株主が社長の会社のメリット・デメリット【オーナー企業であるとき考えるべきこと】

世間では当たり前に「株式会社」について語られていますが、正確なメカニズムについてわからないという方々は多くいると思います。

今回、社長と株主の関係を明確化することで、株式会社のあり方をスッキリ解決したいと思います。

株主・社長、実際にえらい存在はどちらなのでしょうか。

また株主が社長であったら、株主が社長であるメリット、デメリットについても解説します。

株主が社長であると経営において必要である意思決定をおこなえます。

ということは株主が社長でないと意思決定は簡単におこなうことができないことがあります。

そのあたりの問題も深く掘り下げたいと思います。

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株主、社長偉いのは実際にどちらか

会社の中で一番えらい存在は社長という見方がされていますが、株式会社では大事な項目は原則として「株主総会」で決議しなければなりません。

株主総会で権限を誰が持っているのかといえば社長ではなく株主ということになります。

更に掘り下げていけば社長という存在は、株主によって決定されます。

日常業務に対して経営権を持つ立場は社長であり代表取締役なのですが、その社長は株主の権限でもって選ばれているのです。

株式会社の「所有と経営の分離」といういい方もされることがありますが、まさにそのいい方は社長と株主の関係をあらわしていると言っていいでしょう。

株主という存在は、お金を出して会社を上手く経営してくれる人材を経営者として選出して会社を託すことになります。

一方社長という存在は、株主が出してくれたお金を元手に上手く活用し、託された会社経営を行っていきます。

どちらがえらいのかといって株主とすんなり答えてしまうことにも問題はあるのかもしれませんが、それでも社長が会社の経営を全部握っているという考え方には間違いがあります。

次の段階で考えていかなければならないのは、日本の中小企業で多く採用されている株主が社長であるという構図です。

株主が社長であれば、社長が全権を握ることになります。

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社長とは 株主とは

社長とは何か、株主とは何かをもう少し具体的に見てみましょう。

まず株式会社のメカニズムを正しく理解する必要があります。

まず商売をスタートしようと思えば、元手のお金を出してくれる人を探さないとはじめることはできません。

商売には資本金が必要。資本金という元手を出してくれる人物が株主です。

株主はなぜお金を出資しているのかといえば、慈善事業をしている訳では決してありません。お金を出してあげる代わりにお金を元手にして儲けて株主に再び還元することを要求しているのです。

会社が利益を生むことができ、純資産を増加できれば会社の価値のアップとともに株主の財産もアップすることができます。

そのためにも会社は、優秀な人材に運営される必要があると考えているでしょう。

株主からのお金を使って上手く事業が運営されていかなければなりません。

その大事な役目を担っているのが社長という立場です。

株主は社長を選出する権利を持っているので、上手く経営してくれそうな人物を社長として選任します。

もしも社長が会社を上手く経営できないなら、株主からクビを宣告されることもあります。

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「所有と経営の分離」原則

株式会社の基本原理には「所有と経営の分離」があります。

実際に会社を所有している人物が経営に長けているとは必ずしも言うことができません。経営は、経営のプロフェッショナルにまかせることが妥当ではないでしょうか。

そこで会社を所有する者と会社を経営する者を分離することによって事業の運営を効率良くおこなえるという前提があります。

無論会社の所有者は株主ということになり、経営する者は社長です。

会社法においても、株式会社は所有と経営の分離で構成されています。

ですから株主が偉いと言っても社長となって経営に采配をふるうという訳ではありません。

株式会社では「所有と経営の分離」が原則であり、株主自身が積極的に経営をおこなう所有と経営の一致は例外パターンとなります。

なぜ「所有と経営の分離」原則なのか

株式会社で所有と経営の分離がなぜ起きたのかといえば、経営が大規模化する傾向や株式所有の分散化の傾向をあげることができます。

例えば、これからあなたがお菓子屋さんをスタートするとします。

最初の規模は最低レベルです。あなたは個人オーナーとして200万円出資をします。

このケースでは所有と経営が一致というあり方です。

あなたが出資をして、かつお店を経営しているからです。個人経営の場合ほとんどは所有と経営の分離の原理は該当はしていません。

しかし経営の規模を大きくしてしまうとどのようなことが起きるでしょうか。

巨大企業になってしまえば、より経営に対しての専門性が必要になって来ます。

株主が経営能力があるのかといえばほとんどそうとは言うことができません。

事業の才能を発揮して大きく儲けることができ規模が大きくなったケースでは、その事業全部を自分であったり、家族で見るということは合理的判断ではないという見方がされています。

経営や管理に才能を持っている人に任せる方が確実性が高いのです。

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株主が社長の会社が抱える問題点

中小企業は株主が社長であるオーナー社長のケースが多いです。

こちらでは、株主が社長の会社によくある問題点を紹介します。

家族経営のリスク

オーナー企業においてともなう形が「家族経営」です。家族みんなで一生懸命涙ぐましい努力をしている企業もあるかと思いますが、一方では家族経営には危険な罠があります。

例えば、新しいプロジェクトを起こすため予算を確保しなければならないとします。

社員は社長に対して、売上目標や営業戦略を説明して許可を求めることになりますが、なかなか許可が下らないことは日常的によくあることです。

そのような時、例えば息子の専務が登場し、「新しい機械を購入したいから予算が300万円」と言えば、簡単にその発言だけがすんなり通ってしまうことがあります。

家族経営は家族に甘いということが信じられないというのかもしれませんが、現実的に起きています。

また役員全員が家族、親戚という構成となってしまえば「新しい機械を購入したいから予算が300万円」という発言に反対意見を言う人間すらいません。

家族経営は家族優先主義をどうしても回避できないで、実際に血縁とは無関係の社員たちの声は届きにくいという問題が起こります。

所有と経営の分離の原則の背景にはこのような家族経営の阻止の意図も含まれているのかもしれません。

経営リスクを自身で負わなければならない

株主が社長である会社は、例えば会社の資金繰りが怪しくなってしまった時には社長の持っている個人資産を会社に貸し付けたり社長自身が保証人となり資金調達の奔走したりしなければならないことがあります。

それでも事業悪化のみたて直しが出来ない、倒産してしまったときには社長自身の借金返済義務が残ってしまうわけです。

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オーナー企業は良くも悪くもなりうる?

オーナー企業とは第三者から影響を受けないことがメリットとも考えられていますが、そうではないという意見もあります。

こちらでは、オーナー企業の詳細について説明していきます。

株主総会は開催しているか

企業の仕事をしている人たちの数によって違いはありますが、外部株主がいないオーナー企業の場合、5割程度は株主総会を開催し、ほかは開催せず必要な書面を用意するだけでやり過ごしています。

実際に書類の対応をしていない企業もあります。

しかし外部株主がいるオーナー企業は、6〜8割程度株主総会を開催している状況です。

また書類だけの会社も2割程度です。それは第三者の存在があり、株主を意識して行動しているからです。

オーナー企業でない中小企業は、8割以上が株主総会をしっかり開催しています。

株主としっかり向きあう経営体制が確立しているということができます。

外部株主の存在に対して中小企業の方々は「経営にいい意味で緊張感をもたらすもの」、「経営の透明性に貢献できる」などといったメリットの声が聞こえて来ます。

外部株主の存在は株主総会などの手間は増えるのかもしれませんが、一定のメリットは感じることができるのではないかと考えています。

ただしスピーディーな経営判断が出来なくなってしまうのでは、経営に対して圧力を受けてしまう、また株主総会の含め経営状況の説明業務が増えてしまうなどが危惧されています。

外部株主がいないオーナー自体は、ほかの中小企業の経営形態と比較してデメリットはなくメリットばかりだと考えている傾向が高いことも調査の結果から見えて来ました。

こちらもオーナー企業について考えるうえで決して無視してはならない項目です。

どの程度の長さの経営スパンを見据えているか

どの程度の長さで経営スパンを見据えているかに対して、中小企業の方々は3年程度という回答が非常に多くありました。

しかしオーナー企業は10年以上と回答するケースも少なくはないので、中長期的な視点で経営をしているということをうかがい知ることができます。

期間の違いによって何を知ることができるのかといえば、オーナー企業ではないケースでは比較的短期間で結果を求められるというある意味危機感をもって仕事と向きあっているということです。

オーナー企業には、時間的余裕が比較的あり、一方でオーナー企業はスピーディーに経営判断が出来るとありますが、その経営判断は先延ばしされている可能性もあるのかもしれません。

経営者の在任期間は

経営者の在任期間は、オーナー企業でない中小企業は3年未満という回答が6割程度を占めています。

そのような中小企業の方々は、仕事の内容がより厳しく問われるため短い期間で経営者の交代劇が起こる可能性が高くなっています。10年以上在任というケースは、2割程度なのです。

しかしオーナー企業の場合はそうではなく10年以上の在任が約6割という圧倒的数字の違いがあります。外部株主がいないオーナー企業の場合は20年以上ということも3割あります。オーナー企業である程長期政権の確率は増して行きます。

それだけ株主以外の考えであったり、提言がなかなか反映できない環境があります。

じっくりと腰を据えた中長期的な視点をもって仕事と向きあうという意味あいはメリットにも見えますが、その方向性が間違っているとすれば誰がいつどこで軌道修正するのでしょうか。

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株主が社長の会社で必要な事業継承とは

オーナー企業は、経営者がパワフルにリーダーシップを取って中長期的に経営に専念することが可能なのですが、その一方では次世代につなぐため経営を引き継ぐ用意もしておかなければならないです。

オーナー企業では親族内で事業承継を行うケースが非常に多いですが、それをおこなうのにも準備・計画と言ったものをあらかじめ策定する必要があります。

現在の経営者を軸として後継者・親族らと共に後継者の選定、育成あたりを含めて今後どのように経営していけばいいか計画をたてて、同時に従業員・取引先・金融機関と言った利害関係者に対しても理解を求めていく必要があります。

中長期的な経営計画の作成をすることは当然のことですが、それだけでなく後継者の選定・育成方法・承継時期などの現経営者・後継者の行動計画を作成します。

また親族のなかで行われる事業承継の場合、相続や贈与の問題ともしっかり向きあい対応していく必要があります。

生前贈与の活用や遺留分に配慮した遺産分割の方法など、どうやってトラブルを回避することができるかについて検討する必要があります。

オーナー企業は、すでにお話しした通り在任期間が長期にわたるケースは非常に多いため、その期間内にしっかり後継者を育成することができるはずです。

即興ではなく時間をかけて、選定・育成するという姿勢を持てば事業継承もきっとスムーズに進行していくことでしょう。

そのため現在の経営者が何をしなければならないかといえば、事業継承に対しての意識を高めていくことです。

そして自分自身が退いたあとどうすればいいのかについてしっかり考えるようにしたいものです。

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株主を社長にするメリットと対策

株主が社長の会社には、メリットがあります。

株主が社長であることは、所有者である株主と経営者である社長が同じ人物であるということです。そこに存在しているのは甚大な権力です。

株主が社長であれば、経営において必要な意思決定何でもおこなうことができます。

おおむね役員報酬の決定、会社の分割や解散、定款の変更と言った事項は株主総会で決定されることだと認識されますが、そちらも全部自由に決定することができます。

そのためこうしようと思ったときには即決で判断することができます。

いましなければならないと思ったことをすぐに行動に移せるということは会社経営のメリットになりうることです。

また株式を持っていない社長の場合、得ることができるお金は役員報酬ということになります。

しかし株主が社長であれば、役員報酬だけでなく株式の配当金も得ることができます。

また株主が社長と一緒であれば、所有と経営を分離させる判断もおこなうことができます。

所有と経営が分離してしまう他の理由・大きな資金が必要

起業をしようと思い立ったとき、当然出資して会社を設立した人が創業者であることは一目瞭然です。

会社に出資することで、証拠として株式を手に入れることができます。

株式というものはごくごく抽象的概念であり、おおかた経営に参加できたり配当をもらうことができたりする意味合いをさします。株式を所有している方々が株主です。

普通の流れでいけば、会社を設立した人が当然経営するということになります。

それは所有と経営が一致であり、非常にわかりやすい構図です。会社創業時点では、所有と経営が一致していることがごくごく一般的です。

しかし、所有と経営は分離してしまうのでしょうか。

おおかた上場が出来ていない会社の場合、所有と経営の分離という立場を貫いていることでしょう。

言い換えれば、上場企業において所有と経営の分離という事態が起きているのです。

例えば企業価値を高めたいとばかり、ライバル企業にはないオリジナルの技術、ノウハウを学び売り上げをアップし、自ずと従業員の数も増やしていくとします。

そのとき会社を大きくするためには、ある程度まとまった大きな資金が必要だと考えるでしょう。

そこで上場を決定することになります。上場することができれば、会社の株式を株式市場で自由に売り買いすることができます。

そのような環境を作り出すことで、会社に関心を持ってくれた人たちはお金を出資してくれようとするでしょう。上場によって資金を集めやすい環境を整えることに成功することができます。

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株主が社長である時おさえておかなければならないポイント

株主が社長として突き進んで行こうと考えたとき、まずはこのようなポイントをおさえることが大事です。

株主が社長になる場合の株式保有率

実際に株主と言っても株を1%程度して所持していない株主がいる一方では、100%の株を所持している株主がいます。

株主が社長の場合、株式保有率は3分の2以上が妥当です。

その理由は、株主が過半数株式を保有することで会社の役員を自由に解任できる権利が生まれるからです。

自分で頑張って会社を創業しましたという場合でも、株を過半数保有することができていない場合、あとの株主が全員社長解任の意思を合わせることで社長は簡単に解任されてしまうことになります。

社長の解任は過半数で決定しますが、3分の2以上が必要な決議も多くあります。

意思決定する人間はひとりという構図を守る

すぐに創業したという会社は複数メンバーで会社を作ることもあり、株を平等に振り分けして起こすケースもあります。

しかしそのような状態だと会社が急成長したとき意見が割れて意思決定をスムーズにおこなうことができないことがあります。

またメンバーの一部が仕事をして残りは株を保有する立場にあるだけというバランスの悪さも起きる可能性があります。

そのような不均衡であればいずれ大きな揉め事も起きてしまうでしょう。

意思決定する人間は一人という構図は頑なに守る姿勢が大事なのではないでしょうか。

株主が社長の会社に新しい株主を入れる注意点

会社設立は平成2年の商法改正があり、発起人の最低人数の規制は撤廃されて設立時より株主が一人でもOKとなりました。

昭和の時代、名義株の株主の存在を多く見かけましたが、現在はそのような方法を考える手間はなく一人の株主で会社が設立されています。

しかし会社が大きくなれば従業員の数も増し、いつか社員を株主にしようという考えに至ることもあるでしょう。

株主を増やすメリット

株主を増やすメリットには、資金調達の問題が関わってきます。

新しい株主がいれば出資を受けることができます。

そのようなお金は借入金とは違う返済する必要のない資本金です。

ただし新しい株主が「現在の株主から株を購入しました」という場合にはこのメリットは該当しません。

株主が社長で頑張って会社を経営して来たけど、他者の目からは独断で経営をしているワンマン会社なのではないかという目で見られてしまうことがあります。

株主が複数いてくれることで、自身の利益主義で動いてしまったり、不正がしづらい環境を整えることができるので、対外的には信用をアップさせることができます。

また従業員を株主に採用した場合、会社が利益を出せば配当を期待することができますし、M&Aによる株式売却であったり株式上場によって大きな利益がもたらされたりを期待できます。

株主となった人物は、そのような方向へと会社が業績アップできるように積極的に仕事をしようという意欲ももたらすことができます。

株主を増やすデメリット

株主を増やすデメリットもあります。

株主を増やす大きなデメリットは、自由に経営をすることができなくなってしまうことです。

株主を増やすことは物言う株主がいてしまうことです。

株主が社長の立場では経営は思い通り自由にすることができていたのですが、それは出来なくなる可能性があります。

また株主が社長の場合、株主名簿を作っていないというケースもあったかと思いますが、株主がどんどん増えることで株主名簿を作成して管理することも必然となって来ます。

株主が社長だった時には株主総会は開催したかのようなふりをしてただ議事録のみ作成し、やり過ごすようなことが推察されます。

しかし株主が増加してしまうことで株主総会開催の通知は必然であり、参加の可否をチェックして実際に開催を考えていかなければなりません。

実際に中小企業でも外に会場をレンタルし、厳密に株主総会を開催している会社はあります。その分だけ確実に手間はかかると考えることが妥当です。

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まとめ

いかがでしょうか。

今回、株主が社長である会社のメリット、デメリットを軸に解説しました。

株主が社長の会社には、メリットもありデメリットもあります。

ただし、株主が社長のまま大企業として成長している場合もあり、デメリットを克服している企業もありますので、そのような企業を参考にして反省点を踏まえ軌道修正をしていくといいでしょう。

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