的意識を持って行うことが大切
ホールディングス化はきちんと目的意識を持って行うことが大切です。
現在、企業が抱えているさまざまな問題を解決するためにホールディングス化を行います。
目的を明確にすることで、株主や従業員、取引先などを納得させる説明ができるでしょう。
目的が明確であれば、計画性を持ってホールディングス化を進められます。
専門家に相談しておく
ホールディングス化を進める際には専門家に相談して意見やアドバイスをもらうことをおすすめします。
専門家であれば、さまざまな点を考慮してホールディングス化が正しい選択かどうか判断してくれるからです。
ホールディングス化の具体的なプランを立てる際には専門家の助言をもらうことで実現可能な内容にできます。
ホールディングス化を相談できる専門家をお探しの方は経営サポートプラスアルファにお任せください。
法人設立の専門家であり、税理士法人であるため、さまざまな観点からホールディングス化をサポートできます。
まずは経営サポートプラスアルファまでお気軽にご相談ください。
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ホールディングスには事業別の損益の明確化やリスクの分散化、後継者育成などさまざまなメリットがあります。
一方、管理コストの増大や子会社の情報隠蔽のリスクなどデメリットもあるため気をつけましょう。
ホールディングスの失敗を避けたいならば、専門家に協力してもらい慎重にプロジェクトを進めることが大切です。
経営サポートプラスアルファならば、ホールディングスのサポートに対応いたします。
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