開業廃業のサイクルが短いラーメン業界で独立する流れについて解説します!

ラーメン屋を独立開業して始めるというのは非常にロマンがあります。

一方で、「開業」ではなく「独立」という場合修行をする必要があります。

ラーメン屋の独立は、フランチャイズでの開業とは違い、何年も事前に厳しい修行をし「のれん分け」の方式で許可されるところもあります。

安直な気持ちで考えると、非常に大変です。

一方、誰でもできる開業と違い、チェーンの看板を背負っての独立ならば、技術も身についていますし、看板によって安定した集客も期待できます。

今回はラーメン屋の開業の中でも「独立」について考えていきます。

ラーメン屋の改廃業の現実

経済産業省のデータによると、全国にラーメン屋は約18000店舗あり、開廃業が多い飲食業となっています。

新陳代謝があると言えば聞こえはいいのですが、比較的誰でも始められる(と安直に考える)人が多く、多くの人が開業し、そして挫折をして去っていきます。

帝国データバンクによると、ここ数年、ラーメン店の「倒産」が過去最高のレベルで推移しています。

この倒産は、ラーメンチェーンの倒産であり、これが年間40チェーン前後市場から退場しています。

個人経営のラーメン屋の廃業はその比ではありません。

飲食店.com」によるラーメン屋の廃業率を概算すると

  • 1年以内に40%廃業
  • 3年以内に70%廃業
  • 6年以内に85%廃業

という見立てもあります。

飲食店全体の廃業率(1年30%、2年50%、5年60%)と比較しても、ラーメン店の廃業率は高めで、非常に厳しい仕事であることがわかります。

それほど広くない店内で開業できるので、他の飲食店(居酒屋やレストラン等)と比較し、開業までのハードルは低いですが、そこから安定した経営を維持するのはかなり大変だということがわかります。

ラーメン屋の「独立」とは?

ラーメン屋を修行なしで開業する人も多いのですが、その中で成功する人は極めてまれです。

有名なラーメンチェーンの創業者の中には、まったく経験がないのにラーメン屋を初めて成功した人もいますが、そういうレアケースは狙ってできるものではなく、ラーメンの天才なのでしょう。

こういうものもありますが、多くは店員として数年間修行することが求められます。

有名ラーメンチェーン(グループ)の修行動画がYouTubeなどに上がっていますが、非常に過酷で脱落する人が後を絶たないのもよくわかるはずです。

深夜までのラーメンの仕込み、1日10時間以上の立ち仕事、理不尽なパワハラ、すべてのラーメンチェーンがそうだとは言いませんが、有名ラーメンチェーンは相応の厳しさがあり、独立というよりも「のれん分け」によって、終生、親方との仁義を維持しながらやっていくという世界になっています。

当然、独立後勝手に味を変えるなどすると「破門」という道も待っています。

しかし、「〇〇家」(吉村家系家系ラーメン)や「ラーメン二郎」、「大勝軒(池袋)」などの看板を背負って独立できれば、その後の経営についてもかなり安定が期待できます。

それぞれのラーメン屋にはそれぞれの流儀があり、半年や1年では独立できないところが多いです。

一方、数日、1週間等の「研修」(≠修行)で独立できるラーメンフランチャイズもあります。

数年の修行が必要なラーメンチェーンか、数日の研修で加入できるフランチャイズなのか、見極めが大切です。 

開業のハードルが低いラーメン業界では、味の追究と経営双方の考慮が必要になります。 

ラーメン屋開業に必要な資格

ラーメン屋開業にあたり、必要な資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」になります。

「調理師」の資格はあった方がいいですが、必須ではありません。

ラーメン専門のお店にするのか、中華料理も出すのかでも変わります。

餃子とチャーハンくらいならば、必ずしも調理師資格で身につける技術は必要ないかもしれません。

「食品衛生責任者」の資格を取り、開業前に保健所に届け出て「飲食業許可」を受ければラーメン屋の開業ができます。

食品衛生責任者

調理営業や食品の販売業等に必要な資格で、店舗、施設等の衛生等を行うことを目的としています。

ラーメン屋も調理営業ですので当然この資格が必要になります。

食べ物を取り扱うために最低限必要な知識を身につけるための資格です。

難しそうなイメージがありますが、資格取得自体は非常に簡単で、各都道府県が実施している講習を1日受講すれば食品衛生責任者の資格を取得できます。

防火管理者

飲食店は火事のリスクと隣り合わせです。

そのため、一定規模の飲食店については、消防協会が実施する防火管理者講習(1日~2日間)を受講し「防火管理者」の資格を取ることが義務付けられています。

防火管理者の設置義務があるのは、「収容人数が30人以上の飲食店」を開業する場合です。

カウンターだけ、あるいは、4人掛けテーブル3卓+カウンターなどの飲食店は不要です。

正直、普通のラーメン屋であれば、収容人数は30名未満のところがほとんどであり、防火管理者資格は不要かもしれません。

もちろん、狭いお店の場合にも防火管理者を取得していただくのは構いません。

特に雑居ビルの上方階で開業する場合は、不測の事態に備えて防火についての知識を得ることは無駄にはなりません。

防火管理者は、甲種、乙種があり、それぞれ店内の広さに応じます。

店の収容人員防火管理者店の広さ防火管理者種類講習日数
30名未満不要
30名以上必要延べ300㎡以上甲種2日間
必要延べ300㎡未満乙種1日間

防火管理者甲種は乙種を兼ねるので、延べ面積300㎡未満のお店の場合、防火管理者甲種でも構いません。

講習は甲種講習会の方が多く、乙種の講習会が少ないのが実情です。

講習費用は数千円から1万円くらいになっています。

ラーメン屋独立開業資金は?

ラーメン店の独立開業資金ですが、1から店舗を借りて、店内を改装して、机やいすを置いて・・となると1000万円を超えるお金が必要になります。

おおよそ以下の通りです。

内容費用
物件取得に掛かる費用家賃の6か月~10か月分くらい
200万円前後
内装・外装工事費500~1000万円
什器費50万円~
ラーメン厨房内設備費200~250万円
食器・調理道具・備品費100万円
開業後6か月分の運転資金850万円~

ラーメン(&ライス)だけ提供するのか、餃子を焼いて出すのか、チャーハンや中華料理を出すのかで厨房設備も変わります。

もちろんスープを仕込む寸胴鍋をセットできる空間も必要です。

運転資金を除いても1000万円超、当面の運転資金も考えると2000万円近い開業資金がラーメン屋には必要になります。

開業しやすいと言われているラーメン屋ですが、開業資金は相当かかるのです。

したがって、可能な限り開業資金を節約するため、以前ラーメン屋が入っていた物件や廃業予定の物件を探し、「居抜き」で開業する方法があります。

ラーメン屋の厨房はある程度共通しているので、そのまま店舗造作や内装工事を省略できれば、工事費等の大幅な削減になります。

居抜きをうまく利用できたとしても、開業費用は1000万円程度必要になります。

仕入れなども含めて資金を用意しなければなりません。

自己資金だけでそれらを補うのは非常に難しく、自治体や日本政策金融公庫、商工会議所などの開業相談窓口へ行き、「創業融資」について相談してみましょう。

ラーメン屋は飲食業許可も必要ですので、資金調達、開業、許認可に強い「経営サポートプラスアルファ」などの専門家に相談する方法もあります。

ぜひ考えてみてください。

店舗設備や内装工事をリースにより分割払いにするサービスを提供しています。

ラーメン屋独立は個人事業主か法人か?

ラーメン屋を独立する場合、会社設立(法人)と個人事業主という選択肢があります。

もし、修行先のラーメン屋チェーンが法人、個人事業主を指示するのであれば、それに従うことになります。

そうしないと修行先の名前を使っての商売ができなくなります。

特に指定がない場合、会社設立と個人事業主をみなさんが決めることになります。

個人事業主として独立開業することを当サイトとしてはおすすめします。

両者のメリットとデメリットを確認しておきましょう。

会社設立個人事業主
メリット
社会的信用がある簡単に開業できる
経費の範囲が広い定款などの作成義務がない
責任の範囲が有限自由な働き方ができる
赤字繰り越しが10年である廃業手続きもすぐにできる
利益次第で個人事業主よりも税率が下がる可能性社会保険に加入できないため、国民健康保険と国民年金だけえでは老後が不安
最高税率が23.2%と所得税の約半分 
デメリット
設立までの手間がかかる社会的信用がない
設立後の帳票作成や税務申告が大変最大税率45%と法人税よりはるかに高い
赤字でも法人住民税(均等割)がかかる無限責任で経営失敗のマイナスはすべて自分が負う
社会保険へ加入しなければならない赤字繰り越しが3年までしかできない
会社の廃業手続きが煩雑経費で落とせる範囲が狭い

有名ラーメンチェーンからの独立ならば、あえて法人化によって社会的信用を得なくても、個人事業主として充分やっていけるはずです。

しかし廃業率が高いラーメン屋開業ですので、どのタイミングで会社設立すべきなのか、最初から会社設立すべきなのか、あるいは、会社設立しないという選択肢も含めて検討が必要になります。 

ただし、有名ラーメンチェーン(家系とかラーメン二郎)並みに行列ができるお店だと予想できるのであれば(そして独立元が許すのであれば)、最初から会社設立するのを選択肢に入れていただいてもいいです。

事業主体会社設立個人事業主
所得税代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45%事業の売上から「事業所得」を算出してその5%~45%
個人住民税代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10%事業の売上から「事業所得」を算出してその約10%
消費税課税売上1000万円以上の場合支払う(2年間は支払い義務がない特例もあり)課税売上1000万円以上の場合支払う
法人税かかる(15%~23.2%)なし
法人住民税かかるなし
法人事業税かかるなし
個人事業税なしかかる

会社と個人事業主では納める税金が異なり、また税率も違います。

年間売上が1000万円を超えるあたりで、会社設立(法人)の方が税率が低くなります。

ラーメン屋開業前にその見通しを立てるのはなかなか大変ですが、人気ラーメンチェーンが修行先で、ある程度集客が見込め、修行元の許可が得られる場合は、最初から会社設立してもいいでしょう。

そのあたりは修行元の意向もあるため、開業相談時に専門家に伝え、アドバイスを仰ぐといいでしょう。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

<あわせて読みたい>

ラーメン屋の独立開業について相談する際は「経営サポートプラスアルファ」にお任せ

まったくの未経験者のラーメン屋開業ではなく、修行して独立する場合、修行元の意向やルールにかなり影響されます。

勝手にメニューを増やすことも難しいと聞いていて、その中でオリジナリティを出しながら売上を伸ばし、激戦区のラーメン業界で生き抜いていかなければなりません。

ラーメン業界で独立したい場合、まず修行先(修行元)との話し合い、そして開業の専門家への相談をお願いします。

高い開業資金についてなるべく低く抑える方法もあるかもしれません。

「経営サポートプラスアルファ」は開業や飲食業許認可に詳しい専門家がおり、相談だけでなく手続き代行などについてもご希望に応じて致します。

資金調達のも強く、まずなんでも聞いてください。

「経営サポートプラスアルファ」は土日祝日夜間も対応します。

また、遠隔地にお住まいの方はLINEやZOOM、チャットワークなどでもご相談いただけます。

ラーメン業界での独立は大きな決断になりますが、しっかり準備すれば成功に近づけます。

ぜひ一度ご相談ください。

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