副業で役員報酬を0にするとどうなる?社会保険の仕組みを理解しておこう

サラリーマンなどで会社で働いている人も、会社設立をして収入を増やすことを考える人もいるでしょう。

副業で会社設立をすることは可能なので、収入が増えれば税金対策として設立を考えることも可能です。

ただ、会社を設立すると保険や税務の関係でややこしくなり、特に社会保険について考えなくてはいけません。

サラリーマンだと本業でも社会保険に加入しているため、対策として役員報酬を0にすることを考える人もいます。

役員報酬0にした際の社会保険の内容について紹介します。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

会社員の場合は社会保険の加入が必要

サラリーマンの方が副業のために会社を設立したとき、気になるのは社会保険です。

社会保険は健康保険、介護保険、年金保険、雇用保険、災害保険から成り立っています。

仕事の上では加入しておくとメリットの大きい保険ですが、どんな場合に加入義務があるのか知っておくことが大事です。

社会保険は以下の条件で加入する必要と不必要な場合があります。

会社員は原則として社会保険に強制的に加入

会社員は社会保険に加入することが原則とされています。

会社員は会社で働く従業員はもちろん、部長や社長などの役員となっている人たちも強制的に加入しなくてはいけません。

そのため、サラリーマンとして会社で働いているなら、自分の意思に関係なく社会保険を外すことはできません。

社会保険が義務づけられているのは雇用者を守るためです。

例えば、仕事で働いているときに怪我をしてしまっても社会保険の労災保険により治療費を保険料で支払うことが可能です。

そのため、サラリーマンなどの雇用者は社会保険に加入するとメリットが大きいです。

ただ、副業として会社設立をした場合も同様に社員なので社会保険への加入をしなくてはいけません。

本業と副業どちらも社会保険に加入する意味はないので、副業を始めるサラリーマンにとっては疑問を感じる部分でしょう。

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役員報酬0だと社会保険への加入はできない

会社を設立しても役員報酬を0にするなら社会保険への加入を行うことができません。

社会保険は保険料を会社と本人が負担して、合計金額を会社が支払う仕組みとなっています。

本人が負担する保険料は給料から天引きされており、会社員の方は通常給料をもらうときはすでに保険料が引かれた金額となっています。

つまり、役員報酬が0であれば社会保険料を支払うことができないので、加入することができません。

ただ、自分が社長であれば「会社の収益は自分の収入と同じ」と思うかもしれません。

しかし、会社の収益と自分の収入は分けられており、社長であっても会社から給料をもらう仕組みとなっています。

そのため、会社としては全従業員の保険料を支払うことができても、社長が役員報酬を0にして給料をもらっていない状態となっているなら、社会保険料への支払いは仕組み上行えません。

社長や取締役など重役に就いていても役員報酬が無いなら社会保険への加入は行えないと覚えておきましょう。

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役員報酬を0にして社会保険を免除するメリットとは?

副業として会社設立をしたときに自分の役員報酬を0にするなら「どのようなメリットがあるの?」と疑問を感じる人もいるでしょう。

役員報酬を0にすることで自分にもある程度のメリットを得ることは可能です。

以下をご覧ください。

会社に副業がバレにくくなる

役員報酬を0にして社会保険料を支払わないように設定するなら、自分の本業勤め先に副業していることがバレにくくなります。

副業で会社設立をして役員報酬を得て社会保険に加入するなら、両方の会社から給料をもらっている状態となっています。

理由は、本業の会社に自分の社会保険料の請求が通知されたとき、会社が計算している保険支払い金額と違うことが発覚するので、副業を疑われやすくなるからです。

会社は従業員の給与計算から、1人1人どれくらいの社会保険料の支払いがあるのか計算することができます。

また、会社に社会保険料の通知が来たときに、違う会社から給与が支給されていることも発覚するため、会社を設立して役員報酬をもらっているなら社会保険から副業がバレる可能性は高いです。

しかし、役員報酬を0にすることで社会保険料の支払いは本業の給与分のみから天引きされることになり、保険料の支払いで副業がバレる可能性は低くなるでしょう。

会社に副業していることがバレたくないなら、役員報酬を0にして社会保険に加入しないのが良い方法です。

赤字を出さないように収益の安定を図れる

副業で役員報酬を0にするなら収益の安定化を狙うことが可能です。

役員報酬は1度設定したなら給与として支払わなければならず、収益の金額は関係ありません。

役員報酬は毎月同じ金額を支払うことで会計上の損金として経費で落とすことができます。

そのため、会社の節税方法として役員報酬の設定をしているところは多いですが、経営が赤字でも支払うことが必要なので、時にデメリットになることもあります。

仮に、役員報酬を月額30万円と設定した際に想定よりも収益を上げられなかった、また赤字を出してしまった場合も月額の役員報酬30万円は支払わなくてはいけません。

社会保険料への支払いも考えると出費は大きくなるので、役員報酬を設定するなら会社の収益が安定しないことも考えられます。

そのため、副業で会社設立をして収益を安定させたいなら、経費よりも会社にお金を残す金額を大きくさせることが大事です。

役員報酬を0にするなら給与を抑えることができ、社会保険料の支払いも抑えられるので会社の収益を安定化させることができるでしょう。

個人の納税金額を抑えることができる

役員報酬を0にするなら納税金額を抑えることも可能です。

役員報酬は給与と同じなので、金額により所得税や住民税、そして社会保険料への支払いが必要になります。

もし給与金額が大きいなら、それだけ所得税と住民税と社会保険料の金額が大きくなり、納税する負担が増します。

例えば、所得税は給与が上がるほど納税額が増していき、会社設立でも最大23.2%の納税が必要です。

住民税は所得税なども考慮して計算するため、金額が大きいなら住民税も大きくなるでしょう。

納税額が大きくなると収益の割に出費が大きくなってしまい、会社に残せるお金が少なくなってしまうことも考えられるでしょう。

しかし、役員報酬を0にするなら給与の支払いが発生しない分社会保険料の支払いを抑えられることはもちろん、所得税や住民税の金額負担も最低限に抑えることが可能です。

納税額が負担になりそうなら役員報酬0も検討できます。

株主などのステークホルダーに対する印象を良く見せる

会社の役員報酬を0にすることは、株主などのステークホルダーに対する1つの姿勢として利用されることもあります。

例えば、会社設立をしたときに株式を選択したなら、株主などのステークホルダーが付きます。

株主は役員会議で意見を言うことができ、会社の業績などに意見を言うことができます。

もし、行っている事業が失敗して業績が悪くなってしまったなら、株主などから責任を追及されることも考えられます。

その際に、役員報酬を0にすることで株主などのステークホルダーに、責任を取る印象を良くする手段として用いるわけです。

役員報酬が0になれば個人の給与が無くなることはもちろん、社会保険などの保証も手放すことになるため、ステークホルダーの方達も責任の決意を感じることができ、追及をしなくなる可能性が高いです。

副業として始めた会社設立でも収益が大きくなってくるなら、責任を取る姿勢を見せる場面も生じるかもしれません。

事情によっては役員報酬を0にする方法も覚えておいて損はないでしょう。

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役員報酬を0にして社会保険に加入しない際の注意点

副業で役員報酬を0にして社会保険に加入しないことには注意点もあります。

もし、注意点がデメリットとなるなら、自分が損をするだけとなるので確認が必要です。

どのような注意点が必要なのか内容を紹介します。

法人税が増えてしまうリスクがある

役員報酬を0にするなら住民税や所得税、また社会保険料の支払い負担を軽減させることは可能です。

ただ、会社の収益が上がったときに役員報酬による経費削減ができず、社会保険の金額も負担できないため、法人税が増える可能性も高いです。

法人税は税率が15%と23.2%のみであり、個人事業主のように収益をあげた分だけ税率も上がるわけではありません。

ただ、会社の収益が上がったときに税率が15%から23.2%に上がった際は法人税の金額が増えることになります。

法人税を安くするために役員報酬や社会保険料の支払いは経費として利用でき、会社設立をする際の大きな節税方法です。

しかし、役員報酬0だとどちらも経費計上できないので、結果的に税金の支払いが大きくなることも考えられます。

役員報酬は直ぐに変更することができない枠でもあるので、会社の収益が上がりそうな気配があるなら役員報酬を設定するようにしてください。

また、社会保険に加入していないなら国民健康保険に加入する必要がありますが、収入によっては社会保険よりも高額になる可能性もあります。

本業の勤務先で会社員として社会保険に加入しているなら問題ないですが、会社員を辞めた後は保険への加入が必要となるので、こちらも覚えておきましょう。

金融機関からの融資が難しくなることも

副業で役員報酬を0にして社会保険にも加入していないようなら、金融機関への融資が難しくなることもあります。

副業でも会社を設立したなら資金調達をしてお金を確保することが必要です。

お金を確保するためには銀行などの金融機関を利用することができます。

会社が設立していると法人として登録されているので、金融機関からの信頼も高く、個人事業主として活動しているよりも融資を受けやすい利点があります。

ただ、役員報酬を0にして社会保険に加入していないようなら、金融機関は融資の審査の際に承諾しないことも考えられます。

金融機関は会社の役員貸付金や仮払い金を受け取っていないか決算書から調査することが可能です。

その際に役員報酬が0であることが発覚したなら、金融機関は「融資の金額を個人の生活費に当てるのでは?」と疑念を抱きます。

疑念を抱かれると融資を承諾されることは厳しくなるため、本業で仕事をして給与を得ているなど、収入源があることを金融機関に示すことが大事です。

ただ、決算書に仮払い金や役員貸付金が記載されているなら、マイナスの評価になり信用を得るのは難しくなります。

役員報酬0だと融資を受ける際に障害となることがあるため注意しておきましょう。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

会社に副業がバレたくないなら代表者名を変えるのも1つの方法

会社に副業していることがバレたくないので、役員報酬を0にすることもあるでしょう。

ただ、役員報酬を0にするなら会社の収益が上がったとき節税対策として利用することができないので、自分が損をしてしまうことになります。

そのため、役員報酬による節税を利用しつつ副業していることがバレたくないなら、会社の代表取締役を自分ではなく配偶者など別の人の名義で行うのも1つの方法です。

取締役の名義が自分ではなく他の人であれば役員報酬をもらったとしても自分の収入にはならないので、会社に副業していることはバレにくく、仮に副業がバレても自分ではないので大きな問題とはならないでしょう。

会社の名義人は自分以外なら配偶者の方の名前を使用することが多いです。

ただ、名前だけを変更して自分が運営しているなら、名義貸しの行為として税務署から調査を受けることもあります。

配偶者の方も全く運営に関して無知とはならないように、会社の状況は把握しておくようにしておきましょう。

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副業による役員報酬0のまとめ

副で役員報酬を0にして社会保険をかけないことは、メリットもある一方でデメリットになることもあります。

自分の状況によって役員報酬0は高リスクになることもあるため、状況判断をして役員報酬をどう扱うべきなのか考えましょう。

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