日頃からせどりを営んでいる人は、継続的に収入を得ていることでしょう。
このように収入を得ている人が気になるのは「税務調査が来るのではないか」という部分ではないでしょうか。
せどりは比較的簡単に参入できるビジネスであるため、税金面に詳しくない人もいるようです。
今回はせどりが税務調査の対象になるのかどうかご説明します。
せどりも税務調査の対象となるのか
「そもそもせどりが税務調査の対象となるのか」が気になる人は多いと思われるため、まずはここからご説明します。
せどりも税務調査の対象になり得る
実はせどりも税務調査の対象となる可能性があります。
「せどりのようなちょっとしたビジネスは税務調査の対象にならない」などと考えている人がいるかもしれませんが、せどりだから対象外ということにはなりません。
そもそも税務調査は特定のビジネスに対して行われるものではありません。
すべての納税者が税務調査の対象となります。
例えばビジネスを営むのではなく、不動産収入が中心の人であっても、税務調査の対象になる可能性があるのです。
世の中にはせどりを行っている人が多くいるため、そのすべてを税務署が把握するのは不可能でしょう。
ただ、税務署がせどりを行っている事実をキャッチすれば税務調査の対象にはなるため、「自分には関係ない」などと考えてはなりません。
税務署はお金が動きを注視している
上記のようなご説明をすると「税務署にバレなければ問題ない」と考える人が一定数います。
基本的に自分の収入は確定申告で自分から税務署へ伝える仕組みとなっているため、確定申告しなければ大丈夫であると考える人がいるのです。
このような考えは言うまでもなく甘いものであり、確定申告しなければ税務調査の対象とならないことはありません。
むしろ確定申告をしていない状況は税務署として問題視すべきことであり、税務調査の対象となってしまう可能性があります。
実は税務署はお金の流れを確認する権限を持っていて、必要ならば銀行の入出金などを把握できます。
この権限を利用してお金の動きを把握し、確定申告していないと疑われる場合は、税務調査に乗り出します。
せどりでお金の出し入れが激しいと、確認された際にバレてしまうため、確定申告は正しくするに越したことがありません。
せどりに対して税務調査が入るとどうなるのか
ご説明したとおり、せどりであるからといって税務調査の対象外になることありません。
続いては実際に税務調査が入るとなった場合、どのような手続きや対応が必要となるのかご説明します。
確定申告をしていないならばすぐに手続きをする
もし、せどりの売上を確定申告していないならば、今すぐに確定申告するようにしましょう。
一定の売上がある場合は確定申告をしなければならないため、無申告の状態は「意図的に脱税している」と判断される可能性があります。
確定申告には昔の売り上げについても申告できる制度があり、無申告の年度についても自分から手続きが可能です。
税務調査の連絡を受けてからでも遅くはないため、自分から確定申告してしまうことが重要です。
確定申告が遅れてしまうと一定のペナルティがありますが、無申告の状態を続けるよりもはるかに状況が改善されます。
なお、税務調査で確定申告していないことが発覚すると「無申告」として取り扱われてしまいます。
無申告は確定申告が遅れるよりも多くのペナルティを受けてしまうため、遅れてでも自分から確定申告するのが一番なのです。
確定申告の内容について精査される
毎年、せどりについて確定申告をしているならば、その内容が正しいかどうか精査されます。
例えば「売り上げは抜け漏れなく申告されているか」「本来は計上すべきではない経費が含まれていないか」などです。
確定申告の内容を精査するにあたっては、各種帳簿や請求書、領収書などが利用されます。
税務調査でこれらの資料を提出できなければ「確定申告に問題がある」と判断される可能性が高まるため、保管している資料をすべて提出するようにしましょう。
保管義務のある資料を保管していなければ、税務署に指摘された点について言い返す術がありません。
なお、税務調査では様々な資料を提示する必要があるものの、そもそも資料に不備がある人は多く見られます。
これでは税務署に資料を提示したところで、数多くの指摘を受けて終わってしまうだけです。
そのような状況を避けるために、せどりで税務調査を受けると分かったならば、税理士などの専門家に相談して資料内容の見直しなどに努めましょう。
問題点がある場合は修正申告と納税を済ませる
税務調査の結果として確定申告の内容に問題があると判断されれば、指摘内容を踏まえて修正申告をしなければなりません。
確定申告は正しい内容を申告しなければならないため、誤りが発覚した場合は速やかに修正する必要があるのです。
修正申告にあたっては税務調査の結果を踏まえれば差し支えありません。
例えば売上の計上漏れがあると指摘されたのであれば、売上を全て確認して漏れがないように申告します。
また、本来は計上できないものが含まれているならば、その部分の経費を差し引いて申告します。
また、修正申告と合わせて対応しなければならないのは納税です。
売上金額が増えたり経費が減ったりすると課税所得が増えるため、納税額が増えています。既に納税している金額と本来納税すべき金額の差を速やかに納めるようにしましょう。
なお、せどりで税務調査を受けて修正申告することになると、「追徴課税」と呼ばれるものを支払う必要があります。
追徴課税は正しく税金を納めていないことに対する罰金的な存在で「延滞税」と「加算税」があります。
延滞税はいわゆる「利息」に相当する税金で、納付が遅れたことに対するペナルティです。
また、加算税は正しく申告していないことに対するペナルティで、状況に応じて4種類存在します。
せどりで税務調査を受けた結果、悪意がどの程度認められるかによって加算される税額が異なる仕組みです。
悪意があると判断されると刑事事件になりかねない
意図的に売上を過少申告していたり経費を架空計上していたりする行為は「脱税」と判断されます。
せどりの売り上げを過少申告していると税務調査で指摘されるでしょう。
また、せどりに関係のない支払いを経費計上していると、これも脱税と見なされる可能性があります。
脱税とみなされた場合、以下の刑事罰に問われるかもしれません。
刑事罰 | 適用される理由 | 罰則規定 |
---|---|---|
単純無申告逋脱犯 | 積極的に所得を隠したわけではないものの、意図的に確定申告をしないことで各種税金の支払いを免れようとした。 | 5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金又はこれらの併科 |
逋脱犯 | 納税する義務があるにも関わらず不正な手段で納税を免れたり、税額の還付を受けたりした。 | 10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金又はこれらの併科 |
せどりの取引について正しく確定申告をしないと、上記のような刑事罰に問われてしまう可能性があります。
悪質さの度合いによって適用される刑事罰は異なっていて、罰則規定も異なっています。
高額な罰金が設定されているため、罰金の支払いを命じられるとせどりの利益が吹き飛んでしまうかもしれません。
なお、刑事罰は追徴課税とは異なった性質を持つものであり、それぞれが課されます。
多くの税金を支払い、それに加えて罰金も支払うことになってしまうのです。
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せどりで税務調査を受けないようにするポイント
せどりで税務調査を受けると確定申告の問題を指摘される可能性が高く、結果として追徴課税の支払いなどにつながってしまいます。
続いては、せどりで税務調査を受けないために皆さんが意識すべきポイントについて解説します。
確定申告が必要な所得金額について理解する
せどりを行うにあたって必ず理解してもらいたいのは、確定申告が必要なタイミングです。
せどりの他に本業があるかどうかによって、以下のとおりタイミングが異なります。
- せどりが本業:所得が控除額を超える場合
- せどり以外が本業:所得が20万円を超える場合
所得とは簡単にご説明すると売り上げから経費を差し引いたものです。
ここでは簡略化のために「利益」が所得であるとイメージしてください。
せどりが本業の場合、所得が控除額を超えると確定申告が必要です。
控除の例には「基礎控除」「保険料控除」「青色申告の控除」などが挙げられます。
これらの控除額より所得が多いと課税対象となるため、確定申告する必要があるのです。
せどり以外が本業の場合、せどりの所得は「雑所得」として扱われ、所得が20万円を超えると確定申告が必要です。
また、所得が20万円以下でも、医療費控除など他の理由で確定申告する際は、確定申告書に記載しなければなりません。
売り上げや経費の証拠を残す
せどりは開始しやすいビジネスであるため、「取り引きは証拠を残す必要がある」との認識を持てていないままの人が見受けられます。
これでは税務調査を受けた際に証拠を示せず、不利になってしまうでしょう。
このような状況を避けるために、まず「売り上げがわかる情報」と「経費がわかる情報」はそれぞれ残すことが重要です。
売り上げがわかる情報は「販売サイトからの入金明細」「請求書」などが挙げられます。
電子的な情報はファイルとして保存したり印刷したりして保管しておきましょう。
経費がわかる情報は「領収書」が基本です。
ただ、表記が領収書となっていないレシートでも証拠として利用できるため、せどりに関わる支払いの証拠はすべて残しておくと税務調査を受けた際に支払いを示せます。
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まとめ
せどりを行う人に理解してもらいたい税務調査についてご説明しました。
税務調査は納税義務のある全ての人が対象となるため、せどりで一定の売上や利益がある人は税務調査の対象となります。
確定申告をしていてもしていなくても税務署はお金の流れを把握し、税金を納めているかどうかチェックしているのです。
税務調査を避けるためには、せどりの売り上げなどを正しく確定申告するのが一番です。
確定申告の内容に誤りがなければ、税務調査を受ける可能性は低くなります。
確定申告に向けて領収書などを保管することも忘れてはなりません。
ただ、せどりを行っている人の中には「確定申告は難易度が高そう」と感じる人がいるでしょう。
そのような人は、税金のプロである経営サポートプラスアルファにご相談ください。
税務調査を受けなくて済むように、適切な確定申告のサポートをします。