個人資産はただ寝かせておくだけでは価値が上昇しない時代になっています。
また、副業した場合、会社の給料と損益通算した場合税金が高くなります。
ひょっとすると個人事業主ではない方がよいかもしれません。
今回は個人資産の管理や副業である程度売り上げを伸ばしている人の節税対策として「プライベートカンパニー」を設立するという方法を解説します。
プライベートカンパニーを設立することで納税額を合法的に減らせます。
プライベートカンパニーの作り方がどのようなものか、今回イメージできるように解説します。
プライベートカンパニーとは何?
プライベートカンパニーとは、節税目的に特化した会社です。
すでにある資産や副業を維持しながら、会社名義で管理運営することで、「法人税<所得税」になるラインに持っていき節税をすることが大きな目的です。
プライベートカンパニーの目的
プライベートカンパニーを設立する目的をまとめると以下になります。
- 個人資産の管理(不動産、株式、有価証券、仮想通貨)
- 税金対策、節税目的
- 自分や家族だけで行う、外部役員や従業員はいない
- 会社員等給与所得者でもできる事業運営
つまり、プライベートカンパニーは一般的な会社の機能限定版、お試し版のような存在になります。
プライベートカンパニーを設立するべき人は?
このように、プライベートカンパニーは通常の会社ではあるものの、事業拡大を目的としていない、自分のできる範囲において節税目的で運営するものです。
したがって、プライベートカンパニー設立に適している人は
- 大家(不動産管理)
- 投資家
- ネットオークション
- 外国からの個人輸入
- せどり
- アフィリエイト
これら個人の資産管理や小規模事業を行う人になります。
プライベートカンパニー(会社)設立するメリット、注意点
不動産などの資産運用や副業は、別に会社を設立しなくても個人事業主として行えます。しかし、プライベートカンパニー制度では「節税」という大きなメリットがあるからです。
プライベートカンパニーのメリット
プライベートカンパニーを設立した際の税金は以下になります。
下限 | 上限 | |
個人事業主の所得税 | 5% | 45% |
プライベートカンパニー設立をしたときの法人税 | 15% | 23.2% |
個人事業主の場合「所得税」を支払います。
会社員として働いている人は、給料(給与所得)と資産運用や副業の所得、利益と合算して確定申告します。
実は、「給料+事業収入」が一定ラインを超えると、個人事業主として支払う所得税がかなり高くなり、それよりもプライベートカンパニーを設立し、資産運用や副業は会社として行うほうが節税になります。
個人事業主のまま事業をした方が節税になるケースもあるため、何が何でもプライベートカンパニーを設立するのではなく、専門家等に聞きながらどちらがよいのか判断します。
プライベートカンパニー設立がよいか、個人事業主がよいか、プライベートカンパニーのメリット、デメリットをまとめました。
プライベートカンパニー設立のメリット | プライベートカンパニー設立のデメリット |
---|---|
所得が一定以上の場合、個人事業主より節税になる | 法人設立費用がかかる(6万円~約20万円) |
所得を家族に分散できる(家族を役員にする) | 法人会計処理の手間、公示や株主総会の必要性 |
経費の範囲が広がる | 決算公示義務(株式会社のみ。合同会社は不要) |
損失を10年繰り越せる(個人は3年) | 自宅住所等が第三者に知られる状態になる |
所得が一定以下の場合、増税となる |
プライベートカンパニーの注意点
プライベートカンパニーは事業拡大を目的としていないため、その経費についても制限があります。
確定申告時は通るかもしれませんが、税務調査があった場合、指摘されるリスクがあります。
プライベートカンパニーで認められる経費は主に以下になります。
- 事務所代(自宅の場合兼事務所は賃借料の事務所部分のみ)
- 光熱費(事務所の電気代、パソコンの通信費)
- パソコン代(仕事にかかわる部分のみ)
- 携帯電話代(仕事にかかわる部分だけ)
- 新聞図書費(新聞、仕事にかかわる書籍代)
- 研修費(外部のセミナー代や検定試験の受講料など)
- 交際費(必要最小限、過剰な飲食代はNG。)
- 旅費・交通費
- 修繕費
一般的な会社で認められる「福利厚生費」「広告宣伝費」などはプライベートカンパニーには不要な経費として認められない可能性があります。
資産管理をする会社で、新しく広告宣伝をしたり、社員向けの福利厚生を設けたりすることはないからです。
「会社だから個人事業主よりも経費の幅が広がるから何でも経費にして節税できる」とはならないので注意してください。
プライベートカンパニーの作り方、会社形態の選び方
プライベートカンパニーの目的や事業内容、メリットやデメリットについてご理解いただけたはずです。
そこで、具体的なプライベートカンパニーの作り方について考えていきましょう。
プライベートカンパニーは合同会社か株式会社か?
現行、会社として設立できるのは、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4形態です。
合名会社・合資会社は無限責任で抱えるリスクが大きいため、プライベートカンパニーの設立をしようと考えている方は、株式会社か合同会社の設立をおすすめします。
|
合同会社 |
株式会社 |
会社設立にかかる費用 |
||
定款印紙代 |
紙の定款:4万円 |
紙の定款:4万円 |
定款認証代
|
0円(認証手続きそのものが認証不要) |
①「資本金の額等」(後記*参照)が100万円未満の場合、「3万円」 |
謄本代 |
なし |
2,000円(250円×8枚) |
登録免許税 |
最低6万円 |
最低15万円 |
資本金 |
最低1円 |
最低1円 |
合計 |
最低6万円+資本金 |
最低18万2千円+資本金 |
会社設立にかかる費用(その他費用) |
||
社印作成費用 |
約2万円 |
約2万円 |
発起人の印鑑証明書 |
1人につき約300円 |
1人につき約300円 |
会社設立費用についてはは合同会社の方が安く、また、定款認証が不要で時間も短縮できます。
より簡便にプライベートカンパニー設立ができます。
また、それぞれの会社の機能的には、下記のとおりになります。
合同会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
代表者の名称 | 『代表社員』 | 『代表取締役』 |
資本金 | 1円以上 | 1円以上 |
出資者と経営者 | 同じ | 異なる |
重要事項の決定 | 社員全員の同意 | 株主総会の議決 |
意思決定方法 | 社員の過半数の同意が必要(経営者は『社員』) | 取締役の議決(経営者は『取締役』) |
最高意思決定機関 | 社員総会 | 株主総会 |
業務執行者 | 業務執行社員あるいは社員全員 | 取締役 |
責任の範囲 | 有限責任 | 有限責任 |
役員の任期 | なし | 2年ごとに更新(最大10年) |
定款の認証 | 必要なし | 必要 |
決算公告 | 不要 | 毎年必要 |
出資者への利益分配 | 社員間の合意で自由に配分 | 株式の保有割合に応じて配分 |
株式の譲渡 | 社員全員の同意が必要 | 自由 |
社会的な認知度 | 低い | 高い |
株式の公開 | できない(「株主」がいない) | できる |
プライベートカンパニーは資産管理や副業の節税のみを目的としているので、自分、あるいは家族のみで運営します。
したがって、株式会社のように株主総会の開催や役員の任期更新などをしなくても済む合同会社が向いています。
それらから考えると、設立費用も株式会社の3分の1以下で済み、短時間で意思決定できる合同会社の設立で問題ありません。
プライベートカンパニーの作り方
具体的なプライベートカンパニー設立の流れを説明します。
今回は合同会社を例にします。
おそらく株式会社ではなく合同会社の設立を考える人が多いからです。
プライベートカンパニーの作り方、設立方法 | 合同会社設立 |
---|---|
ステップ1 | 商号(社名)や事業目的、資本金、社員(役員)等を決める |
ステップ2 | 定款を作成する(定款の認証は不要) |
ステップ3 | 社印を作成する |
ステップ4 | 資本金を振り込む |
ステップ5 | 法務局へ行き会社設立登記をする |
ステップ6 | 設立登記後、法人税や社会保険や年金の届け出、手続きをする |
合同会社の定款認証は不要なので、株式会社と比べてスムーズに会社設立できます。
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