民泊はこれまでの宿泊業と何が変わった!?民泊開業までの流れをポイント解説!

宿泊業と聞くと、許認可が非常に厳しく新規参入が難しいイメージを持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、ここ数年「民泊」というスタイルで新しい宿泊業が広がっています。

民泊を開業するにはどのようなことが必要なのか、あるいは既存の宿泊業と民泊はどこが違うのか、今回はわかりやすく解説します。

民泊業はまったく新しい宿泊のスタイルで、ある意味「ブルーオーシャン」とも言えます。

積極的に民泊開業を検討してみてください。

民泊とは何?

まず「民泊」とはどのようなものか理解してください。

また、それ以外の既存の宿泊業との違いについても理解をお願い致します。

民泊の定義

民泊は「宿泊業許可のない、通常の民家、マンション等にお金を徴収して宿泊させること」「事業として、営利目的で自分の家へ勝手に他人を有料で泊めること」になります。

自分の住んでいる普通の家やマンションにお金をもらって友人を泊めたり、あるいはホームスティを受け入れたりするようなイメージです。

普通の家ですから、宿泊業に必要な設備や非常口、フロント、共用のスペースなどありません。

本当に自分の家にお金をもらって他人を泊めるということになります。

知らない人を自分の家など民家に留めることは安全上、防犯上、防災上リスクがありますのでその許容が必要になります。

既存の宿泊業を開業しようと思えば、「民宿」レベルでもかなり大掛かりな工事が必要になります。

自分の家を大幅に改造できないですし、マンションなどの賃貸物件を勝手に改装したら大変なことになります。しかし「民泊」ならば開業へのハードルが低いのです。

厚生労働省 民泊サービスと旅館業法に民泊についての詳しいQ&Aがあります。

民泊2つのスタイルを確認しましょう

民泊の定義はこのようになりますが、開業する民泊業は、以下の2つの法律のどちらかを根拠とします。つまり、民泊はさらに2つの(異なる法律)をもとにした開業方法があります。

どちらのスタイルでの民泊開業を行うのか、開業を予定している自治体によっても選択肢が異なるので注意してください。

新法民泊

2017年に成立した「住宅宿泊事業法(民泊法)」によるって開業が可能になりました。

「民泊」が一般的になったのはこの「新法民泊」からです。

国家戦略特区による民泊(特区民泊)よりも、宿泊業を開業できる要件が大幅に緩和されています。

これらのことが既存の宿泊業と違い可能になりました。

  • フロントや共用スペースなどがいらない
  • 自宅の一室を貸す
  • 転勤などで自宅に住んでいない時期にお金をもらい他人に泊まってもらう(「転勤大家さん」みたいですが、定期借家契約ではないで単発の宿泊)

特区民泊

国家戦略特区として認定されて、民泊条例を定めた自治体では、既存宿泊業よりも緩い、簡単な基準で「民泊」として開業できるようになりました。

新法民泊よりも先にできた制度です。

現在、国家戦略特区として認定されている特区民泊を開業できる自治体は少なく、

  • 東京都大田区
  • 大阪府
  • 大阪市
  • 大阪府八尾市
  • 大阪府寝屋川市
  • 福岡県北九州市
  • 新潟県新潟市
  • 千葉県千葉市

のみとなっています。

出展『国家戦略特区 特区民泊について|内閣府』

観光客が多い都市部が、ホテル不足を補うため国家戦略特区として条例を定めているイメージです。

新法民泊と特区民泊の違い

新法民泊も特区民泊も「民泊」ですが、異なる点があります。

この違いを知っていただき、どちらを開業するのかご判断ください。

新法民泊特区民泊
根拠となる法律住宅宿泊事業法国家戦略特別区域法
民泊の許認可都道府県への届出都道府県への認定申請
住居専用地域での営業可能自治体の条例による
宿泊日数制限について1泊2日以上2泊3日以上
稼働日数制限年間180日まで制限なし
建築基準法上での扱い住宅住宅
消防法上の扱いについてホテル・旅館ホテル・旅館
管理業者への管理業務委託家主不在型民泊のみ必要不要
最低床面積3.3㎡/人25㎡/人

このように、新法民泊と特区民泊では差があります。

新法民泊は「届出」なので、特区民泊の「認定申請」よりも手続きは簡便です。

年間稼働可能日数や宿泊者の日数制限などにも戸貝があります。

両者とも、建築基準法では住宅ですが、消防法では「ホテル・旅館」なので、消火器や避難経路などの準備が必要になります。

メリットデメリットを比較しました。

新法民泊特区民泊
メリット審査が緩い、「届出」だけで可能審査が比較的緩い都道府県へ「申請」
キッチン・トイレ・お風呂・洗面台の「4点セット」があればよい住宅のまま営業できる
用途変更の手続や工事が不要用途変更の手続や工事が不要
デメリット年間営業日が180日まで特区指定された地域のみの営業
事業主が同居(常駐)しない場合、登録住宅宿泊管理業者(運営代行業者)に管理業務を委託する必要1グループあたり、最低(2泊)3日は滞在させなければならない

このような違いがあるため、どちらの開業がよりメリットがあるかご判断ください。

もう1つの分類「家主居住型」と「家主不在型」

民泊は自宅や自分が所有している空き物件を宿泊用として開放しますが、その際、ホテルのように管理人として自分たちが近くにいる必要はあるのでしょうか?

それとも、カギだけ貸し出してあとは勝手にやってもらうことはできるのでしょうか?

民泊の(新法、特区以外の)もう1つの分類として以下の分け方があります。

家主居住型民泊

自宅の一室や離れ、別荘(一緒に泊まる)などを民泊として貸し出し、家主が同じ敷地にいる民泊です。

在客時に家主がいることが重要であり、一時的な不在でも原則1時間までとなっています。

数軒先の近所に住んでいてもだめです。民泊に滞在していることが条件となります。

新法民泊は家主居住が条件になり、どうしてもいない場合は、「登録住宅宿泊管理業者(運営代行業者)」へ管理業務委託が不可欠です。

一方、特区民泊は家主も管理業者も不要です。つまり、この形態は必要ありません。

家主不在型民泊

民泊用物件に客が滞在しているときに家主がいなくても大丈夫なタイプで、特区民泊が該当します。

新法民泊の場合、家主が不在の場合(離れているマンションや別荘を民泊として貸し出す)、在客時の管理を住宅宿泊管理業者に委託しなければいけません。

特区民泊は外部に物件を借りて、民泊用に利用者に貸し、管理業者不要で事業を営むこともできるのです。

これはコストもかからず事業者にとってはかなり楽な運営になります。

既存の宿泊業との違い

民泊と既存の宿泊業との違いについても簡単に知っておきましょう。

既存の宿泊業、つまり、ホテル、旅館、そして民宿は「旅館業法」の適用を受けます。

宿泊業を営むためにはクリアしなければいけないハードルがあり、自治体へ申請、その後許可を得なければいけません。勝手に開業することはできません。

  • 民泊:届出、申請 :自治体への一方的な通知報告で済む(開業希望者からの通知のみ)
  • 宿泊業:申請後許可 :自治体へ申請し、自治体がOKしなければ開業負荷(開業希望者からの連絡のあと行政からの許可が必要)

宿泊業は「旅館業法」の厳しい規定をクリアしなければならず、以下の条件を満たすことが必要になります。

  • 一定数の部屋がある
  • エントランスなどがある程度広いこと
  • 衛生的であること
  • フロントが設置されている
  • 非常口がある
  • 宿泊伝票を記入する

ホテルや旅館に泊まるときには、チェックインの際に住所や電話番号を書きますが、あれは法律で書かないといけない決まりになっています。

民泊と既存の宿泊業との違いを表にまとめました。

民泊既存の宿泊業
根拠となる法律住宅宿泊事業法国家戦略特別区域法旅館業法
民泊の許認可都道府県への届出、認定申請でOK都道府県への申請後許可が必要
住居専用地域での営業可能できない
フロント設置不要原則必要
宿泊者名簿必要必要
宿泊日数制限について1泊2日以上1泊2日以上(デイユースも可能)
稼働日数制限年間180日まで(新法民泊)制限なし(特区民泊)制限なし
建築基準法上での扱い住宅ホテル・旅館
消防法上の扱いについてホテル・旅館ホテル・旅館
消防設備家主居住型は住宅基準でOK厳格なものが必要
管理業者への管理業務委託家主不在型民泊のみ必要不要
最低床面積3.3㎡/人(新法民泊)25㎡/人(特区民泊)7㎡/人

既存宿泊業の方が開業までの基準が厳しく、時間もかかりそうです。

消防設備なども宿泊業専用のもの、つまり厳格な設備が必要です。

フロントの設置なども必要であり、民泊に比べて開業へのハードルが高いことがわかります。

店舗設備や内装工事をリースにより分割払いにするサービスを提供しています。

民泊開業の流れ

民泊についての概要、既存の宿泊業との違いについて知っていただいたうえで、民泊開業の流れを押さえておきましょう。

新法民泊の開業

新法民泊の場合は、都道府県に民泊開業の「届出」を出すだけで完了します。

その際に、消防設備や緊急時の対応などの基準を満たしている、という証明書類を添えることになります。

届出ですので、審査や許可はなく、こちらからの書類提出だけで済みます。

建物などの審査はなく、申請書類に瑕疵がなければ民泊開業が可能です。

保健所で民泊を開業したい旨の相談

消防署で民泊の消防設備の相談

保健所や消防署の指導をもとに民泊設備の整備、工事

消防設備の確認を消防署から受ける

申請書類を保健所に提出(届出)

開業

民泊として民泊制度ポータルサイト「minpaku」(国土交通省運営)へ登録

特区民泊の開業

特区民泊の開業は、大前提として国家戦略特区として認められている自治体のみで開業が可能です。

特区民泊の開業手続きは特区である各自治体によって若干異なりますが、おおむね以下の流れになります。保健所に相談をしますが、保健所の許可は必要ありません。

保健所で民泊を開業したい旨の相談

消防署で民泊の消防設備の相談

保健所や消防署の指導をもとに民泊設備の整備、工事

消防設備の確認を消防署から受ける

申請書類を保健所に提出(申請)

自治体から申請の「認定」が出る

開業

民泊として民泊制度ポータルサイト「minpaku」(国土交通省運営)へ登録

新法民泊と比較し、やらなければならないステップが1つ多く書類を提出して、「認定」を受ける必要があります。

民泊開業の際の開業資金は?

民泊は自宅の一室や所有不動産をそのまま宿泊施設にできるのが最大の特徴です。

新規に建設する必要はなく、初期費用が既存宿泊業と比べてかかりません。

ただ、生活臭のする部屋をそのまま貸すというのも憚られることもあり、玄関や消防設備など最低限のリノベーション(リフォームよりも大掛かりな新たな機能や価値を付け加える改装工事)をした方がいいでしょう。

リノベーションする場合、建築士などと部屋の内装やデザインについて相談しながら、どのくらい開業時のリノベーションの資金が必要か見積もってください。

費用の見積もりが出たら、資金調達や開業のプロフェッショナルである経営サポートプラスアルファなどに相談してみてもいいでしょう。

空き家や余剰物件をそのままにしておくくらいならだれかに使ってもらいたいという目的であれば、リノベーション工事をしなくてもよいですが、そうではなく、民泊でしっかり稼ぎたい場合、消防設備やしっかりした内装、快適な住環境等にお金をかけて実現してください。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

民泊開業の相談なら経営サポートプラスアルファにお任せ

民泊はこれまでになかったスタイルの宿泊業であり、競合他社もそれほど多くありません。

既存の宿泊業ではアプローチしない層を開拓できるかもしれず、開業を検討する価値はあります。

開業に際しての許認可等は、既存宿泊業よりも少ないですが、それでも人が宿泊する以上、消防署許可などが必要です。

開業手続き、許認可、そして会社設立まで考えた場合、自分だけでは相当なコストになります。

申請に瑕疵があれば通りません。

そこで、会社設立と法的手続き代行ができる経営サポートプラスアルファに民泊開業をご相談ください。

経営サポートプラスアルファでは、各種専門家や税理士と協力して、民泊開業のアドバイス、各種手続き代行をします。

また、開業後の会計、税務申告、納税等についても顧問税理士としてサポートします。

経営サポートプラスアルファは土日祝日夜間も対応します。

また、遠隔地にお住まいの方はLINEやZOOM、チャットワークにて全国対応でオンライン相談させていただきます。

空き物件等お持ちの方や今後取得される方は、ぜひ民泊開業について、経営サポートプラスアルフまで相談してください。

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